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【第二章・叛 逆 の 双 星】

Ж-31 吼 牙 天 翔 ~Phantom Extream~ ③

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〘御屋形様!〙

「承知!」

 やはり 『竜咆哮ブレス』 か。
 ったからだを無理矢理引き倒して咬撃こうげきに、
その御蔭で半手ほどこちらが先行出来たがな。
 開くあぎとより漏れいず氷飛沫ひしぶき、 蒼大そうだいの冷凍波が此方をすがめる。
 異能発動、 “八艘飛び・さく” 
 友の警告により偶然会得したモノ、
たずさえた武具等を 「足場」 に弧月の如き
瞬間的方向転換を可能せしめる。
 どうやら我が英霊種属は戦闘中 “閃き” が異様に冴えるらしい。



『GOOOGAAAAAAAAAAAAAAAAA――――――――――
――――――――――――――――――ッッッッッッッッッ!!!!!!!!!』



 喚声勇ましいところ悪いが既に回避圏内だ、
先波せんぱ余波よはは多少もらったがな。
 急迫で迫る大地を後目に森が氷河林ひょうがりんへと変えられていく、
亜流とは云え 【竜種りゅうしゅ】 は単体で環境すら変貌させてしまうらしい、 
先天的な特性のみで。
 弾かれた鋼の反動を大きくつるぎを旋回させる事でなし着地、
それでも抉れた大地が粉塵を巻き上げる。
 居場所は露見したが想定内だ、 其の 『竜咆哮ブレス』 は私に命中あたらぬ!

「ニ、 ニャアアアアア~~~~~!?
空から人が降ってきたニャ~~~~!!」

「そんな!? アノ高さから大剣付きでッ!?
脚大丈夫!?」



〘こ、 この、 痴れ者共がああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!〙




 布都ふつの憤怒と私の決意が固まるのは同時だった。
 だ練度が定まらぬがやるしかあるまい。
 南無三なむさんだが仔細しさい無し! 英霊とは窮地を覆す者でなくてはなるまいッ! 
 再度大地を蹴り先刻軌道を逆進する、
頬をつんざく気流と羽撃はばた外套がいとう、 その先で口を開くあぎと
避けても防いでも背後の彼等の命は無い。
 れば 『相殺』 しか道は無い、 
私の剣技で果たしてアノ 『竜咆哮ブレス』  に
打ち克つ事が出来るか?
 らねばられる。
 極限の緊迫に闘氣が逆捲さかめく!



れいこうおう……ッ!』



 未完成の異能を、 私は在るように口に出した。
 刀身全体を覆う、 噴きばしるような紅き闘氣オーラ、 
次の刹那、 視界が蒼く染まった。






 NEXT PHANTASM…Ж


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