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【なりたい自分、そうでない自分】

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 『主人公』にする。
 自分の成りたい姿、『理想形』ではなく
等身大の「そのままの自分」である。
 何の取り得も特徴もない「凡庸な少年」の前に、
ある日突然「非日常の美少女」が現れ、
その世界に巻き込まれるも何故か
骨の一本、血の一滴すら流さず「活躍」出来てしまうという
実に都合の良い展開は、
昔からライトノベルの典型ではあったが
昨今の『異世界転生ブーム』で
その状況はピークに達したと云っていい。

 ニート、ひきこもり、ブラック企業の社畜が主人公に
なっている駄作は枚挙に暇がないし、
オタクで太っていて虐められている主人公が、
「異世界」に転生してイケメン、最強になる等という
ストーリーも珍しい話ではない筈だ。

 

 現実から逃げて在りもしない「妄想」の世界に
逃げ込む事がそんなに「価値」の在るコトなのだろうか?
 ソレは『緩慢なる自殺』『遅滞する腐蝕』
そのオワリが存在しないのだから
正に【死に至る病】、或いは【地獄】以外の何モノでもない。

『今の自分』を否定してはならない。
 例え「ダメな部分」が在ったしても、
ソレを払拭しようと努力するのも
また『自分』なのだから。
 都合の良い妄想に逃げる理由は無い。
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