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ep16 ラスク
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短時間で料理は完成し、朝食再開。
焼き上げてカリカリになったパンの耳をほうばりながら、ビーチャムは本気で感心した。
「驚いたな......」
「パンの耳ラスクだ。悪くないだろ?」
「ラスク...か。美味いな」
「たとえ質素なご飯でも、ちょっとでも美味しく食べた方が研究にも身が入るってもんだろ?」
大成がにししと笑いかける。
ビーチャムは返す言葉もなく次のラスクを口に運んだ。
「食は人間生活の基本だからな」
大成は当てつけがましくない程度に含みを持たせて言った。
「ふん。否定はせん」
「そういえば、ビーチャムは自分で魔法は使えないのか?」
「僕は魔導博士であって魔導師ではない」
「なるほど」
「僕にはほとんど魔力がない。だから使いたくとも使えない」
ここでふと大成は疑問に思った。
魔法の源泉は魔力だ。
なのに魔導具の使用に魔力は要らなかった。
(さっき自分自身で証明したように)
ということは、魔導具そのものに魔力が備えられているはず。
しかし、魔導具を作ったビーチャムにも魔力がないとなると、一体どういう原理で魔法が発動したんだ?
「どうした。何を考え込んでいる」
急に押し黙った大成を妙に思い、ビーチャムが訊ねる。
「何か気になることがあるのか?」
「いや、ビーチャムが作った魔導具を動かすエネルギー、つまり魔力はどうなっているのかなって」
「ああ。それは昔からの知り合いの魔導師に頼んで魔力を込めてもらっている」
大成はピーンと来た。
その魔導師をビジネスの話に巻き込めないだろうか。
その男を味方につけられれば、ビーチャムも首を縦に振らざるを得なくなるのでは?
「次、その魔導師に会うのはいつなんだ?」
「今日だ。午前中にはここに来る予定だ」
「マジか」
大成は内心ほくそ笑んだ。
俺の営業トークで、その男をたらしこんでやる。
ビジネスマンの血が騒ぐぜ。
「トクトミタイセー。妙な目をして何を考えている」
「別になんでもない」
「ところで」
「?」
「本当に美味いな。このラスク」
あっという間にビーチャムの皿は空になっていた。
焼き上げてカリカリになったパンの耳をほうばりながら、ビーチャムは本気で感心した。
「驚いたな......」
「パンの耳ラスクだ。悪くないだろ?」
「ラスク...か。美味いな」
「たとえ質素なご飯でも、ちょっとでも美味しく食べた方が研究にも身が入るってもんだろ?」
大成がにししと笑いかける。
ビーチャムは返す言葉もなく次のラスクを口に運んだ。
「食は人間生活の基本だからな」
大成は当てつけがましくない程度に含みを持たせて言った。
「ふん。否定はせん」
「そういえば、ビーチャムは自分で魔法は使えないのか?」
「僕は魔導博士であって魔導師ではない」
「なるほど」
「僕にはほとんど魔力がない。だから使いたくとも使えない」
ここでふと大成は疑問に思った。
魔法の源泉は魔力だ。
なのに魔導具の使用に魔力は要らなかった。
(さっき自分自身で証明したように)
ということは、魔導具そのものに魔力が備えられているはず。
しかし、魔導具を作ったビーチャムにも魔力がないとなると、一体どういう原理で魔法が発動したんだ?
「どうした。何を考え込んでいる」
急に押し黙った大成を妙に思い、ビーチャムが訊ねる。
「何か気になることがあるのか?」
「いや、ビーチャムが作った魔導具を動かすエネルギー、つまり魔力はどうなっているのかなって」
「ああ。それは昔からの知り合いの魔導師に頼んで魔力を込めてもらっている」
大成はピーンと来た。
その魔導師をビジネスの話に巻き込めないだろうか。
その男を味方につけられれば、ビーチャムも首を縦に振らざるを得なくなるのでは?
「次、その魔導師に会うのはいつなんだ?」
「今日だ。午前中にはここに来る予定だ」
「マジか」
大成は内心ほくそ笑んだ。
俺の営業トークで、その男をたらしこんでやる。
ビジネスマンの血が騒ぐぜ。
「トクトミタイセー。妙な目をして何を考えている」
「別になんでもない」
「ところで」
「?」
「本当に美味いな。このラスク」
あっという間にビーチャムの皿は空になっていた。
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