家族もチート!?な貴族に転生しました。

夢見

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第3章

82話 帝国side

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帝国side


オルフェウスたちが行動している頃、帝国の城では王国を落とすための準備が着々と進められていた。

「ほ、報告します!!」
皇帝は、遂に王国を攻め落とすことが出来るという期待でいっぱいであったが慌ててきた部下によって現実へと引き戻された。
「なんだ騒がしい。急にどうしたんだ。」
「申し訳ございません。魔族たちが第一王女の誘拐に失敗したようです。それから、裏で手引きしていた我々のことも何者かが調べたらしく王国側が何かアクションを起こしてくるようです。」
皇帝の期待は無残にも消えていく。数百体もの魔族を王国に侵入させたにも関わらず王女の誘拐は失敗、しかもこちらがやったということがバレている。そんな状況で期待を持っていられるほど馬鹿ではなかった。

「それは真か?証拠は?この城に侵入された形跡等はないはずだぞ?あったらすぐ連絡が来るはずだし。どうやって調べられた。」
部下をにらみつけるようにそう言い放つ。
「それが...全くわかっていないようです。魔族が勝手に行ったように偽装で来ていたはずなのですがなぜか帝国のところまでたどり着いたようで。」
「なに?わかっていない?なにかしらあるだろう。誰が動いたとかまさかあの家族が動いたのか?」
「いえ、公爵家が出てきている話は聞いておりません。」
公爵家が出ていないということにほっとしていると同時に公爵家以外の人間が魔族を撃退するだけの力を持っているということに驚きを隠せなかった。

「わかった。下がってくれ。」

報告に来た部下を下がらせ1人椅子に座って目を瞑る。皇帝は頭が真っ白であった。入念に計画を練ったはずの誘拐が失敗に終わった。それが何を意味するのか考えたくもなかった。
だが、起きてしまったことは変えることが出来ない。焦る思いを抑えつつどうにかできないかと頭を悩ませる。
その時であった。

“困っているようだな。”
部屋には皇帝一人のはずなのに皇帝の者でない影が現れた。
「何者だ?」
驚きはしたものの一国の王であるためなんとかポーカーフェイスを保つことが出来た。
“我は○○○○である。”

その影が名乗った名前に皇帝は震えあがった。
「ま、まさか本当に存在しているというのか!?」
“そんなことはどうでもよい。我が助けてやろう。”
「いや、しかし...」
皇帝にとってその影からの提案はとても良いものだった。だが、そう簡単にその影とかかわりを持つのは危険であるのも事実であった。

「...わかった。助けてくれ。」
どうせ、王国を落とすためには莫大な力がいる。それを補うためには影の力を借りるほかないと判断した皇帝は手を取ることを選択した。

その選択が、帝国を王国を大陸全土を苦しめることになってしまうとも知らずに。
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