125 / 160
異世界の章:第一部 西のキャロル編
ep120 瀕死のブラックキャット
しおりを挟む
「コーロおにーちゃん!!」
降下したプテラスからぴょんとアミーナが飛び降りてきて、タタタッとコーロのもとに駆け寄る。
「良かった!!」
「アミ」
コーロが振り向こうとすると、アミーナが彼の背中に飛び込むようにひしと抱きついた。
「...ホンマ...もうダメかと思った......でも良かった...無事で良かった......!」
コーロは抱きつくアミーナの手を優しく解き、振り向いて彼女の肩を撫でて微笑んだ。
「アミ。まだだぞ。アミが奪われた物を、コイツから取り返さないとな」
コーロはくるっとブラックキャットに向き直った。
ブラックキャットはなんとか四つ足で立ち上がっていたが、プルプルと震え、多大な疲労とダメージが明白だった。
三メートルはあった体も二メートルちょっとに縮んでいる。
部分的に狐から人の姿へ戻りかけてもいる。
コーロは威圧するように鋭い声を上げる。
「ブラックキャット!もう手立てはないんだろう?それはお前自身が一番よくわかっているはずだ!さあ、奪った金はどこだ?返してもらうぞ!」
「......くっ、クソが...こんなところで......こんなところで終わってたまるかぁ!!」
ブラックキャットは、残る力のすべてを振り絞るように、勢いよくコーロに向かって飛び出した!
「まだやるのか?」
コーロは再び構える。
が、
「!」
ブラックキャットはコーロに向かうと見せかけてクッと斜めに進路を変え、彼らを通り過ぎるように脱兎の如く逃げ出した!
「バカが!こんなところで終わるオレではない!いつか必ず復讐してやるからな!!」
捨て台詞を吐き一目散に逃げるブラックキャット。
逃走は成功...
ガキーーーーン!!
しない!
「なんだ!?足が凍りついた!?」
地を駆けるブラックキャットの足が突如、地面から発した冷気によって氷漬けになる。
「......くっ!動けん!」
次の瞬間...
グサッ
「ぐぉっ...!!」
地面からギラリと伸びた大きなつららのような氷の尖りが、ブラックキャットの体を貫いた!
コーロ達も思わず目を見開いた。
一同、何が起こったのかわからない。
一瞬、シーンと水を打ったような静寂が訪れた時...
「...決着、つきましたね。皆さんご苦労様です」
草木の影からニッコリ笑ったフロワース警部がゆらりと現れた。
「フロワース警部!」
「これでブラックキャットはもう逃げられません。あ、殺してはいないですよ?氷で止血もしているんで。コイツにはまだ生きててもらわないと困るんでね。まあ、ボクの加減次第ですぐに絶命させられますけど」
フロワースは二人のもとへ寄って来て会釈した。
「スヤザキさん。アミーナさん。これであとはお金を取り返すだけですね。そしてボクは、そのお金の在り処とやらを見つけたので、もうそいつから聞き出す必要もないですよ。今からボクがご案内します」
「本当か!やったぞアミ!」
歓喜するコーロ。
「う、うん...」
なぜか浮かないアミーナ。
「ん?どうしたアミ?」
「...いや、なんでもあらへん。ほな、はよ行こ!」
「ああ!」
「でも、ブラックキャットはこのままにしておいて大丈夫なのか?」
「それは問題ないですよスヤザキさん。ボクが保証します。もし仮に無理矢理逃げ出すことができたとしても、その瞬間に彼は大出血して息絶えることになります」
フロワースは冷然と説明してブラックキャットにキラッと冷酷な視線を投げた。
「ぐぅ......(...こ、この男は......奴の部下...なぜコイツがここに...)」
もはや為す術なく小虫のように呻くブラックキャット。
「じゃあ、ボクに付いてきてください」
フロワースは微笑を浮かべながら、コーロ達を促すように屋敷に向かってゆっくり歩き出した。
「それじゃあプテラスはもう戻すか。フェーズも『グレイ』に戻そう。余計に魔力使っちゃうしな」
「あ、あの...!」
フロワースをチラッと見ながらアニーナがやにわに声を上げる。
「ん?どうした?」
「ええっと...」
「?」
「な、なんでもあらへん!」
「うん?」
コーロはアミーナの様子に疑問を持ちながらもすぐにプテラスを戻し、フェーズチェンジもすると、フロワースの背中を追いかけた。
アミーナはコーロの後についていった。
......
降下したプテラスからぴょんとアミーナが飛び降りてきて、タタタッとコーロのもとに駆け寄る。
「良かった!!」
「アミ」
コーロが振り向こうとすると、アミーナが彼の背中に飛び込むようにひしと抱きついた。
「...ホンマ...もうダメかと思った......でも良かった...無事で良かった......!」
コーロは抱きつくアミーナの手を優しく解き、振り向いて彼女の肩を撫でて微笑んだ。
「アミ。まだだぞ。アミが奪われた物を、コイツから取り返さないとな」
コーロはくるっとブラックキャットに向き直った。
ブラックキャットはなんとか四つ足で立ち上がっていたが、プルプルと震え、多大な疲労とダメージが明白だった。
三メートルはあった体も二メートルちょっとに縮んでいる。
部分的に狐から人の姿へ戻りかけてもいる。
コーロは威圧するように鋭い声を上げる。
「ブラックキャット!もう手立てはないんだろう?それはお前自身が一番よくわかっているはずだ!さあ、奪った金はどこだ?返してもらうぞ!」
「......くっ、クソが...こんなところで......こんなところで終わってたまるかぁ!!」
ブラックキャットは、残る力のすべてを振り絞るように、勢いよくコーロに向かって飛び出した!
「まだやるのか?」
コーロは再び構える。
が、
「!」
ブラックキャットはコーロに向かうと見せかけてクッと斜めに進路を変え、彼らを通り過ぎるように脱兎の如く逃げ出した!
「バカが!こんなところで終わるオレではない!いつか必ず復讐してやるからな!!」
捨て台詞を吐き一目散に逃げるブラックキャット。
逃走は成功...
ガキーーーーン!!
しない!
「なんだ!?足が凍りついた!?」
地を駆けるブラックキャットの足が突如、地面から発した冷気によって氷漬けになる。
「......くっ!動けん!」
次の瞬間...
グサッ
「ぐぉっ...!!」
地面からギラリと伸びた大きなつららのような氷の尖りが、ブラックキャットの体を貫いた!
コーロ達も思わず目を見開いた。
一同、何が起こったのかわからない。
一瞬、シーンと水を打ったような静寂が訪れた時...
「...決着、つきましたね。皆さんご苦労様です」
草木の影からニッコリ笑ったフロワース警部がゆらりと現れた。
「フロワース警部!」
「これでブラックキャットはもう逃げられません。あ、殺してはいないですよ?氷で止血もしているんで。コイツにはまだ生きててもらわないと困るんでね。まあ、ボクの加減次第ですぐに絶命させられますけど」
フロワースは二人のもとへ寄って来て会釈した。
「スヤザキさん。アミーナさん。これであとはお金を取り返すだけですね。そしてボクは、そのお金の在り処とやらを見つけたので、もうそいつから聞き出す必要もないですよ。今からボクがご案内します」
「本当か!やったぞアミ!」
歓喜するコーロ。
「う、うん...」
なぜか浮かないアミーナ。
「ん?どうしたアミ?」
「...いや、なんでもあらへん。ほな、はよ行こ!」
「ああ!」
「でも、ブラックキャットはこのままにしておいて大丈夫なのか?」
「それは問題ないですよスヤザキさん。ボクが保証します。もし仮に無理矢理逃げ出すことができたとしても、その瞬間に彼は大出血して息絶えることになります」
フロワースは冷然と説明してブラックキャットにキラッと冷酷な視線を投げた。
「ぐぅ......(...こ、この男は......奴の部下...なぜコイツがここに...)」
もはや為す術なく小虫のように呻くブラックキャット。
「じゃあ、ボクに付いてきてください」
フロワースは微笑を浮かべながら、コーロ達を促すように屋敷に向かってゆっくり歩き出した。
「それじゃあプテラスはもう戻すか。フェーズも『グレイ』に戻そう。余計に魔力使っちゃうしな」
「あ、あの...!」
フロワースをチラッと見ながらアニーナがやにわに声を上げる。
「ん?どうした?」
「ええっと...」
「?」
「な、なんでもあらへん!」
「うん?」
コーロはアミーナの様子に疑問を持ちながらもすぐにプテラスを戻し、フェーズチェンジもすると、フロワースの背中を追いかけた。
アミーナはコーロの後についていった。
......
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』は外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~
つくも
ファンタジー
Fランク冒険者エルクは外れスキルと言われる固有スキル『成長率鈍化』を持っていた。
このスキルはレベルもスキルレベルも成長効率が鈍化してしまう、ただの外れスキルだと馬鹿にされてきた。
しかし、このスキルには可能性があったのだ。成長効率が悪い代わりに、上限とされてきたレベル『99』スキルレベル『50』の上限を超える事ができた。
地道に剣技のスキルを鍛え続けてきたエルクが、上限である『50』を突破した時。
今まで馬鹿にされてきたエルクの快進撃が始まるのであった。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
起きるとそこは、森の中。可愛いトラさんが涎を垂らして、こっちをチラ見!もふもふ生活開始の気配(原題.真説・森の獣
ゆうた
ファンタジー
起きると、そこは森の中。パニックになって、
周りを見渡すと暗くてなんも見えない。
特殊能力も付与されず、原生林でどうするの。
誰か助けて。
遠くから、獣の遠吠えが聞こえてくる。
これって、やばいんじゃない。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる