家族もチート！？な貴族に転生しました。

第３章

80話 オルフェウスVS魔族

オルフェウスVS魔族


地下は、少し薄暗く視界があまりよくないところであった。
オルフェウスにとっては支障の出るものではないが好き好んでそうしようとは思わないだろう。先ほどから魔族とすれ違うが誰一人オルフェウスを気にしている様子はない。
それは、オルフェウスが自身の魔法で相手からの認識を極限まで無くしているからであった。

「ここが、中心みたいだな。」
重厚感のある扉の前までやってきた。奥では、5人が何やら話し合いをしているみたいである。
ノックもせず、ドアを開けるオルフェウス。急に開いたドアに中の5人は驚いた表情をしている。
「何をしているんだ！？」
魔族の1人がそう叫ぶ。他の魔族たちもそれにつられ動き出す。
「お前何者だ。」
座っていた席からして一番立場が上であるだろう魔族が怪しんだ様子で聞く。

「これは、ご挨拶が遅れました。私は、シオン様のおそばにおります。オルフェウスと申します。先日より色々とお世話になりましたのでそのお礼に参りました。」
ニコニコしている顔に魔族は寒気が止まらなかった。

「お前ら、今すぐ全実験体を連れてこい。結構まずいな。」
焦りと恐怖で心がいっぱいになっている魔族たちを他所にオルフェウスは緊張どころか興味すらあまり無いようであった。
「実験体が出てくる前に貴方たちには、少し眠ってもらいますよ。」
その言葉と同時に左側にいた2人が後ろの壁へと突撃した。
「くそ、実験体たちはまだか。」
「もう少しで来るはずです。」
一瞬で2人がやられたことに焦りが増す。しかし、その焦りもすぐに消えた。

「実験体たちが来たようです。そいつを殺せ！」

実験体が到着してすぐそう命令する。実験体たちは全員で200人ほどだろうか。そのくらいの魔族たちが一斉に飛びかかる。
「少し、本気を出しますか。」

オルフェウスは抑えていた魔力を開放する。そのせいで、建物は揺れギシギシと音を立てていた。

「なんて力だ...」
「これほどまでに力の差があったなんて...」
実験体たちの持っていた自信と焦りが消えていた3人の心には恐怖という感情で埋め尽くされていた。

「逃げられると思わないでくださいね。」
そう聞こえた時には、ほとんどの魔族の意識は闇の中に消えていた。

「後は、貴方たちだけですよ？」
3人に向けそう発する。全く動く気配がない。いや動けないという方が正しいかもしれない。
恐怖に侵食された体は思考力の低下と体の震えのせいでいうことを効かない。

「殺しはしませんので大丈夫です...少なくとも今は。」

その場にいた全員を無力化したオルフェウスはこの場にいない008を探していた。

・・・
・・・・・

オルフェウスは数分で見つけることが出来た。
「つけられてるとは思いませんでしたよ。」
魔族は、それだけ言うとオルフェウスに走り出した。