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【第一章・彷 徨 う 混 沌】

Ж-7 寄る辺無き者達 ~Unknown Unknown Unknown~

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 くして、 私は今生こんじょうせいに幕を降ろし
この 『神創しんそう十二じゅうに星界せいかい』 とやらに 「転生」 したらしい。
 無論そのような突拍子とっぴょうしもない話を、
いきなり 「はい、 そうですか」 と受け入れられる筈もなく
訳も解らぬまま声も出せないほど混乱したわけだが。



おそれながら申し上げます、 御屋形様おやかたさま






 この脳裏に響く声、 “布都御魂ふつのみたま” の進言により
辛うじて現状認識は出来ているといった次第だ。
 正式名称を 「統合制御とうごうせいぎょ型自律機動がたじりつきどう幻精霊げんせいれい」 とうらしく
この世界の、 瑞祥ずいしょうつかさどるという女神のつかいであるようだ。
異邦聖贄召喚サクリファイス』 という禁忌きんきの術は、 
多大なる犠牲と世に災厄をもたらすという
理由のもと本来封じられているのだが、
ソレは実質 「建て前」 のようなモノで、
他国に抜きん出る 『力』 を手にする事が出来るという膨大な利権のもと、
実際はその禁儀きんぎり行う者が後をたないらしい。

 人間の底知れない悪意や欲望は、
たとえ 『神』 で在っても制御するコトは不可能であるらしく、
故にその中の 「一柱いっちゅう」 が儀式そのものは阻止出来ないが、
身勝手に 「召喚」 され隷属れいぞくされる異界の者をうれい、
せめてその 「意志」 だけでもまもろうと
己の 「分身体」 を生み出し、 支援する存在として
対象者の魂魄こんぱくに宿らせているのだそうだ。



魔皇種まおうしゅの娘と、 このまま同道どうどうなさるおつもりで御座ございますか?〙








 この世界に、 を持ちて転生するより前から響いていた声。
 言葉遣いは思慮深く慇懃いんぎんで好感が持てる。
 私の事を 「御屋形様おやかたさま」 と呼称こしょうするのはどうかと思うが、
本名を教えても畏れ多いの一点張りなのでそのままにしている。

「つもり、とは?」

 声には出さない、 だが脳裏で問いかけるだけで彼とは会話が出来る。



〘畏れながら、 御屋形様は、 偉大なる 『英霊種えいれいしゅ』 
本来、 盲目もうもくなるたみもうを開き、
その聖徳と畏怖に敬仰けいぎょうたばね、
すべての象顕しょうげん相為あいなられるべき御方。
その御名おんなに、 万一つもきずが付く由在よしあらば、
この布都ふつ、 いよいよもって申し開きが立ちませぬ〙

「フフッ、 私は、 そんな御大層な人間じゃないさ。
最も色々助けてくれた、 君の恩には報いたいとは想うが」







滅相めっそうも御座いませぬ!
われが御屋形様に献身けんしんほうじるのは当然のつとめ。
然様さよう御心遣おこころづかい、 在ってはならぬ事で御座いまする!〙





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