家族もチート!?な貴族に転生しました。

夢見

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第3章

77話 終わらぬ悪

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終わらぬ悪


コンコンコン
「リーナ、僕だけど入っても大丈夫かな。」
シオンは、リーナの返事を待つ。少し掠れた声で返事が返ってきたのでドアを開けた。相当泣いたのだろう。それが良くわかるそんな声だった。
「シオン様。本当にありがとうございました。」
「全然、いいんだよ?お姉さん、無事に戻ってきてよかったね。」
「はい。本当によかったです。」


「...リーナ、少し下がっててくれるかい。」
「わ、わかりました。」
強張った声でリーナを守るような体制をとる。リーナは、急な出来事にわけもわからぬまま指示に従った。
「出てきたら?」
シオンは窓の方へと声をかける。それは先ほどリーナにかけた声よりも更に低い威圧感のある声だった。
「おやおや、バレていましたか。」
男が姿を現したのはすぐのことだった。細身の引き締まった体つきの男は見るからに弱そうな見た目と裏腹に自信満々といった顔をしていた。
「気づかないわけないでしょ?手を出されないようずっと護衛を付けてたんだから。」
シオンの後ろに二つの影が出来る。
「ディアーナ、監視ありがとう。オルフェウス。こいつが黒幕?」
「ありがとうございます。」
「後ろにもっと大きな方がついているようですが今回の件に関して言うと黒幕といえるでしょうか。」
「なるほど。わかった。お兄さんでいいのかな?僕と取引しよ?乗ってくれるなら命までは取らないよ?」
シオンは、ニコッとして提案する。
「こちらの方が不利みたいですね。残念ですが本日はお暇させていただきますね。」
ディアーナとオルフェウスが急に現れたにも関わらず驚かなかったのは気づいていたのか、それとも動揺を隠しているだけか。どちらにせよ。ただで逃がすつもりは毛頭なかった。
「交渉決裂。オルフェウス捕まえて。」
「かしこまりました。」
後ろから声が聞こえた次の瞬間には、男の後ろにオルフェウスの姿があった。
「さすがですね。神級悪魔というだけあって普通にやりあったら5秒持たないでしょう。でも、残念。」
オルフェウスが男を気絶させようと放った攻撃は男にあたることは無かった。
「“浄化“」
ディアーナが瞬時に判断して部屋を浄化する。
「今のは、疫病?ディアーナ、あいつは伯爵級魔族だよね。こんなスキル普通持っているのかい。」
シオンは、正直驚いていた。見た感じ固有スキルであろうそのスキルを持っているということは公爵級魔族になれるはずだ。それなのに、あの魔族は伯爵級である。その事に驚きを隠せなかった。
「はい。伯爵級であることは間違いないでしょう。あのスキルも固有スキルの可能性が高い。もしかしたら、“実験体”かもしれませんね。」
「“実験体”?」
「はい。名前の通り実験に使用された被験者のことです。噂は聞いたことがありましたがまさか本当に...」
「そちらの、神級天使もさすがですね。そうです。私は実験体008番疫病シリーズの1人です。それでは、皆さん私は行きますね。」
その男は、風のように消えていった。

「オルフェウス!急いでこの国で疫病が発生していないか調べてくれ。ディアーナは、すぐ浄化できるように待機。何かあればオルフェウスと協力して浄化をお願い。僕は、陛下たちに報告してくる。」
「「かしこまりました。」」
「頼んだよ。リーナも一緒に行こうか。」
「はい。」

シオンたちは、急いで各自の仕事にとりかかった。
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