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【第二章・叛 逆 の 双 星】
Ж-47 刹那の邂逅 ~Cross Distortion~ ③
しおりを挟む「おまえが怒る気持ちは解るよ、 でもそれじゃ正解は半分だ。
ハーフ・エルフにだって悪党は居る。
普段 『差別』 されてるから余計にな。
この 『深淵』 にハーフ・エルフの隠れ里が在るって最近噂だっただろ?
だからそれを確かめるためにミッションに参加したんだ。
別に関係のないハーフ・エルフをとっ捕まえて奴隷にしようなんて
考えてねーよ。 ただ仲間の身の安全の為に 「原因」 は知っておきたいんだ。
クエスト中に後ろから火ぃ掛けられたらたまんねーからな」
うん、 ここまではOK。
事実の中に虚実を織り交ぜる。
9:1くらいが理想的なブレンドだね。
出来れば自分でもその嘘信じちゃうくらい
耳障りの良い話がベスト。
おっちゃんも最初怒鳴っちゃったからいまいち言いたい事が言えず
口をもごもごさせてる。
相手の要求を一度通してからこちらの言い分も断り難くさせる、
“ドア・イン・ザ・フェイス” の応用ってヤツだ。
フードの中でオレがほくそ笑んでるの気づかれないようにしないとな。
「それに言い出したのはコイツなんだよ」
そう言ってオレの肩を叩く。
バカちょっと強ぇーよ、 痛かねーけど魔導士の女に対する扱いじゃない。
「なんでもハーフ・エルフの友達が他の星界に居るらしくてな。
八だか十一だか忘れたが 「絶対そんなコトする筈ない!」 ってな。
だから新人へのプレゼントの意味も兼ねて参加したってワケ。
まぁ、 「靴」 の代わりだよ」
……まぁいいか。
出来ればオレを話の 「軸」 にはして欲しくないんだけど
状況が状況だからな、 多少荒さは已む負えない。
「ふん、 おまえの事だからそんなこったろうとは思ったが、
あんま気を揉ませんなよ。 娘にも次カリム兄ちゃんいつ来る?
ってせっつかれてるんだからな」
「おや? あの可愛らしいお嬢さんを、 このワタクシに頂けるのですかな?
お父さん?」
「ぬかしやがれ! おまえがいい加減な男だって解るまで
死んでもらっちゃ困るんだよ!」
そう言いながら切迫した雰囲気が和んでいく。
此処より 「以前の」 付き合いみたいだな、
元は一緒のパーティとかだったりするのかもしれない。
ともあれそろそろ此処を離れたいな。
莫迦面下げた屑共が徒党組んで外に出ていってるし
こうなると獲物を前にしたなんとやらで一匹も逃したくない。
まぁ流石に 『全滅』 は出来んがね、 それこそ主旨変わってくるし。
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