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「詩音が言うには、プロテインにも種類があるとか」
言うのは最近、聞いたばかりの知識だ。
薬局で買ったプロテインの粉を水で溶き、飲んでいると、詩音がプロテインの入った箱を見ながら唐突に説明し始めたのだ。
「何でも、プロテインと一口に言っても種類があって」
「へえ」
「ホエイとカゼインとソイらしいです」
言いながら、そういえば昨日の夕飯は、最近、詩音の中でブームになっている食事の解説がなかったと思った。
「どう違うんですか?」
「実は俺もよくはわかってなくて。ただ、筋肉を増やしたいならホエイがいいってことだけは覚えてます」
「へえ、なるほど。勉強になります」
「って言っても、詩音の知識ですけどね」
そう言うと、お互い、顔を見合わせて笑った。
「それにしても、三田さんと詩音さんって本当に仲がいいんですね?」
「そう、見えますか?」
「三田さん、詩音さんのこと話してる時、楽しそうですよ」
言われ、顔に熱が集まりそうで、焦る。
楽しそう、とは一体、どんな表情をしているのだろうか。まさか、緩み切っているわけではないだろう。
けれど、ふと、以前に似たようなことを言われたと思い出した。たしかあれは、藍田の一言だ。
『何でそんな辛気臭そうな顔してんのよ』
あの時もまさか、俺が。そう、思ったものだ。
思えば、あの時も詩音の態度に悩んでいた。そして今も、詩音のことを言われ、顔が火照っている。
昔、母親から『もっと嬉しいって言っていいのよ』と、言われたことを思い出す。昔から感情が表情に出ない惣一郎に、母親はそう言っていた。
きっと、詩音だからだ。と、気が付く。
詩音のことになると、感情が表情に出る。嬉しい時も悲しい時も、そうなのだ。
「大学の頃から、つるんでるんです」
火照りを誤魔化すように言うと、三月が「失礼ですけど、今、おいくつですか?」と問う。
「二十五歳です。詩音も同じです」
「じゃあ、もう七年?」
改めて言われると、もうそんなに月日が経ったのかと思わされる。
それくらい、詩音との時間は早く、あっという間に感じる。
「その、それで、実は三月さんに詩音のことで相談があるのですが」
言うのは最近、聞いたばかりの知識だ。
薬局で買ったプロテインの粉を水で溶き、飲んでいると、詩音がプロテインの入った箱を見ながら唐突に説明し始めたのだ。
「何でも、プロテインと一口に言っても種類があって」
「へえ」
「ホエイとカゼインとソイらしいです」
言いながら、そういえば昨日の夕飯は、最近、詩音の中でブームになっている食事の解説がなかったと思った。
「どう違うんですか?」
「実は俺もよくはわかってなくて。ただ、筋肉を増やしたいならホエイがいいってことだけは覚えてます」
「へえ、なるほど。勉強になります」
「って言っても、詩音の知識ですけどね」
そう言うと、お互い、顔を見合わせて笑った。
「それにしても、三田さんと詩音さんって本当に仲がいいんですね?」
「そう、見えますか?」
「三田さん、詩音さんのこと話してる時、楽しそうですよ」
言われ、顔に熱が集まりそうで、焦る。
楽しそう、とは一体、どんな表情をしているのだろうか。まさか、緩み切っているわけではないだろう。
けれど、ふと、以前に似たようなことを言われたと思い出した。たしかあれは、藍田の一言だ。
『何でそんな辛気臭そうな顔してんのよ』
あの時もまさか、俺が。そう、思ったものだ。
思えば、あの時も詩音の態度に悩んでいた。そして今も、詩音のことを言われ、顔が火照っている。
昔、母親から『もっと嬉しいって言っていいのよ』と、言われたことを思い出す。昔から感情が表情に出ない惣一郎に、母親はそう言っていた。
きっと、詩音だからだ。と、気が付く。
詩音のことになると、感情が表情に出る。嬉しい時も悲しい時も、そうなのだ。
「大学の頃から、つるんでるんです」
火照りを誤魔化すように言うと、三月が「失礼ですけど、今、おいくつですか?」と問う。
「二十五歳です。詩音も同じです」
「じゃあ、もう七年?」
改めて言われると、もうそんなに月日が経ったのかと思わされる。
それくらい、詩音との時間は早く、あっという間に感じる。
「その、それで、実は三月さんに詩音のことで相談があるのですが」
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