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異世界の章:第一部 西のキャロル編
ep90 一掃
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シュウゥゥゥゥゥゥ......
光が霧散する。
残り香のように漂う白い煙が徐々に晴れていくと......
なんと、辺り一帯を支配していたはずのおびただしい数の魔犬どもが、跡形もなく消滅していた...!
「......??おいっ!こりゃどうなってやがる!?」
驚愕して叫ぶゲアージ。
呆然として立ち尽くすロナルド。
「あの数の魔犬が、一瞬で消え失せた...のか!?...ん?おまえどうした??」
亀のようにうずくまっていたキースが恐る恐る顔を上げた。
「......あ、あれっ??魔犬が......いない!?」
キースはすぐに眼前に立つユイを見上げた。
彼の目に映ったユイの背中は、まさしく英雄の後ろ姿だった。
だが、ユイは急にガクッと肩を落としてズシャッと片膝をつく。
「......くっ!や、やはり、今の私の状態での聖剣とあの技は負担が大きい......これ以上、聖剣を保てない......!」
ユイの手にあった聖剣は、一瞬ピカッと白く光ったかと思うと、次の瞬間に消失した。
「だ、大丈夫ですか!?」
キースが慌てて訊ねる。
「ええ、大丈夫。そして、魔犬は一掃できたようね」
ユイはぐぐぐっとゆっくり立ち上がって答えた。
「す、凄いですね!?一瞬であれだけの数の魔犬を...」
「『ホーリーインパクト:γ』は、聖なる力により魔のみを祓い去る技。人間には効果を及ぼさないの。でも、魔力耐性の弱い人間は気絶ぐらいはしてしまうけれど」
ユイの説明のとおり、付近にいたゲアージの部下達、ロナルドと連れ立っていた警備隊員の半分が気を失って地に伏せていた。
「オイオイオイッ!フザけんじゃねぇ!なんだあのデタラメな力は!オレ以外全滅か!?おい!ロナルド!テメーの方はどうだ!?」
ゲアージは少し距離を置いた位置にいるロナルドに向かい怒鳴った。
「......ゲアージさん!?こちらは、私と二名以外はダメです...!」
「チッ!おもしろくねえ展開だぜチクショウ!!」
ゲアージは懐から魔銃を抜くが二の足を踏む。
「アレと正面からやって勝てんのか?あのクソオンナ、勇者はダテじゃねえってか。チッ!どうする?いったん引くか?だがこのまま逃げ帰る訳にもいかねぇ。マジどうする?ああっ!チクショウ!」
その時、上空に、翼の生えた化け物の影が彼らのもとに迫って来ていた。
バサ~バサ~バサ~!
ゲアージが気づく。
「ん?ありゃなんだ?」
ロナルドも気づく。
「あ、あれは!?」
ユイはぴくっとして、空から迫り来る新たな邪悪な気配を察知する。
「今度は何!?」
バサ~バサ~ズゥゥゥン......。
化け物はゲアージのすぐ側に着陸した。
光が霧散する。
残り香のように漂う白い煙が徐々に晴れていくと......
なんと、辺り一帯を支配していたはずのおびただしい数の魔犬どもが、跡形もなく消滅していた...!
「......??おいっ!こりゃどうなってやがる!?」
驚愕して叫ぶゲアージ。
呆然として立ち尽くすロナルド。
「あの数の魔犬が、一瞬で消え失せた...のか!?...ん?おまえどうした??」
亀のようにうずくまっていたキースが恐る恐る顔を上げた。
「......あ、あれっ??魔犬が......いない!?」
キースはすぐに眼前に立つユイを見上げた。
彼の目に映ったユイの背中は、まさしく英雄の後ろ姿だった。
だが、ユイは急にガクッと肩を落としてズシャッと片膝をつく。
「......くっ!や、やはり、今の私の状態での聖剣とあの技は負担が大きい......これ以上、聖剣を保てない......!」
ユイの手にあった聖剣は、一瞬ピカッと白く光ったかと思うと、次の瞬間に消失した。
「だ、大丈夫ですか!?」
キースが慌てて訊ねる。
「ええ、大丈夫。そして、魔犬は一掃できたようね」
ユイはぐぐぐっとゆっくり立ち上がって答えた。
「す、凄いですね!?一瞬であれだけの数の魔犬を...」
「『ホーリーインパクト:γ』は、聖なる力により魔のみを祓い去る技。人間には効果を及ぼさないの。でも、魔力耐性の弱い人間は気絶ぐらいはしてしまうけれど」
ユイの説明のとおり、付近にいたゲアージの部下達、ロナルドと連れ立っていた警備隊員の半分が気を失って地に伏せていた。
「オイオイオイッ!フザけんじゃねぇ!なんだあのデタラメな力は!オレ以外全滅か!?おい!ロナルド!テメーの方はどうだ!?」
ゲアージは少し距離を置いた位置にいるロナルドに向かい怒鳴った。
「......ゲアージさん!?こちらは、私と二名以外はダメです...!」
「チッ!おもしろくねえ展開だぜチクショウ!!」
ゲアージは懐から魔銃を抜くが二の足を踏む。
「アレと正面からやって勝てんのか?あのクソオンナ、勇者はダテじゃねえってか。チッ!どうする?いったん引くか?だがこのまま逃げ帰る訳にもいかねぇ。マジどうする?ああっ!チクショウ!」
その時、上空に、翼の生えた化け物の影が彼らのもとに迫って来ていた。
バサ~バサ~バサ~!
ゲアージが気づく。
「ん?ありゃなんだ?」
ロナルドも気づく。
「あ、あれは!?」
ユイはぴくっとして、空から迫り来る新たな邪悪な気配を察知する。
「今度は何!?」
バサ~バサ~ズゥゥゥン......。
化け物はゲアージのすぐ側に着陸した。
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