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【第二章・叛 逆 の 双 星】

Ж-43 炎 劾 双 劫 ~W・Tyrant Fifth Flare~ ③

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      ~§ぎゃくあらがさんあがないずるれば§~




 ハーフ・エルフの、 少女の姿が浮かんだ。
 己に差し迫る不条理な災厄をだ何も知らないまま、 
オレ達の帰りを待っている。
 だったら永遠に知らなくて良い――!
 指先に灯った炎が離れ、 それぞれ膨張していく。
  



                    ~§禁曝きんばくしてみせん、 其が狂妄きょうもう§~




 ゆっくりと、 ゆっくりと、 一つ一つがオレの総身を呑み込む程に、 
ソレ以上に。



「~§メイ・ソ・ウル・レイ・クォ・ライ・クァ§~」



 最後の魔言まごんは口を付いて出た。
 其処で一度切り離した魔那の糸を、
再度繋げて勢いと指向性を持たせる。
 アビスは無いって言ってたが無いならオレが創ればイイ。
 ソレがオレ魔皇魔力チカラだ 『原初魔導プロト・ウィード』 だ――!






       『魂 ニ 火 ヲファイアー ツ ケ ロ・ボールッッッッッッ!!!!!!』









 最後の魔氣を込めると同時に切り離すミエナイ魔那の糸。
 それぞれ指を折り曲げ両腕を交叉した放出の構えと共に
炎熱の魔導が発動した。

 グォヴァアアアッッッッ!!!!


 
 唸りをあげて解き放たれる、 紅蓮の大火球十連同時発動。
 精密性は無きに等しいからだ実戦じゃつかえないが
相手は自由には動かない自然災害、
だから魔氣も限界まで溜めて送り込めたし軌道も大雑把で構わない、
スピードなんてブッちゃけ度外視、 最悪止まらなきゃソレで良い。



 グュッッッゴオォォォォッッッッッ!!!!! 



 十数秒後、 広範囲に散った火球がそれぞれ
何らかの障害物に着撃したその炸裂を確認。
 自分の魔氣と魔那は繫がってるから切り離しても
その気配や共振で解るんだよね、 正確にじゃないけど。
 同時に紅い灼光しゃっこうと暴風の余波が頬を焦がしローブの裾をはためかせる。

「す、 凄っ、 げぇ……!」

「あんなスゴイ魔導、 見た事ないですニャ……!」

天候系クラウドなんてものじゃない、 まるで “天災系ディザスター” だわ……!」

 余りの光景に背後で絶句している三人。
 当然か、 火災を喰い止めようとしていたオレが、
同じような大火を反対側から引き起こしたワケだから。

「でも一体どうゆう事だよ姫! 火事に対して火事起こすとか
もうメチャクチャじゃねーか!」

「相殺ってレベルじゃないわ! 相手は魔導じゃなくて自然災害なのよ!」

「魔皇しゃまのお考えは解らないですニャ~!
ファムには難し過ぎますニャア~!」

 はいはい、 テンプレ通りの反応リアクションありがとう、 皆の者。
 ソレで余計に上手く事が運んだ気がするわ。
 向こう側より広範囲に、 扇状に包み込む火形カタチに成ったのが良いね。 

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