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ep25 ネーミング
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「タイセー。貴様のおかげで随分と面白かったぞ」
ビーチャムがにやりと微笑する。
「えっ?」
「貴様が言い出さなければ取り組まなかったことだからな。魔力注入魔導具の研究開発は予想以上に興味深いものだった。他の研究にも間違いなく活きてくるだろう」
「それは良かった」
大成は嬉しそうに顔を綻ばせると、あることを思いつく。
「なあビーチャム。名前をつけないか?」
「この魔力注入魔導具にか?」
「魔力注入魔導具じゃ味気ないだろ。愛着もわきづらいし」
「そんなもの必要か?」
「必要だよ。なんせ俺たちのビジネスの大いなる第一歩となる偉大な魔導具だからな」
「それならばタイセーが考えろ。僕はそういうセンスは皆無だ」
「なんだよ。ビーチャムが作ったんだろ」
「貴様が考えたんだ。そういう意味では発明者は貴様だ」
「俺は考えただけだ。具現化したのはお前だ」
「発想あっての具現だ」
妙な譲り合いをする青年ふたり。
次第にふたりは、どちらともなくクスッと吹き出した。
「わかったわかった。じゃあ俺が名前を考えるよ」
「そうしてくれ」
「意外と謙虚なんだな。ビーチャムって」
「意外とは何だ。失礼な奴だ」
「冗談だよ冗談」
「僕はただ公平性を重視するだけだ」
そう言ってビーチャムはきびすを返すと、キッチンに行ってコーヒーを淹れ始めた。
「さて、考えるか......」
大成は椅子に腰をおろし、思考を巡らせた。
数分後。
ビーチャムがコーヒーカップを持って戻ってきた時、大成は開口一番で口にした。
「〔魔法の泉〕でどうかな」
「ほう。魔法の泉か」
「妖精の泉の洞窟の石でできた石鍋で、魔法石に魔力が込められる。まるで妖精の泉に浸かった石ころが魔法の石に変わるようなイメージが浮かんでさ。でも〔妖精の泉〕だとなんかしっくりこなくて。それで〔魔法の泉〕ならどうかなって」
「なるほど。良い名前だと思う」
ビーチャムは素直に感心してそのセンスを認めた。
「じゃ、それで決まりで」
ということで、魔力注入魔導具は〔魔法の泉〕に決定した。
ここでビーチャムが「そういえば」と思い出したように火の魔法石を手に取る。
「タイセー。これの名前もつけるのか?」
「あっ」
そうだ。火の魔法石はすぐに商品としてお客様の手に届く物だ。
商品名は絶対に必要じゃないか!
大成は慌てて思考する。
が、まもなく彼の口から飛び出してきたモノは、ビーチャムを唖然とさせた。
「それじゃ、火の魔法石は......」
「うむ」
「メラパッチンで」
「メラパッチン?」
「火が燃えると、メラメラ、パチパチってなるだろ?」
「そんな子供みたいな......」
「わかりやすくていいだろ?」
「ちなみに、なぜメラパチではなく、メラパッチンなんだ?」
「うーん、語呂?リズム?」
「はあ......」
この男、センスがあるのかないのかわからない......ビーチャムは茫然と大成を見つめた。
ビーチャムがにやりと微笑する。
「えっ?」
「貴様が言い出さなければ取り組まなかったことだからな。魔力注入魔導具の研究開発は予想以上に興味深いものだった。他の研究にも間違いなく活きてくるだろう」
「それは良かった」
大成は嬉しそうに顔を綻ばせると、あることを思いつく。
「なあビーチャム。名前をつけないか?」
「この魔力注入魔導具にか?」
「魔力注入魔導具じゃ味気ないだろ。愛着もわきづらいし」
「そんなもの必要か?」
「必要だよ。なんせ俺たちのビジネスの大いなる第一歩となる偉大な魔導具だからな」
「それならばタイセーが考えろ。僕はそういうセンスは皆無だ」
「なんだよ。ビーチャムが作ったんだろ」
「貴様が考えたんだ。そういう意味では発明者は貴様だ」
「俺は考えただけだ。具現化したのはお前だ」
「発想あっての具現だ」
妙な譲り合いをする青年ふたり。
次第にふたりは、どちらともなくクスッと吹き出した。
「わかったわかった。じゃあ俺が名前を考えるよ」
「そうしてくれ」
「意外と謙虚なんだな。ビーチャムって」
「意外とは何だ。失礼な奴だ」
「冗談だよ冗談」
「僕はただ公平性を重視するだけだ」
そう言ってビーチャムはきびすを返すと、キッチンに行ってコーヒーを淹れ始めた。
「さて、考えるか......」
大成は椅子に腰をおろし、思考を巡らせた。
数分後。
ビーチャムがコーヒーカップを持って戻ってきた時、大成は開口一番で口にした。
「〔魔法の泉〕でどうかな」
「ほう。魔法の泉か」
「妖精の泉の洞窟の石でできた石鍋で、魔法石に魔力が込められる。まるで妖精の泉に浸かった石ころが魔法の石に変わるようなイメージが浮かんでさ。でも〔妖精の泉〕だとなんかしっくりこなくて。それで〔魔法の泉〕ならどうかなって」
「なるほど。良い名前だと思う」
ビーチャムは素直に感心してそのセンスを認めた。
「じゃ、それで決まりで」
ということで、魔力注入魔導具は〔魔法の泉〕に決定した。
ここでビーチャムが「そういえば」と思い出したように火の魔法石を手に取る。
「タイセー。これの名前もつけるのか?」
「あっ」
そうだ。火の魔法石はすぐに商品としてお客様の手に届く物だ。
商品名は絶対に必要じゃないか!
大成は慌てて思考する。
が、まもなく彼の口から飛び出してきたモノは、ビーチャムを唖然とさせた。
「それじゃ、火の魔法石は......」
「うむ」
「メラパッチンで」
「メラパッチン?」
「火が燃えると、メラメラ、パチパチってなるだろ?」
「そんな子供みたいな......」
「わかりやすくていいだろ?」
「ちなみに、なぜメラパチではなく、メラパッチンなんだ?」
「うーん、語呂?リズム?」
「はあ......」
この男、センスがあるのかないのかわからない......ビーチャムは茫然と大成を見つめた。
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