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多分「G」か「H」はある。
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「行ったな、いくぞ」
「ああ」
魔獣が行ったのを見計らって、タイミングよく移動する。
そして魔獣に見つからないうちに他の木々の影に隠れる。
これを何度も繰り返して進んでいく。
ここには自然が多い。
色々隠れられるスペースがあるおかげで、なんとか見つからずに動けている感じだ。
本末転倒な話かもしれないが、ここが公園内でよかったかもしれない。
「なんとかゴールまで半分くらいってとこか」
隠れたタイミングでスマホを確認する。
約17時半。
「日没まで30分てところか。結構ギリギリだな」
「ああ、何が起こるか分からないし、できるだけ余裕を作っておきたいが……」
そう言いながらルナが少し身体を動かす。
それが背中越しに伝わってきた。
「………」
「魔獣の位置を確認したい、少し動いてくれないか」
「お、おう」
少し中腰になってルナが見えやすい位置を調整する。
敵の位置を確認しているのか、右に左にと軽く動く。
むにゅん。
「………」
「やはり逃げられるのを警戒しているからか、魔獣の数が増えてきているな」
むにゅん。
「………」
「く、時間がないというのに。
少しリスクはあるが、多少強引に行ってみるか?」
むにゅん。
「………」
「………」
「おい、勇斗」
「あ、はい」
ルナの呼びかけで意識が逸れていたのを無理やり戻す。
「さっきからどうかしたか?
なんとなく反応が薄いように見えるのだが」
「え゛?」
あ、やべ、変な声が出た。
「……やはり何かあるのか?
あるなら遠慮なく言ってくれ」
本気で心配しているような声が耳元で聞こえる。
すんごい罪悪感。
「い、いや……あの、その……ちょっと疲れてきちまって……」
「そうだったか……確かにさっきから動いてばかりだからな。
私のせいですまない」
ルナが申し訳なさそうな声で謝ってくる。
むにゅん。
「………」
ゴメンなさい嘘です、いや疲れてるのは本当だけど理由は別のところにあります、本当にゴメンなさい。
そう、それもこれも理由がちゃんとあるのだ。
ルナは俺と出会う前に魔獣に襲われて怪我をしていた。
だからうまく動くことができない。
しかし魔獣に見つからないように立ち回る必要があるので、必然的に俺が彼女を背負うことになった。
そこは問題ない。
割と趣味で鍛えている方なので、全然苦にはならない。
むしろ、めちゃくちゃ軽い。
さすが女の子って感じ。
しかしなー、当たるのよなー。アレが。
女の子を背負うということは、必然的に密着する形になる。
俺は背中が。
そしてルナは、胸元が密着する。
デカいのだ。「ぱい」が。
「おっ」が、デカいのだ。
背中越しなのにめっちゃ分かる。
形がめっちゃ分かるのだよ。
しかも移動しようと進む度に、すんごい揺れる揺れる。
思春期の男子にはただの【殺戮兵器】である。
そのせいでさっきから意識がそっちに向いてばかりで、色々限界に来ていた。
喋り方は割と中性的な感じなのに、ボディはめっちゃ女の子なのよなぁ。
なんなら、同年代でこんなにスタイルいい子にあったことないよ。
そのくらいすんげえええの!
「………」
ダメだ、意識が持っていかれすぎて頭がおかしくなってきてる。
なんとか魔獣に意識を戻して気を紛らわせないと。
「よ、よし、
時間もないしさっさと行くぞ!」
気を逸らすために立ちあがろうとした時だ。
「っ、待てっ」
「ぐえっ」
グイッとルナが後ろに重心を傾けた。
そうなると当然、その方向へ重力に引っ張られることになる。
その反動で立ちあがろうとしていた俺達は、その場に倒れ込んだ。
「動くな」
倒れた拍子に上下が入れ替わったのか、ルナが上に、下が俺になっていた。
そしてそのまま馬乗りになるような形で、ルナが俺に密着してきた。
「………っ」
「静かに、すぐそこに魔獣がいる」
そう言って少しでも見つからないようにするためか、強く身体に密着してきた。
ぎゅっと音が鳴りそうなくらいに抱きしめてくれている。
もちろん、強く密着しているので、当然大きな胸元の感触も強調されていた。
うん、これダメなやつだわ。
「ああ」
魔獣が行ったのを見計らって、タイミングよく移動する。
そして魔獣に見つからないうちに他の木々の影に隠れる。
これを何度も繰り返して進んでいく。
ここには自然が多い。
色々隠れられるスペースがあるおかげで、なんとか見つからずに動けている感じだ。
本末転倒な話かもしれないが、ここが公園内でよかったかもしれない。
「なんとかゴールまで半分くらいってとこか」
隠れたタイミングでスマホを確認する。
約17時半。
「日没まで30分てところか。結構ギリギリだな」
「ああ、何が起こるか分からないし、できるだけ余裕を作っておきたいが……」
そう言いながらルナが少し身体を動かす。
それが背中越しに伝わってきた。
「………」
「魔獣の位置を確認したい、少し動いてくれないか」
「お、おう」
少し中腰になってルナが見えやすい位置を調整する。
敵の位置を確認しているのか、右に左にと軽く動く。
むにゅん。
「………」
「やはり逃げられるのを警戒しているからか、魔獣の数が増えてきているな」
むにゅん。
「………」
「く、時間がないというのに。
少しリスクはあるが、多少強引に行ってみるか?」
むにゅん。
「………」
「………」
「おい、勇斗」
「あ、はい」
ルナの呼びかけで意識が逸れていたのを無理やり戻す。
「さっきからどうかしたか?
なんとなく反応が薄いように見えるのだが」
「え゛?」
あ、やべ、変な声が出た。
「……やはり何かあるのか?
あるなら遠慮なく言ってくれ」
本気で心配しているような声が耳元で聞こえる。
すんごい罪悪感。
「い、いや……あの、その……ちょっと疲れてきちまって……」
「そうだったか……確かにさっきから動いてばかりだからな。
私のせいですまない」
ルナが申し訳なさそうな声で謝ってくる。
むにゅん。
「………」
ゴメンなさい嘘です、いや疲れてるのは本当だけど理由は別のところにあります、本当にゴメンなさい。
そう、それもこれも理由がちゃんとあるのだ。
ルナは俺と出会う前に魔獣に襲われて怪我をしていた。
だからうまく動くことができない。
しかし魔獣に見つからないように立ち回る必要があるので、必然的に俺が彼女を背負うことになった。
そこは問題ない。
割と趣味で鍛えている方なので、全然苦にはならない。
むしろ、めちゃくちゃ軽い。
さすが女の子って感じ。
しかしなー、当たるのよなー。アレが。
女の子を背負うということは、必然的に密着する形になる。
俺は背中が。
そしてルナは、胸元が密着する。
デカいのだ。「ぱい」が。
「おっ」が、デカいのだ。
背中越しなのにめっちゃ分かる。
形がめっちゃ分かるのだよ。
しかも移動しようと進む度に、すんごい揺れる揺れる。
思春期の男子にはただの【殺戮兵器】である。
そのせいでさっきから意識がそっちに向いてばかりで、色々限界に来ていた。
喋り方は割と中性的な感じなのに、ボディはめっちゃ女の子なのよなぁ。
なんなら、同年代でこんなにスタイルいい子にあったことないよ。
そのくらいすんげえええの!
「………」
ダメだ、意識が持っていかれすぎて頭がおかしくなってきてる。
なんとか魔獣に意識を戻して気を紛らわせないと。
「よ、よし、
時間もないしさっさと行くぞ!」
気を逸らすために立ちあがろうとした時だ。
「っ、待てっ」
「ぐえっ」
グイッとルナが後ろに重心を傾けた。
そうなると当然、その方向へ重力に引っ張られることになる。
その反動で立ちあがろうとしていた俺達は、その場に倒れ込んだ。
「動くな」
倒れた拍子に上下が入れ替わったのか、ルナが上に、下が俺になっていた。
そしてそのまま馬乗りになるような形で、ルナが俺に密着してきた。
「………っ」
「静かに、すぐそこに魔獣がいる」
そう言って少しでも見つからないようにするためか、強く身体に密着してきた。
ぎゅっと音が鳴りそうなくらいに抱きしめてくれている。
もちろん、強く密着しているので、当然大きな胸元の感触も強調されていた。
うん、これダメなやつだわ。
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