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異世界の章:第一部 西のキャロル編
ep95 勇者vs魔人形集団4
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このままではどう考えても間に合わない!
彼女は一瞬の隙に決死でなんとか敵の攻撃をかい潜り、キースを殺さんとする者に向かって勢いよく一直線に剣を投げつけた!
グサッ!
放たれた剣はその者の横っ腹にグサリと突き刺さった!
「今のうちに立ち上がって逃げて!!」
ユイも叫びながらキースの元へ飛び出す!
キースはぷるぷると震えながらなんとか立ち上がる。
しかし、ガクガクと足がすくんで思うように動く事ができない!
「あ、足が...!!」
剣を突き刺され一瞬は怯んだものの、その魔人形は腹に剣を突き刺したまま、再びキースに向かい剣を振り上げた!
ザンッ!!
魔人形の剣は、無人の地面をガッと叩きつけた!
間一髪、ユイがキースにバッと飛びつき、その勢いで敵から離れるように地面をゴロゴロ転がり、奴の剣をなんとか空振らせる事に成功した!
...とも言えなかった。
キースを守る事には成功したユイ。
しかし、白い衣の背中の部分をジワッと赤く滲ませる。
「......くっ!」
「......あ、あ、ありがとうございます!ユイリスさん......えっ?」
キースは頭を上げると、ユイの背中の赤い染みに気づいた。
「ユイリスさん!?そ、そんな...!」
「......大丈夫よ、私は平気。それよりも貴方は大丈夫ね?」
「ぼ、僕は大丈夫です!でも、ユイリスさんが!」
「気にしないで。致命傷ではないから」
「す、すみません。僕が戦えないばっかりに......。他人の僕なんかのために......」
「それは違うわ。貴方はアミーナの大切な友達。そしてアミーナは私の大切な友達。だから私は貴方を絶対に守らなければならないの」
「ユ、ユイリスさん......!」
「それにね?私は勇者だから......!」ユイは一切の不安と負った傷をおくびにも出さず誇り高く微笑んだ。
「......ねえ、聞いて?キース」
ユイはわずかによろけて立ち上がりながら静かに言った。
「な、なんですか?」
「私が奴らを引きつける。その間に貴方は少しでも遠くに逃げて」
「そ、そんな!」
「大丈夫。東に向かって進んでいけば国境から離れていく。奴等の目的は勇者である私よ。貴方のことをそこまで追っては来ないはず」
「で、でも」
「私なら大丈夫。勇者はこんなところでやられたりはしない」
「ぼ、僕は...」
「さあ!早く!」
ユイは強引にキースをこの場から逃さんと促す。
とその時...
バーン!!
一発の銃声が鳴り響いた。
「うぅッ!」
ユイが悶絶の呻き声とともに太もも辺りから血を噴き出し、膝をついた。
彼女の美しい脚が一発の弾丸に貫かれた。
「......ユイリスさん!?」
「ハッハァ!!油断してたなクソオンナァ!」
ゲアージがヘラヘラ舌を出しながら存分に憎たらしい面構えで近づいて来た。
「......ゲアージ!」
「オイオイ?おれが手出さねえと思ってたか?ざ~んねん!ずっとスキをうかがってましたぁ~!テメェがしぶてーのは見ててよくわかったからな。ここぞと思ってきたってわけよ。ギャッハッハ!」
「ユイリスさん!」
「キース!貴方は早く行って!」
「おうおう、自己犠牲の精神、美しいねぇ。ほんじゃ、先にキース君に死んでもらおうか」
バーン!
「あっ...」
キースは、弾丸の勢いで若干後方に飛ばされながら、バタンと倒れた。
ゲアージの魔銃が、キースの胸を無情に撃ち抜いた。
「キース!!そんな......!!......ゲアージ、貴様......!!」
ユイは悲しみと怒りに身を震わせる。
「あーあ。守れなかったねぇ?だが心配すんな。次はテメーだ」
ゲアージの宣告とともに、ユイの周りには残りの魔人形どもが四方を取り囲むようにワラワラと集まる。
脚を撃たれ膝をつき、勇者の力も使い果たした丸腰のユイ。
目の前には無情なゲアージと忌まわしき魔人形。
退路も絶たれ、もはや為すすべもない。
今度こそ絶体絶命である。
「まあ、心配すんな。じっくりと可愛がってやっからよ?」ゲアージはニタァ~と笑った。
彼女は一瞬の隙に決死でなんとか敵の攻撃をかい潜り、キースを殺さんとする者に向かって勢いよく一直線に剣を投げつけた!
グサッ!
放たれた剣はその者の横っ腹にグサリと突き刺さった!
「今のうちに立ち上がって逃げて!!」
ユイも叫びながらキースの元へ飛び出す!
キースはぷるぷると震えながらなんとか立ち上がる。
しかし、ガクガクと足がすくんで思うように動く事ができない!
「あ、足が...!!」
剣を突き刺され一瞬は怯んだものの、その魔人形は腹に剣を突き刺したまま、再びキースに向かい剣を振り上げた!
ザンッ!!
魔人形の剣は、無人の地面をガッと叩きつけた!
間一髪、ユイがキースにバッと飛びつき、その勢いで敵から離れるように地面をゴロゴロ転がり、奴の剣をなんとか空振らせる事に成功した!
...とも言えなかった。
キースを守る事には成功したユイ。
しかし、白い衣の背中の部分をジワッと赤く滲ませる。
「......くっ!」
「......あ、あ、ありがとうございます!ユイリスさん......えっ?」
キースは頭を上げると、ユイの背中の赤い染みに気づいた。
「ユイリスさん!?そ、そんな...!」
「......大丈夫よ、私は平気。それよりも貴方は大丈夫ね?」
「ぼ、僕は大丈夫です!でも、ユイリスさんが!」
「気にしないで。致命傷ではないから」
「す、すみません。僕が戦えないばっかりに......。他人の僕なんかのために......」
「それは違うわ。貴方はアミーナの大切な友達。そしてアミーナは私の大切な友達。だから私は貴方を絶対に守らなければならないの」
「ユ、ユイリスさん......!」
「それにね?私は勇者だから......!」ユイは一切の不安と負った傷をおくびにも出さず誇り高く微笑んだ。
「......ねえ、聞いて?キース」
ユイはわずかによろけて立ち上がりながら静かに言った。
「な、なんですか?」
「私が奴らを引きつける。その間に貴方は少しでも遠くに逃げて」
「そ、そんな!」
「大丈夫。東に向かって進んでいけば国境から離れていく。奴等の目的は勇者である私よ。貴方のことをそこまで追っては来ないはず」
「で、でも」
「私なら大丈夫。勇者はこんなところでやられたりはしない」
「ぼ、僕は...」
「さあ!早く!」
ユイは強引にキースをこの場から逃さんと促す。
とその時...
バーン!!
一発の銃声が鳴り響いた。
「うぅッ!」
ユイが悶絶の呻き声とともに太もも辺りから血を噴き出し、膝をついた。
彼女の美しい脚が一発の弾丸に貫かれた。
「......ユイリスさん!?」
「ハッハァ!!油断してたなクソオンナァ!」
ゲアージがヘラヘラ舌を出しながら存分に憎たらしい面構えで近づいて来た。
「......ゲアージ!」
「オイオイ?おれが手出さねえと思ってたか?ざ~んねん!ずっとスキをうかがってましたぁ~!テメェがしぶてーのは見ててよくわかったからな。ここぞと思ってきたってわけよ。ギャッハッハ!」
「ユイリスさん!」
「キース!貴方は早く行って!」
「おうおう、自己犠牲の精神、美しいねぇ。ほんじゃ、先にキース君に死んでもらおうか」
バーン!
「あっ...」
キースは、弾丸の勢いで若干後方に飛ばされながら、バタンと倒れた。
ゲアージの魔銃が、キースの胸を無情に撃ち抜いた。
「キース!!そんな......!!......ゲアージ、貴様......!!」
ユイは悲しみと怒りに身を震わせる。
「あーあ。守れなかったねぇ?だが心配すんな。次はテメーだ」
ゲアージの宣告とともに、ユイの周りには残りの魔人形どもが四方を取り囲むようにワラワラと集まる。
脚を撃たれ膝をつき、勇者の力も使い果たした丸腰のユイ。
目の前には無情なゲアージと忌まわしき魔人形。
退路も絶たれ、もはや為すすべもない。
今度こそ絶体絶命である。
「まあ、心配すんな。じっくりと可愛がってやっからよ?」ゲアージはニタァ~と笑った。
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