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番外編:多分、もう愛だった
(3)-2
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克巳が小さな小包を鞄から出した。
「なに?これ」
「今更、迷惑とも思ったけど…約束、したからどうしても渡したかった」
そう言われ、奏は唐突に思い出した。
まだ恋人だった頃、クリスマスプレゼントは必ず送り合おうと約束していた。
「迷惑だよね?下心とかあって渡したわけじゃないんだ。ただ、自分で捨てるのもなんか嫌だったから…迷惑承知で奏がもらってくれるなら嬉しい、です」
「ちなみに中身、なに?」
「…ケーキ」
「それ、狡いって克巳。だって俺が食べ物に弱いって知ってんだろ?」
言うと克巳が罰の悪そうな顔をした。その顔に以前、付き合っていた頃のことを思い出す。
昔から都合が悪くなると眉を八の字にしてまるで叱られた犬のようになるのは、今でも変わっていない。
「ハハっ、克巳、お前、変わってなさすぎ」
思わず、笑ってしまった。気まずさは吹き飛んで懐かしさが上回る。
「…奏は変わったね」
「そうか?」
「よく、笑うようになった。彼のおかげかな?」
「ああー…そうかな?」
「…本当は僕が奏を笑わせてあげたかった」
見つめられ、気付けば克巳の手が奏の頬に触れた。
「克巳、それ、どういう」
「奏は今、幸せ?」
問われ、答えようとして、けれどその目の切なさに言葉が出ない。
克巳に対して自分も悔いがあるように、もしかしたら克巳も奏に対して悔いがあるのかもしれない。
悔いがあったとしても解決することはできない。過去には戻れない。けれどもしこの瞬間、何かできるのだとしたら。
何かしなければきっとお互い、悔いが残る。それはしこりになって根深く残る。
克巳の顔に手を伸ばした。頬に触れそうなところまで手を伸ばしたそのとき、
「奏ッ!」
声が聞こえ、振り向くとエプロン姿のユウリがこちらを見つめて店の前に立っていた。
「なに?これ」
「今更、迷惑とも思ったけど…約束、したからどうしても渡したかった」
そう言われ、奏は唐突に思い出した。
まだ恋人だった頃、クリスマスプレゼントは必ず送り合おうと約束していた。
「迷惑だよね?下心とかあって渡したわけじゃないんだ。ただ、自分で捨てるのもなんか嫌だったから…迷惑承知で奏がもらってくれるなら嬉しい、です」
「ちなみに中身、なに?」
「…ケーキ」
「それ、狡いって克巳。だって俺が食べ物に弱いって知ってんだろ?」
言うと克巳が罰の悪そうな顔をした。その顔に以前、付き合っていた頃のことを思い出す。
昔から都合が悪くなると眉を八の字にしてまるで叱られた犬のようになるのは、今でも変わっていない。
「ハハっ、克巳、お前、変わってなさすぎ」
思わず、笑ってしまった。気まずさは吹き飛んで懐かしさが上回る。
「…奏は変わったね」
「そうか?」
「よく、笑うようになった。彼のおかげかな?」
「ああー…そうかな?」
「…本当は僕が奏を笑わせてあげたかった」
見つめられ、気付けば克巳の手が奏の頬に触れた。
「克巳、それ、どういう」
「奏は今、幸せ?」
問われ、答えようとして、けれどその目の切なさに言葉が出ない。
克巳に対して自分も悔いがあるように、もしかしたら克巳も奏に対して悔いがあるのかもしれない。
悔いがあったとしても解決することはできない。過去には戻れない。けれどもしこの瞬間、何かできるのだとしたら。
何かしなければきっとお互い、悔いが残る。それはしこりになって根深く残る。
克巳の顔に手を伸ばした。頬に触れそうなところまで手を伸ばしたそのとき、
「奏ッ!」
声が聞こえ、振り向くとエプロン姿のユウリがこちらを見つめて店の前に立っていた。
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