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アリスみたいに目は覚めない1
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寝返りを打って大あくびをひとつ。
布団の中で伸びをする。
布団の外の身に染みる寒さを想像して身震い。
あー、起きたくない。
「フィーちゃん!!無事!?」
「アラステア!国一番の医学魔法師を呼ぼう!」
朝っぱらからハームズワース家は大騒ぎだ。
賑々しいことこの上ないフィランダーくんの母親は、今日も健在のようだ。
昨日は静かだったローレンスさんまで騒がしいな。
「おはようございます」
あくびを噛み殺して、布団から這い出す。
やはりパジャマ一枚では寒い。
挨拶をすると、騒がしかった二人が一瞬だけ静まり返った。
「フィーちゃん、おはよう。おかしなところは無い?」
「お腹が空いている程度です」
「フィーちゃん良かった!また元に戻っちゃったのかと」
痛たたた!
だからゴリラになるの止めてください!
元に戻ったってどういうこと?
昨日はなぜかローレンスさんに担がれて、2階のベッドに戻った僕。
いつの間にか寝てしまって、今しがた起きたところだ。
正直に言おう。
寝てしまえば、アラステアさんたちと交流したのは夢だった、というオチがつくと思っていた。
だがまだ私はフィランダー・ハームズワースのままだった。
この世界に来た事が夢ではなかったという事態に対するがっかり半分、新たな世界への期待半分といった心境だ。
いつの間にか赤いパジャマになっているのは、アラステアさんか誰かが着替えさせてくれたんだろう。
シルク製ではなく、綿のエメラルドグリーンのパジャマになっていて、昨日より暖かい。
「フィー。行くぞ」
ローレンスさんにアラステアさんを剥ぎ取られ、やっと苦しく無くなった。
そのまま昨日のモコモコカーディガンを着せられて、ローレンスさんに抱き上げられる。
ちょっと待ってローレンスさん、どこ行くの?
「ローレンス!フィーちゃんはまだ病み上がりなのよ!魔法なんてもっての他なのは、昨日の貴方のせいで分かっているでしょう?」
「でもテア、フィーは15時間も寝たままだったんだ。医学師にみせないと」
「フィーちゃんは貴方の魔法に耐えられません。ウチにはメレディス先生がいらっしゃるでしょう。ほら、おいでフィーちゃん」
15時間も寝てたのか。
どうりで頭がぼんやりしてるわけだ。
ローレンスさんに抱っこされながら、アラステアさんに言われるがままに手を伸ばす。
そのままアラステアさんに預けられるかと思いきや、ローレンスさんに抱え込まれる。
どういうこと?
「ローレンスさん?」
「パパ」
「え?」
「パパだよフィー」
「はい?」
「パパ」
「お父さん?」
「パパ」
えー?
ローレンスさんってこんな面倒な人だったの?
「パパ?」
「よく出来ました」
と言ったローレンスさんは、僕のほっぺにキスを落とした。
さすが外国。
「ラリー。遊んでないで、メレディス先生にみせるわよ」
「遊んでなんかないよ。フィーは僕らの子だろう?パパって呼んでほしいじゃないか。なー、フィー」
「フィーちゃんが認めてくれるまでゆっくり待つのが親でしょう?ねー、フィーちゃん」
え?
私がフィランダーくんになってしまっているのに、アラステアさんとローレンスさんは受け入れてくれるのかな?
「あの、僕を認めてくださるんですか?」
「どういう意味だ?」
「僕は貴方がたのお子さんを奪ってしまいましたよね?」
「ごめんねフィーちゃん、言っている意味がよく分からないわ」
二人はなぜか心底困惑している。
え?
そんな不思議な事言った?
「僕がフィランダーくんになってしまったので、貴方がたのフィランダーくんは失われてしまったのではないでしょうか?」
「あのねフィーちゃん、貴方が<妖精の悪戯>の器なのは私達分かっていたわ。だからその体は最初からずっと貴方のものなのよ」
「<妖精の悪戯>の器は<妖精の悪戯>が来るための体にすぎない。だから、我々の子のフィランダーはお前しか居ない。俺もテアも、フィランダーが前世の親だけでなく、我々を親として認めてくれるのを待っている」
「でも僕には、前世の記憶が中途半端にしか、なくて」
「それは我々にとって喜ぶべき事なんだ。その方が我々を親として受け入れやすいだろう」
「ラリーなんて『パパ』って刷り込みなんかしちゃって。いいのよ、気にしなくて。フィーちゃんのペースでこの生活に慣れていって」
なんだかまだ話を把握しきれてないけど、僕がフィランダーくんとして生きて問題ないのかな。
頭に父親による母親の連れ子への虐待という文言がよぎる。
父親は自分の子だとみなせないとその子を亡き者にしようとする、というどの動物も行う行動だ。
とはいえ被害者にとっては、たまったものではない。
言葉の上では受け入れてもらえて安心したような、もう少しゆっくり考えたいような。
とりあえずこの両親に甘えさせてもらって、ゆっくりこの世界に馴染んでいこう。
布団の中で伸びをする。
布団の外の身に染みる寒さを想像して身震い。
あー、起きたくない。
「フィーちゃん!!無事!?」
「アラステア!国一番の医学魔法師を呼ぼう!」
朝っぱらからハームズワース家は大騒ぎだ。
賑々しいことこの上ないフィランダーくんの母親は、今日も健在のようだ。
昨日は静かだったローレンスさんまで騒がしいな。
「おはようございます」
あくびを噛み殺して、布団から這い出す。
やはりパジャマ一枚では寒い。
挨拶をすると、騒がしかった二人が一瞬だけ静まり返った。
「フィーちゃん、おはよう。おかしなところは無い?」
「お腹が空いている程度です」
「フィーちゃん良かった!また元に戻っちゃったのかと」
痛たたた!
だからゴリラになるの止めてください!
元に戻ったってどういうこと?
昨日はなぜかローレンスさんに担がれて、2階のベッドに戻った僕。
いつの間にか寝てしまって、今しがた起きたところだ。
正直に言おう。
寝てしまえば、アラステアさんたちと交流したのは夢だった、というオチがつくと思っていた。
だがまだ私はフィランダー・ハームズワースのままだった。
この世界に来た事が夢ではなかったという事態に対するがっかり半分、新たな世界への期待半分といった心境だ。
いつの間にか赤いパジャマになっているのは、アラステアさんか誰かが着替えさせてくれたんだろう。
シルク製ではなく、綿のエメラルドグリーンのパジャマになっていて、昨日より暖かい。
「フィー。行くぞ」
ローレンスさんにアラステアさんを剥ぎ取られ、やっと苦しく無くなった。
そのまま昨日のモコモコカーディガンを着せられて、ローレンスさんに抱き上げられる。
ちょっと待ってローレンスさん、どこ行くの?
「ローレンス!フィーちゃんはまだ病み上がりなのよ!魔法なんてもっての他なのは、昨日の貴方のせいで分かっているでしょう?」
「でもテア、フィーは15時間も寝たままだったんだ。医学師にみせないと」
「フィーちゃんは貴方の魔法に耐えられません。ウチにはメレディス先生がいらっしゃるでしょう。ほら、おいでフィーちゃん」
15時間も寝てたのか。
どうりで頭がぼんやりしてるわけだ。
ローレンスさんに抱っこされながら、アラステアさんに言われるがままに手を伸ばす。
そのままアラステアさんに預けられるかと思いきや、ローレンスさんに抱え込まれる。
どういうこと?
「ローレンスさん?」
「パパ」
「え?」
「パパだよフィー」
「はい?」
「パパ」
「お父さん?」
「パパ」
えー?
ローレンスさんってこんな面倒な人だったの?
「パパ?」
「よく出来ました」
と言ったローレンスさんは、僕のほっぺにキスを落とした。
さすが外国。
「ラリー。遊んでないで、メレディス先生にみせるわよ」
「遊んでなんかないよ。フィーは僕らの子だろう?パパって呼んでほしいじゃないか。なー、フィー」
「フィーちゃんが認めてくれるまでゆっくり待つのが親でしょう?ねー、フィーちゃん」
え?
私がフィランダーくんになってしまっているのに、アラステアさんとローレンスさんは受け入れてくれるのかな?
「あの、僕を認めてくださるんですか?」
「どういう意味だ?」
「僕は貴方がたのお子さんを奪ってしまいましたよね?」
「ごめんねフィーちゃん、言っている意味がよく分からないわ」
二人はなぜか心底困惑している。
え?
そんな不思議な事言った?
「僕がフィランダーくんになってしまったので、貴方がたのフィランダーくんは失われてしまったのではないでしょうか?」
「あのねフィーちゃん、貴方が<妖精の悪戯>の器なのは私達分かっていたわ。だからその体は最初からずっと貴方のものなのよ」
「<妖精の悪戯>の器は<妖精の悪戯>が来るための体にすぎない。だから、我々の子のフィランダーはお前しか居ない。俺もテアも、フィランダーが前世の親だけでなく、我々を親として認めてくれるのを待っている」
「でも僕には、前世の記憶が中途半端にしか、なくて」
「それは我々にとって喜ぶべき事なんだ。その方が我々を親として受け入れやすいだろう」
「ラリーなんて『パパ』って刷り込みなんかしちゃって。いいのよ、気にしなくて。フィーちゃんのペースでこの生活に慣れていって」
なんだかまだ話を把握しきれてないけど、僕がフィランダーくんとして生きて問題ないのかな。
頭に父親による母親の連れ子への虐待という文言がよぎる。
父親は自分の子だとみなせないとその子を亡き者にしようとする、というどの動物も行う行動だ。
とはいえ被害者にとっては、たまったものではない。
言葉の上では受け入れてもらえて安心したような、もう少しゆっくり考えたいような。
とりあえずこの両親に甘えさせてもらって、ゆっくりこの世界に馴染んでいこう。
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