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異世界の章:第一部 西のキャロル編
ep51 冒険者ギルド
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翌朝。
四人は簡単な朝食を済ませた後(ミッチーは食べないが)、早々に出掛けた。
ユイとアミーナの後に着いて行くように、コーロは眠い目をこすりながら気だるそうに歩いていた。
ユイはコーロを見て心配そうに声をかけた。
「コーロ?本当に大丈夫?」
「ああ。大丈夫だよ。ふあ~」
コーロは手を口に当てあくびをしながら答えた。
「マジ、この世界に来て初めて爆睡したかも」
「起きんのおっそいわホンマ!」
「ホント、スンマセン」
「暗黒魔導師は夜行性なので勘弁してあげてください」
コーロの懐からミッチーがひょこっと顔を覗かせて言葉を挟んだ。
「え、そうなの?俺って夜行性なの?」
「猫か!あ、猫はウチか!にゃはは」
「アミーナは夜行性なのかしら?」
「どうなんやろ?フツーに夜寝て朝起きるけど」
「アミーナは健康優良児って感じだもんな」
「児ってなんや!ウチはもう十六歳やで?」
「アミーナは十六歳なの?」
「せやで?おねーさんはいくつなん?」
「私は十七歳。アミーナと一つしか変わらないわ」
「え!?ユイって十七なの!?」
「そうだけど?コーロはいくつなの?」
「俺は二十七...」
ーーーマジか!てことは、このままだと俺は異世界のJK(勇者だけど)のヒモになってしまうのか!こ、これは冒険者ギルドに急がなければ......ーーー
密かに燃える決意を胸に秘め、異世界から来た暗黒魔導師は、ギルドに向かいしかと足を踏み締めるのであった。(先日、同じくJK年齢のアミーナの耳と尻尾を触らせてもらおうと願い出た事は都合良く忘れて......)
「ここがギルドやで!」
「おっ、ここがか!って大きな酒場?」
一行が辿り着いたのは、木造二階建ての大きな屋敷風の建物で、一階は酒場のようなスペースとなっていた。
中へ入ると、ゴロツキのような輩もいれば、剣士風の男、神官風の女、武闘家風の男、狩人風の女、戦士風のゴリラみたいな男、長いつばの魔女帽子に黒いローブを羽織った女など、種々様々な者達で賑わっていた。
コーロはその雰囲気にワクワクドキドキしつつ圧倒されながら呟いた。
「すげえ。まるでハロウィンの渋谷みたいだ...」
「はろうぃん?しぶや?」
「ごめんユイ。何でもない」
「あそこが受付カウンターや!行こか!」
アミーナに促され、コーロはギルドの受付カウンターへと進んだ。
それはバースペースのドリンクカウンターのような受付だった。
そこには、白いワイシャツに黒いベスト、やや茶色がかった髪を控えめなポニーテールにした、眼鏡姿の女性が立っていた。
早速、アミーナは受付の女性の前に出ていき、軽く会釈をした。
「いらっしゃいませ。どのようなご用件ですか?」
「こっちのおにーさんが冒険者登録したいんやけど」
「かしこまりました。では、こちらの魔法紙の書面に、横の案内に沿ってご記入ください」
コーロは一枚の紙とペンを受け取ると、自分でも不思議なくらいスラスラと記入した。
ーーーあれ?てゆーか、何で俺はこの字を読めて書けるんだ?そもそもなぜこの世界の言語を理解し操れているんだ?まあいいかーーー
今更ながら、彼はそう思った。
だが、なぜかそれ以上は疑問に思わなかった。
なぜ地球は丸いのか?を人が疑問に思わないように......。
四人は簡単な朝食を済ませた後(ミッチーは食べないが)、早々に出掛けた。
ユイとアミーナの後に着いて行くように、コーロは眠い目をこすりながら気だるそうに歩いていた。
ユイはコーロを見て心配そうに声をかけた。
「コーロ?本当に大丈夫?」
「ああ。大丈夫だよ。ふあ~」
コーロは手を口に当てあくびをしながら答えた。
「マジ、この世界に来て初めて爆睡したかも」
「起きんのおっそいわホンマ!」
「ホント、スンマセン」
「暗黒魔導師は夜行性なので勘弁してあげてください」
コーロの懐からミッチーがひょこっと顔を覗かせて言葉を挟んだ。
「え、そうなの?俺って夜行性なの?」
「猫か!あ、猫はウチか!にゃはは」
「アミーナは夜行性なのかしら?」
「どうなんやろ?フツーに夜寝て朝起きるけど」
「アミーナは健康優良児って感じだもんな」
「児ってなんや!ウチはもう十六歳やで?」
「アミーナは十六歳なの?」
「せやで?おねーさんはいくつなん?」
「私は十七歳。アミーナと一つしか変わらないわ」
「え!?ユイって十七なの!?」
「そうだけど?コーロはいくつなの?」
「俺は二十七...」
ーーーマジか!てことは、このままだと俺は異世界のJK(勇者だけど)のヒモになってしまうのか!こ、これは冒険者ギルドに急がなければ......ーーー
密かに燃える決意を胸に秘め、異世界から来た暗黒魔導師は、ギルドに向かいしかと足を踏み締めるのであった。(先日、同じくJK年齢のアミーナの耳と尻尾を触らせてもらおうと願い出た事は都合良く忘れて......)
「ここがギルドやで!」
「おっ、ここがか!って大きな酒場?」
一行が辿り着いたのは、木造二階建ての大きな屋敷風の建物で、一階は酒場のようなスペースとなっていた。
中へ入ると、ゴロツキのような輩もいれば、剣士風の男、神官風の女、武闘家風の男、狩人風の女、戦士風のゴリラみたいな男、長いつばの魔女帽子に黒いローブを羽織った女など、種々様々な者達で賑わっていた。
コーロはその雰囲気にワクワクドキドキしつつ圧倒されながら呟いた。
「すげえ。まるでハロウィンの渋谷みたいだ...」
「はろうぃん?しぶや?」
「ごめんユイ。何でもない」
「あそこが受付カウンターや!行こか!」
アミーナに促され、コーロはギルドの受付カウンターへと進んだ。
それはバースペースのドリンクカウンターのような受付だった。
そこには、白いワイシャツに黒いベスト、やや茶色がかった髪を控えめなポニーテールにした、眼鏡姿の女性が立っていた。
早速、アミーナは受付の女性の前に出ていき、軽く会釈をした。
「いらっしゃいませ。どのようなご用件ですか?」
「こっちのおにーさんが冒険者登録したいんやけど」
「かしこまりました。では、こちらの魔法紙の書面に、横の案内に沿ってご記入ください」
コーロは一枚の紙とペンを受け取ると、自分でも不思議なくらいスラスラと記入した。
ーーーあれ?てゆーか、何で俺はこの字を読めて書けるんだ?そもそもなぜこの世界の言語を理解し操れているんだ?まあいいかーーー
今更ながら、彼はそう思った。
だが、なぜかそれ以上は疑問に思わなかった。
なぜ地球は丸いのか?を人が疑問に思わないように......。
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