97 / 160
異世界の章:第一部 西のキャロル編
ep92 勇者vs魔人形集団
しおりを挟む
丸腰で構えるユイ。
キースは、彼女の背中から、つい先程、千頭の魔犬達を目の当たりにした時を凌ぐ緊迫感を感じ取る。
「...あ、あの、ユイリスさん」
「なに?」
振り向かずに返事をするユイ。
「だ、大丈夫...なんですか?なんかさっきよりも、その...」
「大丈夫よ。キース君は絶対に私から離れないで。いい?」
「あの、さっきの剣は?」
「あれはもう使えないの。だから素手で戦うしかない。でも大丈夫。貴方の事は必ず守るわ」
ユイはキースを安心させるように軽く振り向いて微笑んだ。
距離を置いて睨み合うユイと魔人形ども。
異しい静けさが漂う。
キースはゴクっと息を飲む。
夜風が彼らの間をビューッと吹き抜けた時、三体の魔人形が同時に、ユイへ飛びかかった!
斧を持った魔人形が上からブンと斬りつける!
ユイは身体を反転ヒラリとかわす!
その刹那、側面から彼女の背中に向かい剣の魔人形がビュッと斬りつける!
ユイはひゅんっと跳んでかわしながら弧を描くように回転し、斧の魔人形の頭蓋に強烈な回し蹴りをぶち込む!
ガンッ!!
斧の魔人形はぐにゃりと首をひしゃげ、戦線離脱する勢いで吹っ飛んだ!
着地したユイは、間髪入れず次撃に移らせる間もなく、剣の魔人形の胴に腹を突き破らんばかりの蹴りをズドン!とぶち込む!
剣の魔人形は武器を落として、同じく戦線離脱の勢いで吹っ飛んだ!
危機はまだ終わらない。
今度は槍の魔人形がユイの胴体目掛け串刺しにせんと突きを入れる!
ところが、先端が体に届く手前でユイは槍を下から蹴り上げバキンと破壊した!
転瞬、ユイはひとっ飛び間合いを詰め、槍の魔人形に飛び膝蹴り一閃!
ガツンッ!
前の二体同様に、槍の魔人形は吹っ飛んだ!
「オイ......オイオイオイ!一瞬で三体もやられちまったじゃねーか!?大丈夫かよオイ!?」
ゲアージはマイルスに向かい怒りまじりに騒ぎ立てる。
マイルスは至って冷静に答えた。
「まったく問題ありませんよゲアージさん。だから落ち着いてください。それに相手は勇者様ですからね。あれぐらいは当然でしょう」
ユイは敵の落とした剣を拾うと、剣尖をマイルスとゲアージに向けて言い放つ。
「もうすぐ貴方達の番よ。覚悟しなさい!」
「チッ!調子に乗りやがってクソオンナぁ」
「勇者様。気が早いですね。彼らはまだ終わっていませんよ?」
「残りの七体もさっさと片付けて......ん?」
吹っ飛ばされて地に伏せた三体の魔人形。
と思いきや、者どもはむくりと起き上がり、再びぬらりと近づいて来た。
その内の一体は、首をひしゃげたままのおぞましい姿である。
「......これは?魔人形って......」
「まだ気づきませんか?勇者様。......これは人間の屍体を使っているんですよ」
「!!」
「わかりやすく言えばゾンビみたいなものですね。といっても、下品なゾンビなぞとは違いますけどね」
「......完全に禁忌の類ね。そんなの魔導ではない!忌むべき外法だわ!」
勇者は炎のように目を燃え上がらせた。
「チッ!勇者の正義の演説なんか聞きたかねーわ!」
ゲアージが憎々しく口を挟む。
「おれは債務者のゴミどもを追い込む。搾り取る。
だが搾り取れなくなった奴らは生かしとく価値はねえ。
でもよ?そいつらブッ殺して魔人形にできりゃあこんな最高な事ねーよなぁ!?
究極のリサイクル、究極のサスティナブルって訳だ!
これも資源活用なんだよ!エコってやつか?ギャッハッハ!」
「この外道め......!!」
正義の怒りに打ち震えるユイ。
ところが、怒れる勇者を前に、目の前の事にはもう興味が無くなったと言わんばかりにマイルスがクルっときびすを返し、化け物に跨った。
キースは、彼女の背中から、つい先程、千頭の魔犬達を目の当たりにした時を凌ぐ緊迫感を感じ取る。
「...あ、あの、ユイリスさん」
「なに?」
振り向かずに返事をするユイ。
「だ、大丈夫...なんですか?なんかさっきよりも、その...」
「大丈夫よ。キース君は絶対に私から離れないで。いい?」
「あの、さっきの剣は?」
「あれはもう使えないの。だから素手で戦うしかない。でも大丈夫。貴方の事は必ず守るわ」
ユイはキースを安心させるように軽く振り向いて微笑んだ。
距離を置いて睨み合うユイと魔人形ども。
異しい静けさが漂う。
キースはゴクっと息を飲む。
夜風が彼らの間をビューッと吹き抜けた時、三体の魔人形が同時に、ユイへ飛びかかった!
斧を持った魔人形が上からブンと斬りつける!
ユイは身体を反転ヒラリとかわす!
その刹那、側面から彼女の背中に向かい剣の魔人形がビュッと斬りつける!
ユイはひゅんっと跳んでかわしながら弧を描くように回転し、斧の魔人形の頭蓋に強烈な回し蹴りをぶち込む!
ガンッ!!
斧の魔人形はぐにゃりと首をひしゃげ、戦線離脱する勢いで吹っ飛んだ!
着地したユイは、間髪入れず次撃に移らせる間もなく、剣の魔人形の胴に腹を突き破らんばかりの蹴りをズドン!とぶち込む!
剣の魔人形は武器を落として、同じく戦線離脱の勢いで吹っ飛んだ!
危機はまだ終わらない。
今度は槍の魔人形がユイの胴体目掛け串刺しにせんと突きを入れる!
ところが、先端が体に届く手前でユイは槍を下から蹴り上げバキンと破壊した!
転瞬、ユイはひとっ飛び間合いを詰め、槍の魔人形に飛び膝蹴り一閃!
ガツンッ!
前の二体同様に、槍の魔人形は吹っ飛んだ!
「オイ......オイオイオイ!一瞬で三体もやられちまったじゃねーか!?大丈夫かよオイ!?」
ゲアージはマイルスに向かい怒りまじりに騒ぎ立てる。
マイルスは至って冷静に答えた。
「まったく問題ありませんよゲアージさん。だから落ち着いてください。それに相手は勇者様ですからね。あれぐらいは当然でしょう」
ユイは敵の落とした剣を拾うと、剣尖をマイルスとゲアージに向けて言い放つ。
「もうすぐ貴方達の番よ。覚悟しなさい!」
「チッ!調子に乗りやがってクソオンナぁ」
「勇者様。気が早いですね。彼らはまだ終わっていませんよ?」
「残りの七体もさっさと片付けて......ん?」
吹っ飛ばされて地に伏せた三体の魔人形。
と思いきや、者どもはむくりと起き上がり、再びぬらりと近づいて来た。
その内の一体は、首をひしゃげたままのおぞましい姿である。
「......これは?魔人形って......」
「まだ気づきませんか?勇者様。......これは人間の屍体を使っているんですよ」
「!!」
「わかりやすく言えばゾンビみたいなものですね。といっても、下品なゾンビなぞとは違いますけどね」
「......完全に禁忌の類ね。そんなの魔導ではない!忌むべき外法だわ!」
勇者は炎のように目を燃え上がらせた。
「チッ!勇者の正義の演説なんか聞きたかねーわ!」
ゲアージが憎々しく口を挟む。
「おれは債務者のゴミどもを追い込む。搾り取る。
だが搾り取れなくなった奴らは生かしとく価値はねえ。
でもよ?そいつらブッ殺して魔人形にできりゃあこんな最高な事ねーよなぁ!?
究極のリサイクル、究極のサスティナブルって訳だ!
これも資源活用なんだよ!エコってやつか?ギャッハッハ!」
「この外道め......!!」
正義の怒りに打ち震えるユイ。
ところが、怒れる勇者を前に、目の前の事にはもう興味が無くなったと言わんばかりにマイルスがクルっときびすを返し、化け物に跨った。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
修学旅行のはずが突然異世界に!?
中澤 亮
ファンタジー
高校2年生の才偽琉海(さいぎ るい)は修学旅行のため、学友たちと飛行機に乗っていた。
しかし、その飛行機は不運にも機体を損傷するほどの事故に巻き込まれてしまう。
修学旅行中の高校生たちを乗せた飛行機がとある海域で行方不明に!?
乗客たちはどこへ行ったのか?
主人公は森の中で一人の精霊と出会う。
主人公と精霊のエアリスが織りなす異世界譚。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
俺だけ成長限界を突破して強くなる~『成長率鈍化』は外れスキルだと馬鹿にされてきたけど、実は成長限界を突破できるチートスキルでした~
つくも
ファンタジー
Fランク冒険者エルクは外れスキルと言われる固有スキル『成長率鈍化』を持っていた。
このスキルはレベルもスキルレベルも成長効率が鈍化してしまう、ただの外れスキルだと馬鹿にされてきた。
しかし、このスキルには可能性があったのだ。成長効率が悪い代わりに、上限とされてきたレベル『99』スキルレベル『50』の上限を超える事ができた。
地道に剣技のスキルを鍛え続けてきたエルクが、上限である『50』を突破した時。
今まで馬鹿にされてきたエルクの快進撃が始まるのであった。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
異世界に転生したので、とりあえず戦闘メイドを育てます。
佐々木サイ
ファンタジー
異世界の辺境貴族の長男として転生した主人公は、前世で何をしていたかすら思い出せない。 次期領主の最有力候補になるが、領地経営なんてした事ないし、災害級の魔法が放てるわけでもない・・・・・・ ならばっ! 異世界に転生したので、頼れる相棒と共に、仲間や家族と共に成り上がれっ!
実はこっそりカクヨムでも公開していたり・・・・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる