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異世界の章:第一部 西のキャロル編
ep107 魔法の相性
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ーーーーーー
......さて、ここで説明しておかなければならない事がある。
それは、コーロの使う魔法『ダークナイト』についてだ。
彼はこの世界に降り立ち、当魔法をすでに二度、使用している。
その内、戦いで使用したのは魔物の森での戦闘においてだ。
ダークナイトは、暗黒魔導師にとっては初歩的な魔法であると同時に、敵味方関係なく自分以外の者の視界を強制的に奪う強力な魔法でもある。
一見すると万能な魔法にも思える。
しかし、この魔法には決定的な弱点が存在する。
それは以下である。
1.敵だけでなく味方の視界も奪ってしまう
2.魔法発動中、本人は他の魔法が使えない
3.あくまで視界を奪うだけであり、敵の魔法や能力を無効化する訳ではない
4.そもそも視覚に頼らない者には効果がない
1について
これは、味方も危険に晒してしまう可能性があるということを意味する。
2について
上記説明の通り。
3について
例えば、一対一でダークナイトを使用し敵の視界を奪ったとして、敵が辺り一帯を焼き尽くす魔法や攻撃をしてきた場合、上記2と合わせてもはや打つ手がない。
4について
読んで字の如く。自らの魔導に制限をかけるだけで終わる。
以上の事からわかるように、どちらかといえば、使い勝手の悪い魔法なのである。
上記の弱点が相手にバレたら一巻の終わりだ。
同じ相手に二度以上は使えないと考えても良いだろう。
したがって、『ダークナイト』を使用する際は、しっかりとした戦略・戦術を持った上で、相性の良い能力を持った仲間を共にするのが望ましい。
事実、魔物の森の戦いでは、戦略・戦術にも優れ且つ種々の能力を持った森の妖精主エルフォレスがいたおかげで最大限の効果を発揮したと言える。
ということは......
ーーーーーー
コーロは闇に乗じて窓から屋敷に潜り込んだ。
突然の闇の到来で連中が動揺し騒いでいた事は、コーロの侵入をより容易くした。
囚われたアミーナを求め屋敷内を彷徨うコーロ。
半数以上の人間は外へ出て行ったので、屋敷内にいる敵は半減しているとみていい。
とはいえ、まだそれなりの数がいる。
コーロは連中をかわしながら慎重に屋敷内を進んだ。
しばらく彷徨うと、ある部屋の前に着く。
コーロは部屋の奥の方からうっすら何かを感じた。
彼はそっとドアを開く。
ーーー開いた?鍵はかかってないのか?ーーー
室内の視線の先には、壁しかなかった。
ように思われたが......
ーーーこの扉はーーー
壁に見える一箇所に、魔法迷彩の施された扉が隠されているのを、コーロは瞬時に見抜いた。
彼は扉をギイっと押す。
闇の奥に、地下への階段を発見。
ーーーよしキタぞ!ここから地下へーーー
コーロは地下への階段を降りた。
ところが...
「ん?なんだ?何かが......おかしい?」
地下へと降りたはずのコーロだったが、辿り着いたのは、庭が見える窓のある廊下だった。
「ここは地下じゃない。...けど、確かに降りたよな?」
しばらく進むと、再び地下への階段を発見。
しかも、先ほどとは異なり、隠し扉もないごく普通の階段がある。
今度こそはとコーロは階段を降りる。
しかし......
ーーーなぜだ?今、間違いなく降りたよな?下ったよな?なのに、なんで庭が見える窓があるんだ?ーーー
明らかに一階の廊下である。
コーロは試しに、一度窓から外に出てみた。
が、出た先は屋敷内だった。
つまり、外にも出られなかった。
ーーーなんなんだ?どうなっているんだ?......これはもしかして、いや、間違いない......これはヤツの偽造魔法だ!ーーー
そう。
これは、ブラックキャットの『トリックラビリンス(偽造迷宮)』である。
彼は、偽造魔法により本部を隠していただけではない。
本部屋敷内にも、万が一の防衛対策として、あらかじめ『トリックラビリンス』を効果的に発動させるための『魔法術式』を施していたのだ。
現在、屋敷内はあべこべな迷いの森のようになっている。
ブラックキャットは、決してコーロの魔法について何かを見破った訳ではない。
これは、魔法の相性の問題。
くわえて、地の利はブラックキャットにある。
彼は直感的にもっとも効果的な手段を用いたのである。
それは彼が地で持つ強さと言ってもよいだろう。
ブラックキャットは狡猾に思考する。
ーーー今、侵入者は混乱しているだろう。忍び込んだ屋敷が迷宮となっていることに。
さて、ここから目的を果たせなくなった敵はどう動くか。
撤退する?だが出るに出られなくなっている事に困惑するだろう。
となると、この魔法を何とかしようとするはずだ。
そうだ。早く何とかしようとしてみろーーー
......さて、ここで説明しておかなければならない事がある。
それは、コーロの使う魔法『ダークナイト』についてだ。
彼はこの世界に降り立ち、当魔法をすでに二度、使用している。
その内、戦いで使用したのは魔物の森での戦闘においてだ。
ダークナイトは、暗黒魔導師にとっては初歩的な魔法であると同時に、敵味方関係なく自分以外の者の視界を強制的に奪う強力な魔法でもある。
一見すると万能な魔法にも思える。
しかし、この魔法には決定的な弱点が存在する。
それは以下である。
1.敵だけでなく味方の視界も奪ってしまう
2.魔法発動中、本人は他の魔法が使えない
3.あくまで視界を奪うだけであり、敵の魔法や能力を無効化する訳ではない
4.そもそも視覚に頼らない者には効果がない
1について
これは、味方も危険に晒してしまう可能性があるということを意味する。
2について
上記説明の通り。
3について
例えば、一対一でダークナイトを使用し敵の視界を奪ったとして、敵が辺り一帯を焼き尽くす魔法や攻撃をしてきた場合、上記2と合わせてもはや打つ手がない。
4について
読んで字の如く。自らの魔導に制限をかけるだけで終わる。
以上の事からわかるように、どちらかといえば、使い勝手の悪い魔法なのである。
上記の弱点が相手にバレたら一巻の終わりだ。
同じ相手に二度以上は使えないと考えても良いだろう。
したがって、『ダークナイト』を使用する際は、しっかりとした戦略・戦術を持った上で、相性の良い能力を持った仲間を共にするのが望ましい。
事実、魔物の森の戦いでは、戦略・戦術にも優れ且つ種々の能力を持った森の妖精主エルフォレスがいたおかげで最大限の効果を発揮したと言える。
ということは......
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コーロは闇に乗じて窓から屋敷に潜り込んだ。
突然の闇の到来で連中が動揺し騒いでいた事は、コーロの侵入をより容易くした。
囚われたアミーナを求め屋敷内を彷徨うコーロ。
半数以上の人間は外へ出て行ったので、屋敷内にいる敵は半減しているとみていい。
とはいえ、まだそれなりの数がいる。
コーロは連中をかわしながら慎重に屋敷内を進んだ。
しばらく彷徨うと、ある部屋の前に着く。
コーロは部屋の奥の方からうっすら何かを感じた。
彼はそっとドアを開く。
ーーー開いた?鍵はかかってないのか?ーーー
室内の視線の先には、壁しかなかった。
ように思われたが......
ーーーこの扉はーーー
壁に見える一箇所に、魔法迷彩の施された扉が隠されているのを、コーロは瞬時に見抜いた。
彼は扉をギイっと押す。
闇の奥に、地下への階段を発見。
ーーーよしキタぞ!ここから地下へーーー
コーロは地下への階段を降りた。
ところが...
「ん?なんだ?何かが......おかしい?」
地下へと降りたはずのコーロだったが、辿り着いたのは、庭が見える窓のある廊下だった。
「ここは地下じゃない。...けど、確かに降りたよな?」
しばらく進むと、再び地下への階段を発見。
しかも、先ほどとは異なり、隠し扉もないごく普通の階段がある。
今度こそはとコーロは階段を降りる。
しかし......
ーーーなぜだ?今、間違いなく降りたよな?下ったよな?なのに、なんで庭が見える窓があるんだ?ーーー
明らかに一階の廊下である。
コーロは試しに、一度窓から外に出てみた。
が、出た先は屋敷内だった。
つまり、外にも出られなかった。
ーーーなんなんだ?どうなっているんだ?......これはもしかして、いや、間違いない......これはヤツの偽造魔法だ!ーーー
そう。
これは、ブラックキャットの『トリックラビリンス(偽造迷宮)』である。
彼は、偽造魔法により本部を隠していただけではない。
本部屋敷内にも、万が一の防衛対策として、あらかじめ『トリックラビリンス』を効果的に発動させるための『魔法術式』を施していたのだ。
現在、屋敷内はあべこべな迷いの森のようになっている。
ブラックキャットは、決してコーロの魔法について何かを見破った訳ではない。
これは、魔法の相性の問題。
くわえて、地の利はブラックキャットにある。
彼は直感的にもっとも効果的な手段を用いたのである。
それは彼が地で持つ強さと言ってもよいだろう。
ブラックキャットは狡猾に思考する。
ーーー今、侵入者は混乱しているだろう。忍び込んだ屋敷が迷宮となっていることに。
さて、ここから目的を果たせなくなった敵はどう動くか。
撤退する?だが出るに出られなくなっている事に困惑するだろう。
となると、この魔法を何とかしようとするはずだ。
そうだ。早く何とかしようとしてみろーーー
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