152 / 160
異世界の章:第一部 西のキャロル編
ep147 恋のダークナイト
しおりを挟む
夜になり......
就寝前。
皆、各々の部屋に戻り、それぞれの時間を過ごしていた。
コーロは、スピ~スピ~とすでに爆睡しているミッチーを横に、寝間着でベッドでくつろいでいた。
そんな時、ふいに部屋の扉がコンコンと鳴った。
「ん?」
彼はすっと立ち上がると、入口に向かいドアをガチャッと開ける。
「アミ?」
「コーロにぃ」
そこには寝間着の猫娘が立っていた。
「どうしたんだ?」
「...ちょっと、入ってええ?」
「...?いいけど?」
アミーナはコーロの部屋に入ると、ベッドの上にちょこんと座る。
「どうしたんだ?」
コーロが訊ねると、アミは手でベットをトントンと叩いた。
「横に座れってこと?」
アミーナは無言でコクンと頷く。
コーロはアミーナの隣りに座る。
「えっと...何か話があるのか?」
「......あんな?ウチな?コーロにぃとユイねぇに助けてもらったお礼がしたくてな?」
「そんなの別にいいんだけどな」
「それじゃウチの気持ちがおさまらへん」
「そうか」
「うん。ほんで、コーロにぃにはこれがええと思うて」
「これ?」
「その......ほら、前にコーロにぃがウチの耳と尻尾触りたい言うてたやろ?せやから...」
「えっ」
「せやから......思いっきり触ってもええよ!!」
アミーナは顔を真っ赤にして叫んだ。
コーロはびっくりしながらも猫好きの血が騒ぎ、横にしおらしく座るアミーナの獣耳と尻尾をまじまじと見た。
「......い、いいのか?アミ」
「......え、ええよ。せやけど、優しく...な?」
「わ、わかった...」
コーロは猫娘の獣耳と尻尾を凝視しながら、そっと手を伸ばす。
が......
「......ハッ!」
付近に殺気を感じ、パッと入口に振り向いた。
「ゆ、ユイ!?」
そこには、寝間着姿のユイが、悪魔のような眼をギラリと鋭く光らせて立っていた!
「......ねぇコーロ。一体何をしているの?」
彼女の形相は、勇者というより魔王に近かった!
コーロは伸ばした手をサッと引っ込めて、浮気現場を押さえられた夫のようにあたふたとし始める。
「え、えっと...いつ入って来たんだ?」
「私の質問に答えて」
有無を言わさぬユイの声。
コーロはなぜか自分が悪い事をしたような心持ちになり、拍車をかけて狼狽える。
「い、いや、その、これは、違うんだ!そういうのじゃなくて!その...」
「そういうのって...なんのこと?」
「いや、だから、その......
(それ答えたら絶対ダメな地雷質問だろ!どうする?そうだ!話を逸らそう!)
...てゆーか、ユイさんは何しに来たのかな~??」
「わ、私は、その、寝る前に、ちょっと話がしたくて......じゃなくて!質問してるのは私よ!」
「あっ、そ、そうですね~!アハハハ...」
「ユイねぇ!これはただのお礼やねん!」
アミーナが口を挟んだ。
「お礼?お礼で何をするのコーロ?」
ユイは止まらない。
「えっと、その、あの......ああ、もうこうなったら...『ダークナイト』!!」
闇が一気に辺りを包む!
部屋は漆黒に覆われた!
「ちょっとコーロ!?」
「コーロにぃ??」
コーロは闇に紛れて修羅場からトンズラする!
「コーロ!待って!」
「コーロにぃ!」
「スピ~スピ~」
コーロのただ一つの救いは、もっともこの手の事件が大好物そうなミッチーが、ひたすら爆睡ブッこいてくれていた事だろう。
さて......
新たな仲間を加え、新たな旅立ちを迎えることとなった主人公・須夜崎行路。
だが、彼らの旅はまだ始まったばかり。
やがて、世界に渦巻く大いなる陰謀が、否が応にも彼らを巻き込んでいくことになる。
彼らに待つ運命、宿命は、果たしてどのようなものなのか。
異世界に導かれし暗黒魔導師の本当の闘いは、これから、始まる......。
就寝前。
皆、各々の部屋に戻り、それぞれの時間を過ごしていた。
コーロは、スピ~スピ~とすでに爆睡しているミッチーを横に、寝間着でベッドでくつろいでいた。
そんな時、ふいに部屋の扉がコンコンと鳴った。
「ん?」
彼はすっと立ち上がると、入口に向かいドアをガチャッと開ける。
「アミ?」
「コーロにぃ」
そこには寝間着の猫娘が立っていた。
「どうしたんだ?」
「...ちょっと、入ってええ?」
「...?いいけど?」
アミーナはコーロの部屋に入ると、ベッドの上にちょこんと座る。
「どうしたんだ?」
コーロが訊ねると、アミは手でベットをトントンと叩いた。
「横に座れってこと?」
アミーナは無言でコクンと頷く。
コーロはアミーナの隣りに座る。
「えっと...何か話があるのか?」
「......あんな?ウチな?コーロにぃとユイねぇに助けてもらったお礼がしたくてな?」
「そんなの別にいいんだけどな」
「それじゃウチの気持ちがおさまらへん」
「そうか」
「うん。ほんで、コーロにぃにはこれがええと思うて」
「これ?」
「その......ほら、前にコーロにぃがウチの耳と尻尾触りたい言うてたやろ?せやから...」
「えっ」
「せやから......思いっきり触ってもええよ!!」
アミーナは顔を真っ赤にして叫んだ。
コーロはびっくりしながらも猫好きの血が騒ぎ、横にしおらしく座るアミーナの獣耳と尻尾をまじまじと見た。
「......い、いいのか?アミ」
「......え、ええよ。せやけど、優しく...な?」
「わ、わかった...」
コーロは猫娘の獣耳と尻尾を凝視しながら、そっと手を伸ばす。
が......
「......ハッ!」
付近に殺気を感じ、パッと入口に振り向いた。
「ゆ、ユイ!?」
そこには、寝間着姿のユイが、悪魔のような眼をギラリと鋭く光らせて立っていた!
「......ねぇコーロ。一体何をしているの?」
彼女の形相は、勇者というより魔王に近かった!
コーロは伸ばした手をサッと引っ込めて、浮気現場を押さえられた夫のようにあたふたとし始める。
「え、えっと...いつ入って来たんだ?」
「私の質問に答えて」
有無を言わさぬユイの声。
コーロはなぜか自分が悪い事をしたような心持ちになり、拍車をかけて狼狽える。
「い、いや、その、これは、違うんだ!そういうのじゃなくて!その...」
「そういうのって...なんのこと?」
「いや、だから、その......
(それ答えたら絶対ダメな地雷質問だろ!どうする?そうだ!話を逸らそう!)
...てゆーか、ユイさんは何しに来たのかな~??」
「わ、私は、その、寝る前に、ちょっと話がしたくて......じゃなくて!質問してるのは私よ!」
「あっ、そ、そうですね~!アハハハ...」
「ユイねぇ!これはただのお礼やねん!」
アミーナが口を挟んだ。
「お礼?お礼で何をするのコーロ?」
ユイは止まらない。
「えっと、その、あの......ああ、もうこうなったら...『ダークナイト』!!」
闇が一気に辺りを包む!
部屋は漆黒に覆われた!
「ちょっとコーロ!?」
「コーロにぃ??」
コーロは闇に紛れて修羅場からトンズラする!
「コーロ!待って!」
「コーロにぃ!」
「スピ~スピ~」
コーロのただ一つの救いは、もっともこの手の事件が大好物そうなミッチーが、ひたすら爆睡ブッこいてくれていた事だろう。
さて......
新たな仲間を加え、新たな旅立ちを迎えることとなった主人公・須夜崎行路。
だが、彼らの旅はまだ始まったばかり。
やがて、世界に渦巻く大いなる陰謀が、否が応にも彼らを巻き込んでいくことになる。
彼らに待つ運命、宿命は、果たしてどのようなものなのか。
異世界に導かれし暗黒魔導師の本当の闘いは、これから、始まる......。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
怒れるおせっかい奥様
asamurasaki
恋愛
ベレッタ・サウスカールトンは出産時に前世の記憶を思い出した。
可愛い男の子を産んだその瞬間にベレッタは前世の記憶が怒涛のことく甦った。
日本人ので三人の子持ちで孫もいた60代女性だった記憶だ。
そして今までのベレッタの人生も一緒に思い出した。
コローラル子爵家第一女として生まれたけど、実の母はベレッタが4歳の時に急な病で亡くなった。
そして母の喪が明けてすぐに父が愛人とその子を連れて帰ってきた。
それからベレッタは継母と同い年の義妹に虐げられてきた。
父も一緒になって虐げてくるクズ。
そしてベレッタは18歳でこの国の貴族なら通うことが義務付けられてるアカデミーを卒業してすぐに父の持ってきた縁談で結婚して厄介払いされた。
相手はフィンレル・サウスカールトン侯爵22歳。
子爵令嬢か侯爵と結婚なんて…恵まれているはずがない!
あのクズが持ってきた縁談だ、資金援助を条件に訳あり侯爵に嫁がされた。
そのベレッタは結婚してからも侯爵家で夫には見向きもされず、使用人には冷遇されている。
白い結婚でなかったのは侯爵がどうしても後継ぎを必要としていたからだ。
良かったのか悪かったのか、初夜のたったの一度でベレッタは妊娠して子を生んだ。
前世60代だった私が転生して19歳の少女になった訳よね?
ゲームの世界に転生ってやつかしら?でも私の20代後半の娘は恋愛ゲームやそういう異世界転生とかの小説が好きで私によく話していたけど、私はあまり知らないから娘が話してたことしかわからないから、当然どこの世界なのかわからないのよ。
どうして転生したのが私だったのかしら?
でもそんなこと言ってる場合じゃないわ!
あの私に無関心な夫とよく似ている息子とはいえ、私がお腹を痛めて生んだ愛しい我が子よ!
子供がいないなら離縁して平民になり生きていってもいいけど、子供がいるなら話は別。
私は自分の息子の為、そして私の為に離縁などしないわ!
無関心夫なんて宛にせず私が息子を立派な侯爵になるようにしてみせるわ!
前世60代女性だった孫にばぁばと言われていたベレッタが立ち上がる!
無関心夫の愛なんて求めてないけど夫にも事情があり夫にはガツンガツン言葉で責めて凹ませますが、夫へのざまあはありません。
他の人たちのざまあはアリ。
ユルユル設定です。
ご了承下さい。
【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。
まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」
そう、第二王子に言われました。
そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…!
でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!?
☆★☆★
全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!
つくも茄子
ファンタジー
義姉は王家とこの国に殺された。
冤罪に末に毒杯だ。公爵令嬢である義姉上に対してこの仕打ち。笑顔の王太子夫妻が憎い。嘘の供述をした連中を許さない。我が子可愛さに隠蔽した国王。実の娘を信じなかった義父。
全ての復讐を終えたミゲルは義姉の墓前で報告をした直後に世界が歪む。目を覚ますとそこには亡くなった義姉の姿があった。過去に巻き戻った事を知ったミゲルは今度こそ義姉を守るために行動する。
巻き戻った世界は同じようで違う。その違いは吉とでるか凶とでるか……。
Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷
くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。
怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。
最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。
その要因は手に持つ箱。
ゲーム、Anotherfantasia
体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。
「このゲームがなんぼのもんよ!!!」
怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。
「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」
ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。
それは、翠の想像を上回った。
「これが………ゲーム………?」
現実離れした世界観。
でも、確かに感じるのは現実だった。
初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。
楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。
【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】
翠は、柔らかく笑うのだった。
冷遇ですか?違います、厚遇すぎる程に義妹と婚約者に溺愛されてます!
ユウ
ファンタジー
トリアノン公爵令嬢のエリーゼは秀でた才能もなく凡庸な令嬢だった。
反対に次女のマリアンヌは社交界の華で、弟のハイネは公爵家の跡継ぎとして期待されていた。
嫁ぎ先も決まらず公爵家のお荷物と言われていた最中ようやく第一王子との婚約がまとまり、その後に妹のマリアンヌの婚約が決まるも、相手はスチュアート伯爵家からだった。
華麗なる一族とまで呼ばれる一族であるが相手は伯爵家。
マリアンヌは格下に嫁ぐなんて論外だと我儘を言い、エリーゼが身代わりに嫁ぐことになった。
しかしその数か月後、妹から婚約者を寝取り略奪した最低な姉という噂が流れだしてしまい、社交界では爪はじきに合うも。
伯爵家はエリーゼを溺愛していた。
その一方でこれまで姉を踏み台にしていたマリアンヌは何をしても上手く行かず義妹とも折り合いが悪く苛立ちを抱えていた。
なのに、伯爵家で大事にされている姉を見て激怒する。
「お姉様は不幸がお似合いよ…何で幸せそうにしているのよ!」
本性を露わにして姉の幸福を妬むのだが――。
私、巫女。無理矢理連れてこられて、病んでる神達に溺愛されてます
代役心華
ファンタジー
私は
病んでる神達に溺愛されてます
!!この物語はフィクションです!!
捏造やオリジナル設定を含み、オリジナルキャラがでます
追記 ファンタジーに変更しました
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる