上 下
35 / 182
A Caged Bird ――籠の鳥【改訂版】

(35)

しおりを挟む
 知識として持っているキスと、実際のキスは遥にとっては違うものだった。
 意思を持って遥の口中を生温かい加賀谷の舌がうごめき回る。遥の歯や歯茎や唇の内側――ありとあらゆる部分を触れて回る。
 その異様な感触は、遥に拒否感をもたらした。
 体の中に性器を突っ込まれることとはまた違う汚らわしさだった。
 そんな行為を何度も繰り返される。
 何度も逃げようとしたが、加賀谷に押さえ込まれた体は動かない。顔でさえ、加賀谷があまりに深く遥を求めるので、わずかに背けることすら許されない。
 遥は呻きながら、それに耐えた。

 やっと解放された時、遥は顔を背けて目をつぶり、乱れる息を吐いた。
 その遥の喉を加賀谷の唇が這う。手が肌を探るように服の下に入り込んでくる。
 遥は身をよじって逃げようとした。
「逃げるな」
 低い声に遥はびくっと身を震わせる。
「お前はあまりにも物を知らな過ぎる」
 加賀谷がささやきながら、ゆっくりと遥の体から服を剥いでいく。
「悪かった、な……」
 精一杯の強がりも胸をまさぐられて、弱々しくなってしまう。
「こんなに性的に無知だと知っていたら、もう少しやさしくしてやるのだった」
 うるさいと言おうとして開いた口から、頼りない声しか出てこない。
 されたことのない口づけや、指や手の動き、触れ合う肌や布の感触が遥を戸惑わせる。
 性器に触れられていないのに、全身がぞくぞくする。少しずつ体が熱くなってくる。
 執拗に遥の肌の上を加賀谷の唇や手がはい回る。

 うつぶせにされて、背骨に沿って降りていく口づけに遥は喘いだ。
「や、だ……」
 たまりかねて加賀谷の唇から逃れようとすると、胸にきつく抱き込まれる。
「どうして逃げる?」
「いやだ。気持ち悪い」
 よじる体を更にしっかりと押さえ込まれた。尻に加賀谷の欲望が当たっている。
「感じるの間違いだろう?」
「違う」
「ならばどうしてそんなに息が乱れているんだ」
 悔しさに遥は唇をかんだ。
「セックスはペニスやアナルだけでするものではない。全身で感じるものだ」
 首筋をなめられて、遥の体はびくりとすくむ。それを承知の上でなのだろう。加賀谷はそこを何度も舌を這わせる。
「ぁ、ああ……」
 こぼしたくないと思っても、声は唇をついてもれてしまう。甘ったるい、吐息に似た声に自分自身がいやになる。
「もう少し正直になった方がいい。自分がどうされたいのか。どうされると気持ちいいと感じるのか」
 はいていたジーンズもはぎ取られて、遥は素裸にされた。

 加賀谷のものを奥深くまで挿れられて、背後からその胸にぴったりと抱き寄せられて、身動きができない。
 加賀谷の片腕にしっかりと抱えられて、もう一方の腕は遥の体を撫で回すために動き続けている。
 激しさのない愛撫とセックスは、かえって遥を消耗させた。
 一体あとどのくらい加賀谷をこうして受け入れていなければならないのか。遥にはわからない。
 中で加賀谷に動かれて、遥はまた身を震わせた。腰から爪先へ電撃が走る。
 体の中に加賀谷がいるということ、それが快感になっていることを遥は思い知らされた。
「一晩中こうしていてやろうか」
 加賀谷のからかいに遥は口答えをした。
「俺が何を言っても、あんたがそうすると決めたら俺には逃げようがない」
 一瞬の間があった。
「そうか。そうだな」
 囁きとともに耳殻を舌がたどる。びくんとすくみ上がってしまった。体内の加賀谷の存在を知る。
「体を強ばらせるな」
 加賀谷の声とともに、遥の乳首が爪ではじかれた。
「あっ」
 声を上げ、のけぞった時にまた腹に力が入った。加賀谷とつなげられていることを再び意識する。
「このままでいいのか」
 耳元にささやかれる。
「さっさと、終わりにしろ」
 加賀谷が笑った。
「相変わらず素直にならない口だな。そんなに責めて欲しいのか」
 股間のものを握られる。
 遥の体が期待に震えた。
 人の手でいかされることは気持ちがいいと、遥は知ってしまった。たとえそれがこの加賀谷であっても、快感は得られる。
 そして、期待通り加賀谷が遥の中と外の両方から動き始めた。
 すぐに体もこぼれる息も熱くなる。
「ああ……、は、あ……」
「この方がいいのか。かわいいな、お前は」
 笑いを含んだ声にからかわれても、何も言い返せなかった。体の中のあふれるような快楽に遥は完全に取り込まれていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マッチョ兄貴調教

Shin Shinkawa
BL
ジムでよく会うガタイのいい兄貴をメス堕ちさせて調教していく話です。

性的イジメ

ポコたん
BL
この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。 作品説明:いじめの性的部分を取り上げて現代風にアレンジして作成。 全二話 毎週日曜日正午にUPされます。

お尻の際どいところまで刺青が入ってるのを見せてくれる男

八億児
BL
翻弄されるバイトくん×貞操観念ガバでエッチな刺青男性

首輪 〜性奴隷 律の調教〜

M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。 R18です。 ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。 孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。 幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。 それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。 新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。

ショタ18禁読み切り詰め合わせ

ichiko
BL
今まで書きためたショタ物の小説です。フェチ全開で欲望のままに書いているので閲覧注意です。スポーツユニフォーム姿の少年にあんな事やこんな事をみたいな内容が多いです。

後悔 「あるゲイの回想」短編集

ryuuza
BL
僕はゲイです。今までの男たちとの数々の出会いの中、あの時こうしていれば、ああしていればと後悔した経験が沢山あります。そんな1シーンを集めてみました。殆どノンフィクションです。ゲイ男性向けですが、ゲイに興味のある女性も大歓迎です。基本1話完結で短編として読めますが、1話から順に読んでいただくと、より話の内容が分かるかもしれません。

無理やりお仕置きされちゃうsubの話(短編集)

みたらし団子
BL
Dom/subユニバース ★が多くなるほどえろ重視の作品になっていきます。 ぼちぼち更新

壁穴奴隷No.19 麻袋の男

猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。 麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は? シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。 前編・後編+後日談の全3話 SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。 ※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。 ※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。

処理中です...