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藍田と付き合っていたのは、高校一年の頃だった。
なんとなく、気が合って話も合って。
良き友人だったのだが、高校生ともなれば色恋沙汰に夢中で、そして敏感だ。
悪意のないお膳立てを受け、自然と付き合うことになっていたのだ。
「別に恨んでるわけじゃないよ?でも、成長してないなって」
「そうか?」
「あんただけじゃなくて、私もね」
一瞬、核心を突かれた気がして心臓が縮みそうになった。が、続く言葉にその言葉の本質は、きっと、藍田の今の彼氏のことだろうと思った。
藍田には彼氏がいる。藍田より二歳年下で、今年、新社会人になったばかりの彼氏。
「まだ喧嘩してんのか?」
「絶賛喧嘩中」
溜息を吐きながら言うところを見ると、たしか二日前から続いていた喧嘩はまだ、決着がついていないのだと悟る。
「わかるよ?社会人一年目なんて、上司のいうことに逆らえないもんだし」
「たしかに」
「学生の頃と違って、ストレスだってあるし」
「そうだな」
「でもさ、休みなんだったら、私のとこ来いよって」
二十三歳といえば、仕事が終わっても有り余るほどの体力を持っている頃だ。そして、好奇心も強い。
藍田の彼氏も例外ではなく、平日も休日も、上司や同期と社会勉強という名の飲みに行っているそうで、喧嘩の理由もそれが原因だったのだ。
頼もしく頼られ、それを苦ともしない藍田だが、実は恋人とは常に一緒にいたいタイプである。
昔、惣一郎と付き合っていた時も、そういう節はあった。
元々、付き合っていた当時はお互い、好きで好きでという感情で付き合ったわけでもなく、惣一郎も藍田と恋人になったという自覚はなかった。高校生によくある、友人の延長線上という感覚だ。
だから、普通に、惣一郎は藍田に変わらずに接していたし、他の友人と変わらぬ態度で遊びにも誘っていた。
週末に遊ぶと友人が言えば、藍田を誘い、藍田からも誘われ。二人だったり、そうじゃなかったりと、その時によって状況は様々だったが、それをおかしいとは少しも感じていなかった。
が、それは惣一郎の方だけだった。
付き合って一か月、藍田から別れようと言われた。理由は惣一郎が彼氏らしくないということ。
藍田は友人と恋人をきっぱり分ける性格で、だからこそ、他の友人と変わらない態度を取る惣一郎とは続かないと思ったのだろう。
なんとなく、気が合って話も合って。
良き友人だったのだが、高校生ともなれば色恋沙汰に夢中で、そして敏感だ。
悪意のないお膳立てを受け、自然と付き合うことになっていたのだ。
「別に恨んでるわけじゃないよ?でも、成長してないなって」
「そうか?」
「あんただけじゃなくて、私もね」
一瞬、核心を突かれた気がして心臓が縮みそうになった。が、続く言葉にその言葉の本質は、きっと、藍田の今の彼氏のことだろうと思った。
藍田には彼氏がいる。藍田より二歳年下で、今年、新社会人になったばかりの彼氏。
「まだ喧嘩してんのか?」
「絶賛喧嘩中」
溜息を吐きながら言うところを見ると、たしか二日前から続いていた喧嘩はまだ、決着がついていないのだと悟る。
「わかるよ?社会人一年目なんて、上司のいうことに逆らえないもんだし」
「たしかに」
「学生の頃と違って、ストレスだってあるし」
「そうだな」
「でもさ、休みなんだったら、私のとこ来いよって」
二十三歳といえば、仕事が終わっても有り余るほどの体力を持っている頃だ。そして、好奇心も強い。
藍田の彼氏も例外ではなく、平日も休日も、上司や同期と社会勉強という名の飲みに行っているそうで、喧嘩の理由もそれが原因だったのだ。
頼もしく頼られ、それを苦ともしない藍田だが、実は恋人とは常に一緒にいたいタイプである。
昔、惣一郎と付き合っていた時も、そういう節はあった。
元々、付き合っていた当時はお互い、好きで好きでという感情で付き合ったわけでもなく、惣一郎も藍田と恋人になったという自覚はなかった。高校生によくある、友人の延長線上という感覚だ。
だから、普通に、惣一郎は藍田に変わらずに接していたし、他の友人と変わらぬ態度で遊びにも誘っていた。
週末に遊ぶと友人が言えば、藍田を誘い、藍田からも誘われ。二人だったり、そうじゃなかったりと、その時によって状況は様々だったが、それをおかしいとは少しも感じていなかった。
が、それは惣一郎の方だけだった。
付き合って一か月、藍田から別れようと言われた。理由は惣一郎が彼氏らしくないということ。
藍田は友人と恋人をきっぱり分ける性格で、だからこそ、他の友人と変わらない態度を取る惣一郎とは続かないと思ったのだろう。
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