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【第二章・叛 逆 の 双 星】
Ж-31 吼 牙 天 翔 ~Phantom Extream~ ②
しおりを挟む不無、 自分でも気づいていなかったが、
存外、 好戦的であるようだ。
そも此れが我が “種属” の特性なのか?
英雄、 英霊とは云えど、 所詮は戦場で命を刈り取るだけの
簒奪者に過ぎぬ。
善行、 仁徳とは対極に位置する修羅の存在。
戒めとして此の異能は噛み締めて於こう。
己の戦いが 『正義』 等と想わぬよう。
さぁ、 開戦めようか――!
『GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
GAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA
――――――――――――――――ッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!』
迸発する冷気とは裏腹に樹海を灼き尽くすような怒気。
恐れるべきだが不思議と愛しさすら感じるよ。
高揚する、 昂揚する、 君と戦える事に。
放出する闘氣と共に異能発動、 “八艘飛び”
樹々の枝も幹も上面側面関係なく下面すら利用して
不規則不確定の四次元的な機動を可能せしめる。
姿は視えないが感じるよ、 君の魔氣を。
君も私を感じているか?
此れが新たな異能、“暴虎馮河” の異力、 か。
戦いに於ける 「不純物」 を消し去り、
純粋な戦闘機械へと変貌させる――!
平行背面で樹林を突き破った矢先、
翅翼を大きく拡げた氷竜が既に裂爪を揮り降ろしていた。
当然私も斬り挙げに入っている。
激高の空中衝突、 互いの戦威と殺威が弾けて散る。
僅かに飛散する氷爪の破片、 武器は僅かながら私の方が上らしい。
血が騒ぐ、 血が叫ぐ。
まだ上昇の力が残っている間に二の撃を放つ。
対応するか、 弧を描く不規則な軌道にも関わらず。
威力は勝れども攻め手が一つの此方に対して
向こうは6倍、 『竜咆哮』 を含めれば其の比ではない。
落ちる降下に任せて剣刃互いを相食む、
飛翔を解いてくれた事に感謝する、
再び奇襲の仕掛け合いも芸が無かろう。
『GYAGUッッ!?』
直撃と云う程でもないが斬撃の半ばが右胸から肩を通して翼に入った、
すまぬな、 此れが 『技』 だ、 敏捷と小回りが利く立場為れば
力負けしない限り孰れは入る。
手は緩めぬぞ? 多少を氷血を被ってもこのまま捺し切る。
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