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出口へ
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「やっとここまで来たな」
視線の先には、公園の出口。
そこを通り抜ければ、外に出ることができる。
苦戦したのは最初の方に見つかりそうになったところだけで、他はそこまで苦労せずにここまで来ることができたのだった。
うまい具合に木々があるため、隠れながら進むことができたのが大きいのだろう。
が、
「ざっと、200メートルっていうところか……」
今までを思えば、距離としてみればそこまでだ。
しかし問題が一つあった。
「隠れるところがないな……」
ルナの言う通りだ。
出口付近だけあって、そこまではほぼ直通となっている。
だからか木々が申し訳程度にしかなく、ほとんど隠れるところがない。
さらには、逃げるのを警戒しているからか、かなり魔獣の数が多い。
すんなりとここまでこれたのは、数をここに持ってきていたのもあるかもしれない。
「どうする?」
「いや、まだ希望はある」
ルナの問いかけに、スッと指をさす。
そこには魔獣が1匹もいない。
しかもそのまま出口まで続いているのだった。
あそこを上手く見つからずに抜けることができれば公園から脱出できるだろう。
「あの道を行くぞ」
「待て、どうしてあの道だけ魔獣がたないんだ」
怪しむルナ。
確かに、何か保険くらいは考えておいた方がいいかもしれない。
俺は、スマホを確認した。
日没まで残り時間は5分。
ルナが怪我をしてからもだいぶ時間が経ち始めている。
平気そうな様子をしているが、時折顔をしかめているのには気づいていた。
どちらにせよ迷っている時間はない。
「一か八かかけるしかないだろう。いくぞ」
ザッと動き出す。
音を立てないよう、慎重に。
しかし、スピーディに。
魔獣がこちらに気づいたら終わりだ。
急げ。急げ。急げ。
はやる気持ちを抑えて、進む。
よし、残り100メートル。
いける。
あとは公園から出るだけーーー
「………っ」
そう、
思ったのがいけなかったのだろうか。
だから、
俺は気づいていなかった。
だから、
ヤツに気がつかなかった。
いや、
多分、
最初から罠だったのだ。
耳元で誰か囁いた。
「ねえ、どこに行くんだい?」
視線の先には、公園の出口。
そこを通り抜ければ、外に出ることができる。
苦戦したのは最初の方に見つかりそうになったところだけで、他はそこまで苦労せずにここまで来ることができたのだった。
うまい具合に木々があるため、隠れながら進むことができたのが大きいのだろう。
が、
「ざっと、200メートルっていうところか……」
今までを思えば、距離としてみればそこまでだ。
しかし問題が一つあった。
「隠れるところがないな……」
ルナの言う通りだ。
出口付近だけあって、そこまではほぼ直通となっている。
だからか木々が申し訳程度にしかなく、ほとんど隠れるところがない。
さらには、逃げるのを警戒しているからか、かなり魔獣の数が多い。
すんなりとここまでこれたのは、数をここに持ってきていたのもあるかもしれない。
「どうする?」
「いや、まだ希望はある」
ルナの問いかけに、スッと指をさす。
そこには魔獣が1匹もいない。
しかもそのまま出口まで続いているのだった。
あそこを上手く見つからずに抜けることができれば公園から脱出できるだろう。
「あの道を行くぞ」
「待て、どうしてあの道だけ魔獣がたないんだ」
怪しむルナ。
確かに、何か保険くらいは考えておいた方がいいかもしれない。
俺は、スマホを確認した。
日没まで残り時間は5分。
ルナが怪我をしてからもだいぶ時間が経ち始めている。
平気そうな様子をしているが、時折顔をしかめているのには気づいていた。
どちらにせよ迷っている時間はない。
「一か八かかけるしかないだろう。いくぞ」
ザッと動き出す。
音を立てないよう、慎重に。
しかし、スピーディに。
魔獣がこちらに気づいたら終わりだ。
急げ。急げ。急げ。
はやる気持ちを抑えて、進む。
よし、残り100メートル。
いける。
あとは公園から出るだけーーー
「………っ」
そう、
思ったのがいけなかったのだろうか。
だから、
俺は気づいていなかった。
だから、
ヤツに気がつかなかった。
いや、
多分、
最初から罠だったのだ。
耳元で誰か囁いた。
「ねえ、どこに行くんだい?」
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