導きの暗黒魔導師

根上真気

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異世界の章:第一部 西のキャロル編

ep115 だって知らないものは知らないし

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 上空のアミーナは、口あんぐり、目ん玉びょーんとなる。
「ちょっ!ちょちょちょちょ何しとんねん!?」

 プテラスは冷静に言い放つ。
「指示どおりだが?」

「あんな指示しとらんわ!?...コーロおにーちゃーん!!」

 猛獣どもは、半数が爆撃のもとに沈み、半数は逃れた模様。

 すんでのところで無事回避したブラックキャットは、モクモクと上がる煙を見ながら呟く。
「誤爆か?あの爆撃をモロに受けたら無事ではいられまい。オレが手を下すまでもなかったか」

 煙が晴れてくると、生き残った猛獣どもはコーロ達から大分離れてバラバラに散っていた。
 肝心のコーロは......
 ブラックキャットが爆心地点に近づいていくと...

『ダークウィップ』

 煙の奥からブラックキャットめがけて闇の鞭がシュルルルッと伸びる!

「!」

 ブラックキャットは跳び退いた!
 が、

『ダークアロー:クラスター!』

 ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン!

 続けざま、上空から無数の闇矢がブラックキャットを襲う。

「チッ!『狐火』」

 彼は火の玉で迎撃をはかりながら獣の素早さでシュッシュッシュッと回避を試みる。

 ザクザクザクッ!

「くっ!」

 それでも何発かは彼をとらえその身体に突き刺さる。  

「貴様...!」
 ...ブラックキャットの視線の先には、暗黒魔導師が無傷で立っていた!

「...いや~びっくりした~マジで死ぬかと思った......」
 コーロは頭をポリポリ掻きながら皆の前に姿を現した。

 上空からアミーナが安堵を叫ぶ。
「コーロおにーちゃん!!無事やったんやな!!ホンマもうアカンかと思うたわ!!」

「お、アミーナ!俺は全然大丈夫だぞ!マジでびっくりしたけど!」

「驚かさんといてえや!けどどーゆーことなんプテラスはん?」

「我はダークウィザード様に作られし使役魔獣。よって、ダークウィザード様に対しては我の攻撃は全て無効化される」
「え、そーなの??」
 マヌケ面で驚くコーロ。

「なんで自分知らんねん!」
「だって、知らないものは知らないし」

「ウチがコーロおにーちゃん殺してもうた思うてごっつビビったんやで!?」

「そいつはスンマヘン」
「もうええわ!」

「...というわけで、ブラックキャット。これはお前にとってかなり不利な状況じゃないか?」
 敵を見据えて仕切り直すコーロ。

「......こんなもので調子に乗るなよ」
 ブラックキャットは唸りながら睨みつける。

『狐火』
 
 ボボボボボボボッ

 無数の火の玉が黒狐の周りに出現する。

「死ね!」

 バババババババッ!

 無数の火の玉がコーロめがけて放たれた!

『ダークシャドウ』

 闇の影となって霧散し回避するコーロ。
 そのままブラックキャットの背後にまわりこもうするが...

『トリックラビリンス』

 グゥ~~~ン

 空間が歪む!
 実態に戻ったコーロはブラックキャットを捉えられない!
 どころか、彼の姿を見失う。
 そのタイミングで、すでに死角から接近しつつあった三頭の猛獣が姿を現し、コーロに向かって襲いかかる!

 だがコーロはそれを気にも止めず、上方に向けて指示を出す!
「アミーナ!!」

 アミーナが応える。

「了解!ほなプテラスはん!テキトーにぶちかましたってえや!
 あっ、でも、ほどほどにな!
 あと、あくまで公園内やで?
 公園外に影響与えるようなのはアカンで?
 あと、人は避けるんやで?」

「注文が多いな。だが、それが我が主の命とあらば」

「あっ!いや、待って、良いこと思いついた!でもうまくいくかな?なんて考えるヒマあらへん!プテラスはん!」

「なんだ?」

「やっばりウチの指定したポイントにぶちかましたってくれへんか?」

「よかろう」

「よし!ほなまずは、シルフェはん!」
 アミーナは地上に向かい精霊魔法を唱えた。
 猫娘を乗せたプテラスは公園上空を旋回し始める。
 
 地上のコーロは、今まさに三頭の猛獣にガルルルッ!と八つ裂きにせんと飛びかかられている!
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