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異世界の章:第一部 西のキャロル編
ep144 青春は甘酸っぱい
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空がもう赤みを帯びて夜の準備を始める頃。
コーロ達はキースを伴い東の街の宿に戻った。
一行は一階食堂の一席につく。
コーロとユイが隣り合い、向かいにアミーナとキースが隣り合い、皆で穏やかに食卓を囲んでいると......
急にキースが改まってアミーナに体を向けた。
「あの、アミ!」
「...いきなりどうしたんや?」
「......僕はきっと、今までアミに依存していたんだと思う」
「な、なんやねん急に!」
「つまり、自分が無かったんだ。だから、アミの夢に僕も乗っかることで弱い自分自身から逃げて、挙句の果てに、アミに迷惑をかけることになっちゃったんだよ」
「悪いのはブラックファイナンスやんか!」
「もちろんそうだけど、でも、やっぱり僕の弱さと甘さが大きかったなって。もっと早い段階で、局長や公爵に接触していればまた違っていたかもしれない。でも僕にはそれができなかった。僕の弱さのせいで......」
「キース...」
「でも、もう大丈夫だよ!今回の事で、僕もやっと一歩踏み出せた気がするんだ。だから......」
「だから?」
「......アミともう一度、一緒に夢を目指したいんだ!今度は僕自身の夢としても!二度と同じ失敗はしない!またアミと一緒に進んで行きたいんだ!だって僕はアミのことが...!」
「キース!」
アミーナはキースの言葉を遮るように叫んだ。
キースは面を食らったようにハッとする。
アミーナは、嬉しいような悲しいような申し訳なさそうな、複雑な表情をキースに向けた。
「キース、ありがとう。キースの気持ち、めっちゃ嬉しいわ。でもな?ウチ、今はもう、別にやりたい事ができてもうて、またキースと一緒にやるんは無理やねん。だから......ホンマに、ごめんなさい......」
思わずコーロとユイは食事の手を止めて静止した。
いよいよ穏やかな食卓が気まずさに支配されそうになった時...
「...きゃあぁぁぁーーーせいしゅうぅぅぅん!!!」
うっとおしい叫び声を上げて、コーロのジャケットの懐からミッチーが飛び出して来た!
「み、ミッチー!?起きたのか!?」
「いきなりなに!?」
「な、なんやねん!?」
「み、ミッチーさん??」
ミッチーはキースとアミーナの間にスッと入り込んでやかましく喋り出す。
「今?キースさん、コクろーとしましたよね??それで、いち早く察したアミ様はコクられる前にうま~く断りましたね?
きゃあ~~甘酸っぱいぃ!!ワタシ、こういうのたまんないんです!うは~テンション上がって来ましたよぉ~!!」
キースとアミーナは顔を真っ赤にしてあたふたする。
「いや、あの、その、違くて、いや、違くないけど、その、あの」
「ななな何言うとんねん!?デリカシーなさ過ぎやろ自分!?」
爆発する恥ずかしさにわーわーギャーギャー大騒ぎするキースとアミーナ。
そんな中、コーロとユイはチラッと視線を交わし静かに頷き合った。
それからコーロがおもむろに手を伸ばし、ミッチーをガシッと引っ掴む。
「へ?コーロ様?」
コーロはミッチーを手元に引き込むと、横にいるユイと示し合わした。
「へ?コーロ様?ユイ様?」
コーロは本を開くと、開いた片方のページ側を自分が持ち、もう片方のページ側をユイが持った。
二人は声を揃えて合図する。
「せーのっ」
ググッ!
コーロとユイは互いに本を引っ張り合った!
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!な、な、何するんですかー!!?」
絶叫するミッチー。
鬼の形相の二人。
「今のはない!今のはないぞミッチー!!」
「今のは許せないわ!勇者として!女として!!」
「痛い痛い痛い痛い!!!うぎゃあぁぁぁぁ!!!」
空がもう赤みを帯びて夜の準備を始める頃。
コーロ達はキースを伴い東の街の宿に戻った。
一行は一階食堂の一席につく。
コーロとユイが隣り合い、向かいにアミーナとキースが隣り合い、皆で穏やかに食卓を囲んでいると......
急にキースが改まってアミーナに体を向けた。
「あの、アミ!」
「...いきなりどうしたんや?」
「......僕はきっと、今までアミに依存していたんだと思う」
「な、なんやねん急に!」
「つまり、自分が無かったんだ。だから、アミの夢に僕も乗っかることで弱い自分自身から逃げて、挙句の果てに、アミに迷惑をかけることになっちゃったんだよ」
「悪いのはブラックファイナンスやんか!」
「もちろんそうだけど、でも、やっぱり僕の弱さと甘さが大きかったなって。もっと早い段階で、局長や公爵に接触していればまた違っていたかもしれない。でも僕にはそれができなかった。僕の弱さのせいで......」
「キース...」
「でも、もう大丈夫だよ!今回の事で、僕もやっと一歩踏み出せた気がするんだ。だから......」
「だから?」
「......アミともう一度、一緒に夢を目指したいんだ!今度は僕自身の夢としても!二度と同じ失敗はしない!またアミと一緒に進んで行きたいんだ!だって僕はアミのことが...!」
「キース!」
アミーナはキースの言葉を遮るように叫んだ。
キースは面を食らったようにハッとする。
アミーナは、嬉しいような悲しいような申し訳なさそうな、複雑な表情をキースに向けた。
「キース、ありがとう。キースの気持ち、めっちゃ嬉しいわ。でもな?ウチ、今はもう、別にやりたい事ができてもうて、またキースと一緒にやるんは無理やねん。だから......ホンマに、ごめんなさい......」
思わずコーロとユイは食事の手を止めて静止した。
いよいよ穏やかな食卓が気まずさに支配されそうになった時...
「...きゃあぁぁぁーーーせいしゅうぅぅぅん!!!」
うっとおしい叫び声を上げて、コーロのジャケットの懐からミッチーが飛び出して来た!
「み、ミッチー!?起きたのか!?」
「いきなりなに!?」
「な、なんやねん!?」
「み、ミッチーさん??」
ミッチーはキースとアミーナの間にスッと入り込んでやかましく喋り出す。
「今?キースさん、コクろーとしましたよね??それで、いち早く察したアミ様はコクられる前にうま~く断りましたね?
きゃあ~~甘酸っぱいぃ!!ワタシ、こういうのたまんないんです!うは~テンション上がって来ましたよぉ~!!」
キースとアミーナは顔を真っ赤にしてあたふたする。
「いや、あの、その、違くて、いや、違くないけど、その、あの」
「ななな何言うとんねん!?デリカシーなさ過ぎやろ自分!?」
爆発する恥ずかしさにわーわーギャーギャー大騒ぎするキースとアミーナ。
そんな中、コーロとユイはチラッと視線を交わし静かに頷き合った。
それからコーロがおもむろに手を伸ばし、ミッチーをガシッと引っ掴む。
「へ?コーロ様?」
コーロはミッチーを手元に引き込むと、横にいるユイと示し合わした。
「へ?コーロ様?ユイ様?」
コーロは本を開くと、開いた片方のページ側を自分が持ち、もう片方のページ側をユイが持った。
二人は声を揃えて合図する。
「せーのっ」
ググッ!
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「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!な、な、何するんですかー!!?」
絶叫するミッチー。
鬼の形相の二人。
「今のはない!今のはないぞミッチー!!」
「今のは許せないわ!勇者として!女として!!」
「痛い痛い痛い痛い!!!うぎゃあぁぁぁぁ!!!」
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