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(番外編)食器洗い
しおりを挟む僕は夕食の時、椅子の上でもぞもぞせずにはいられなかった。
「今日も一日パジャマでいた罰」と光に着ている物をすべて剥ぎ取られ、代わりに着せられたのは光の白いシャツのみ。下着さえ許されず、その代わりに茎の根元に母のビロードの紺色のリボンがやや緩めに結ばれている。そこが裾から股間が見えるのではと落ち着かない。特に座っている今は尻が少し座面に触れている。
毎日のように光と情を交わすようになって、刺激に弱くなった僕の尻の穴は座面の違いにもふるふると震えていて、それに呼応するように僕の性器も心もち硬くなりかけている。
こうなるとご飯どころではなくて、箸で摘まんだものをぽろぽろこぼしてしまう。そんな僕を呆れたように光が見つめている。
でもその目は単に家族の失敗を見ている目ではなくて、観察して考えている目だと僕は気づいてしまった。次に僕にどんな罰を与えようか。僕をどういじめようか。どう「可愛がろうか」――
「ごちそうさまでした」
僕が両手を合わせると、光が「お粗末様でした」と答える。いつも料理を作った母が笑顔でそう言っていたからだ。光も笑っている。
「散らかし屋さん」
「ごめん」
「上の空で食べているからだよ」
僕は顔が火照るのを感じながらうつむく。光が命じた。
「今日は洗い物をしのにやってもらうよ」
「うん」
ああ、でもそれはただでは終わらない。光が終わらせてくれない、きっと。
食器を僕が洗い始めたところで、光がテーブルを片付けて拭いてくれた。その台ふきんを持って、流しに立つ僕の背後に光が立った。台ふきんが調理台の隅に置かれ、僕を抱き込むように光が手を洗う。光の呼吸が耳にかかる。
「しの……」
光の股間がワイシャツしかまとっていない、僕の尻に押しつけられる。
一つ洗っては濯いでいた僕のようすを見た光が言った。
「それじゃ、効率が悪いよ。洗い桶に水を張って、洗剤で洗ったものを浸けていくんだ」
流しの下の戸を開け中から洗い桶を取り出した。僕の体を流しに押しつけるように力が加えられている。僕の尻のあたりに硬くなっていく光を感じる。
「ほら、洗って」
急かされて僕はスポンジと自分の茶碗を取る。
シャツの裾からするりと光の右手が股間に滑り込んできた。僕は茶碗を落とした。
「光っ」
「しっかり持たなきゃ駄目だろう、しの。今日はしのが洗うと決めたんだから」
「だったら、触らないで。手が震えて洗え――」
先端をくりくりと弄られて息が詰まった。ああ、もう完全に勃ち上がってしまった。
「洗って、しの」
耳元で熱く息が吹きかかり、ぞくぞくする。僕は震える手で落とした茶碗を拾い上げ、スポンジでこすった。それを見ているであろう光が僕ののろのろとした動きに合わせてゆるゆると扱く。
「ん……あぁ……」
「いつまでも同じのを洗っていないで、次だよ」
光の茶碗を洗おうとすると、今度は股間だけではなく胸に左手が滑り込んできて、シャツがずり上がった。既に尖っていた胸を爪が弾く。
「あっ」
手が滑る。
「洗えないよ、光」
泣き声になっている。ずっと扱かれている先端から床に細い透明の糸が引いているのも想像がつく。光は絶妙なきつさで僕をリボンで縛ったのだ。
「どうして、しの?」
「だって、光が僕を弄るから……」
「安定しないのがいけないのか」
「え?」
振り向いたときには光の手にはローションのボトルがあって、止める間もなくふたを開けて僕の尻にボトルの首をねじ込んだ。
「痛いっ」
強引に液が押し込まれたのがわかる。それが抜かれると光の指が二本潜り込んできた。ぞくぞくする。
「いやらしいね、しの。一度に指を二本もくわえ込むなんて」
「ひかるが、ひかるが……」
入り口と中をかき回される気持ちよさに、うわごとのように繰り返す。流しの縁に両手で捕まり腹を乗せて崩れ落ちないように必死に耐える。
「ああっ」
前立腺のところを揉まれてのけぞった。それだけでいきそうになる。でも食い込むリボンにいくことはできない。
「ほぐれやすくなったね。しのの体は絶品だよ」
ジッパーを下ろす音がした。
指が抜かれてひんやりとしたところを下から一気に貫かれた。
「あ――」
悲鳴は手で押さえられた口の中に消えた。
砕けそうになった腰を両手でしっかりとつかまれている。ゆっくりとしたストロークで突き上げられ、泣きながら僕は洗い物を続ける。
甘い息を吐いて手が止まると、ずんと突き上げられる。光が本気で突き上げると僕はつま先立ってしまう。一番奥まで届く快感の頂点から今度は一気に抜かれるとめまいがして、くずおれそうになりながらまた食器を落とす。
すると光が僕に芯を打ち込む。思わず締め付けて光の形を感じてしまう。
「丁寧に扱わないと割れるよ」
光が熱い息とともに僕を現実につなぎ止める言葉を吐いては、舌で耳殻をねぶってくる。寒気に似た快感に身が震える。もう僕の体に光を感じていない場所、光で快感を得られない場所はないのだ。
やっとすべてを濯ぎ終わると光が「よくできました」と囁いた。そして、僕をその場に跪かせ、顔を床につけさせた。頬にぬるぬるしているのは僕のこぼし続けた透明の滴だ。尻だけを上げさせられて、がつがつと音がしそうな勢いで奥を突き上げられた。
「あ、やぁっ、や……うう、んっ」
頭が真っ白になる。快楽の地獄だ。光が許してくれるまでそこを突かれ続ける。
気持ちよすぎて、狂う……
光が僕を抱え起こした。光の上に座った形になった僕の体重で、更に光が奥まで入る。
ああ、どうしよう。どうしてこんなに、こんな……
狂いそうな僕をゆるゆる揺さぶりながら、シャツの下に入り込んだ光の指が乳首を爪で弾いては摘まみ上げる。それをされると僕の昂ぶりにダイレクトに何かが走る。思わず尻にも力が入って、いっそう光を感じる。
「泣かなくていいんだよ、しの」
無理矢理後ろを向かされて目元を順番になめられた。涙をこぼしていたことを自分ではわからなかった。
「気持ちいいだろう?」
こくりと頷くと下から揺さぶられて「言葉で」と言われた。
「きもち、いい」
「俺も最高に気持ちいいよ、こうしてしのと繋がれて。幸せだ。しのは?」
唐突な言葉だった。
「しあ、わせ?」
「そうだよ。大好きな人とここまで一つになれるのは幸せだ。しのは幸せ?」
ゆさゆさと揺さぶられて体の芯に熱い快楽を与えられ、胸を責められて電流のような快感が体の中を駆け抜ける。
ああ……きも、ち、いい……
気持ちいいのをくれるのは光だけ。光と二人きりで気持ちいいことをしている。だから――
「しの、も、しあわ、せ……」
光に固く抱きしめられた。
「ああ、しの。そうだよ。俺たちは幸せなんだ」
光が僕の昂ぶりを荒々しく扱き始めた。快感にがくがく震える。食い込むリボンが痛さを通り過ぎて痺れている。
「りぼん、りぼん、ほどいてぇ」
「いいよ、しの。一緒に行こう」
また、床に伏せさせられ、光のストロークを受け入れて快感にむせび泣く。
いよいよ追い詰められた僕は必死にせがんだ。
「いき、たいっ、いく、いっ」
リボンがほどかれた。一気に目の前が明るく眩しく開けた気がした。
あっ――ああっ……
中に光の熱を受けとめながら、どくどくと床に絶頂の証を噴きだした。
きもち、いい……しあわせ……
抱きしめられて、唇が重なってきた。深く舌が潜り込み僕の舌を絡めるように唾液が送り込まれる。
それを素直に飲み込んで僕は拙い舌づかいで唾液を送り返す。
いつの間に光とこんなキスをするようになったんだっけ?
「幸せだよ、かわいい俺のしの。愛してる」
胸に抱かれると安心する。僕は光が好き。幸せだ。
光の背中に腕を回してすがりつく。
「光、もっと抱きしめて」
「いいよ、ずっと抱きしめていてあげるよ。愛してるよ、しの」
「もっと言って」
「愛してる。愛しているよ、しの」
「しあわせだよ、光」
僕は光の胸の中から自ら口づけをねだった。光は優しく微笑んで、僕の唇に唇を重ねてくれた。
――了――
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