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第3章
51話 的中
しおりを挟む「それでは、始めてください。」
その声を聞いて両者は同時に動き出した。
そして、次の瞬間騎士の後ろをラウルが取り思いっ切り拳をふるった。しかし、それは騎士に届くことはなく、それどころか返り討ちにあってしまった。一瞬ではあるが、騎士の方に魔力を動かした感じが見られたので多分何か仕掛けたのだろう。ただ、まだそれが分からないのに中断させるのはさすがにできない。
そう考えている間にもラウルが一方的にやられていた。ラウルは、移動速度も魔力操作も、攻撃力も騎士に勝っているはずだ。それなのに、一方的にやられるのは何かがおかしい。それに、さっきから明らかに動きが鈍くなっている。なぜ、ラウルが一方的に負けているのか。その原因は、騎士を鑑定したらわかった。そして、騎士はラウルを殺そうとしていることにも気づいたので止めに入った。
「僕の仲間に手を出したんだからどうなるかわかってるよね?騎士さん?」
俺は、騎士が持っていた剣を粉々にした。すると、騎士は驚いて距離を取るために大きく後ろへジャンプした。
「ちょっと、君。何をしているのかな。今、試験中なんだけど。」
少し怒った感じの教師が話しかけてきた。こいつもグルだな。直感でそう感じたシオンは気を引き締め直す。
「この試験は、魔法や魔道具は禁止のはずですが?それとも、騎士は使っていいなんてルールありましたっけ?」
そういうと、教師と騎士は少しびっくりした様子をしたがすぐに顔を変えて何のことかわからないな見たいな顔を言ってきた。
「言いがかりはやめなさい。何か証拠でもあるのかい?」
教師は、ドヤ顔で行ってきた。
「確かに、証拠は今のところありませんね。でも、ステータスを見たらわかるはずですよ。貴方が魔眼を使って相手の動きを鈍くしていることを。」
教師と、騎士はびっくりした。バレることなんてないと思っていたからだろう。
「それで、司祭でも連れてきましょうか?そうすれば、一発でわかることだと思いますしね。」
少し挑発しただけなのに、騎士はキレ気味に言ってきた。
「おい、ガキ。第一騎士団に所属している俺にそんな口の利き方をしてどうなるかわかってんだろうな?」
騎士が新しい剣を抜いたと思った瞬間、物凄いスピードでこっちに攻撃を仕掛けてきた。そして、その剣は、魔剣だった。ただし、シオンが持っているほどの力はない。それでも、魔剣は相当な力を持っている。
「はぁ、ほんとにめんどくさいな。そんなことしたら、自白しているようなもんなのに。」
シオンは、ギリギリまで動かなかった。それは、本気を出すまでもなく倒せると確信しているからであって、慢心しているわけではない。
そして、騎士は確実に殺したと思った。それは単なる罠だとも知らずに。ただでさえ、シオンに勝てる実力のない人間が罠にかかって勝てるはずがない。シオンは冷静に火魔法で剣を溶かした。溶かされるとは思ってもいなかった騎士は動揺してしまった。その隙を見逃すほどシオンは甘くなかった。懐に一瞬で入り綺麗な大外刈りで騎士を倒した。
「よっわ!?こんな弱いのに第一騎士団に入れたの?弱すぎて話にならないじゃん。」
この場に居合わせたすべての人が思っただろう。お前が強すぎると。
「ほほっ、フェルリア先生これはどういう事かな?」
そこに、校長先生が現れた。ちなみに、水晶のやつが終わり校舎の方へ行った校長だがすぐに、気配が運動場に戻ってきていたのに気づいていた。多分、アルフレッド、ブレイブ、そして校長先生もグルなのかもしれない。
「校長先生!?これは、えっとですね...」
騎士の仲間と思われる先生改め、フェルリアは言い訳を必死に考えていた。それもそのはず、校長は気配を消して運動場にいた。なので、気づくことが出来なかったのだろう。
「どういう事かと聞いておるのだ。まぁ、ずっと見て負ったからわかっているがな。警備員はこいつらを連れていけ。シオン君、すまないね。」
校長先生が謝ってきた。
「いいですよ。気にしないでください。あ、それと、ここに倒れている受験者に回復をかけときますね。≪ハイヒール≫」
そう唱えると倒れていた人たちの体が光りだした。そして、光は静まり、一人、また一人と起き上がり始めた。
「さぁ、受験生諸君この度はうちの人間が本当にすまなかった。しかし、この目で全員の強さを見たので、剣術の試験はそれで点数を付けることにする。試験はこれで終了じゃ。来週、合格発表があるから期待しておくように。」
こうして、入学試験は終わった。
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