【ＺＯＤＩＡＣ ＰＡＲＡＤＯＸ ＥＸＴＲＥＡＭ／ＣＨＡＯＳＰＨＥＲＥ！】 ～戯題・愛のままにわがままに 魔皇少女は異世界に屈しない！～

【第二章・叛 逆 の 双 星】

Ж－２６ 魔皇の爪痕 ～Art of Pain～

「おい、 そこのハ・ン・ミ・ミ・、 ちょっと待てよ」


　獲・物・が掛かった。
　最初、 聞き慣れない単語が背後から
飛び込んできたからそうだと解らなかった。
　でも護衛クン達の憎しみが籠った渋面じゅうめんと
サーシャの蒼白でソレが侮蔑語だとすぐに解った。
　ってか他者を貶おとしめる言葉って、 異世界でも変わらないね、
そのムカつき度が、 自分と関係なくても。

「爺ちゃん護衛クン、 サーシャのことお願い。
話し合いはオレがする。 あとオレが魔皇だってバレないように」

　もうサーシャの口が 「ま」 の形に開いてたので指を立てて制する。
　フードを被って振り向いた先には、
先刻の野卑な悪罵に劣らぬ下卑た面。
　使い込まれ、 でもロクに手入れをしていない
武器と防具を携えた冒険者達だった。
　相手は五人、 全員男。



〘ＣＡＵＴＩＯＮコーション！〙

　　　　　　　　　　　　　～§此の命脈を聴きし者§～



　アビスの警告と 『想念詠唱サイレント・ヴォイス』 が同時に掛かるが前者は無視。
浅層だし大した遣つかい手じゃないだろう、 
昨日のヤツらとどっこい位かな？
昼ご飯に大袈裟に炊飯すいはんの煙上げたから、
ようやく喰いついたってカンジだね。



　 　　　　　　　　　～§不昧なる虚人うろびとの断末を捧げん§～



「何か、 御用でしょうか？」

　あんまり近づきたくないからギリ会話の出来る距離で、
ネコ百万匹くらいかぶって返事をする。

「あぁ？　何だぁ、 テメー？」

　蟀谷こめかみの青筋ちゃんがビキビキと自己主張するが、
なんとか作り笑いを浮かべて抑える。
「質問を質問で返すな」 ってオレの世界の殺人鬼が言ってたんだがな、
今から 『魔言変換トランス・コード』 で術式換えて爆殺してヤろうか？



 　 　　　　　　　　～§蒼緑そうりょくの禁縛　大肢たいしの呪縛§～　



「チッ、 眉唾モンの情報だったが、 どうやら当たりらしいな」

「な、 な、 だから言っただろう？　
こんな森で首・輪・無・し・のハンミミが四匹も歩いてるとか有り得ねぇよ！
これだけでも大儲けじゃねーか！」

「チョーシ乗んじゃねえ！　ギルドの便所で壁越しに
Ａランクの密談タレコミ盗み聴いただけだろうが！」

「てめぇにはそれぐれぇしか使い道がねーんだから
役に立ってもらわなきゃ困るんだよ！」
　

 
　　　　　　　　～§溢れ出いずル晩鐘ばんしょうを織り上げ§～



……今度はこっちの意向を無視、 ね。
小太りの中背男が筋肉と脂肪の大男に怒鳴られてら。
　ホント冒険者ってヤツは、 ガチでクズしかいないのか？
まぁ、 ヤり易いがね。
　お？