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異世界の章:第一部 西のキャロル編
ep45 猫好きの告白
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馬車がキャロルに向けて進むにつれて、アミーナは次第にしゅんとした表情になる。
それには理由があった。
「もうアミとこうして旅するのもこれで最後か~いやぁ寂しくなるねえ」
連中の一人がだしぬけに言った。
「いよいようちの看板猫娘も卒業ですなぁ」
アミーナは、キャロルに降りたらそのまま旅芸人の一座を脱退するのだった。
つまり、これが連中との最後の旅路だったのだ。
コーロがアミーナに訊く。
「アミーナは旅芸人を辞めるのか?」
「うん」
「そうなのか」
「うん。ほんでな?キャロルで起業しよう思うてん」
「なんか商売でも始めるのか?」
「うん。実はすでにキャロルにビジネスパートナーがおってな?一緒に店開くねん」
「どんな店なんだ?」
「にゃっふっふ。それはな...」
「な、なんだ?」
「......猫カフェや!!」
「猫カフェだって!?」
「オモロイやろ!?」
「猫カフェって猫のいるカフェってことだよな?」
「せや!実はウチな?猫と会話できんねんな。ほんで言うこときかしたってサービスすんねん」
「アミーナは猫と会話できるの?」
驚いたユイが口を挟む。
アミーナはドヤ顔でうんと頷いた。
「アミーナは本当に凄いわね。魔法もそうだけど、猫と会話できる猫人は今ではほとんどいないと聞くわ。でも貴女はできるのね?」
「うん!これも才能?なーんて!ニャハハ!」
「猫カフェか~」
コーロが意味ありげに言葉を繰り返した。
「なんや?その含みのある言い方?」
いぶかしげに反応するアミーナ。
するとここで、コーロの懐で大人しくしていたミッチーがふいに飛び出して来た。
「アミーナさん!それはですねぇ......」
「なななんや突然??」
「じ つ は!コーロ様のいた世界にはですねぇ、猫カフェというものが存在するのですよ!」
「ほ、ホンマか!?」
「ホンマです!」
「おおお!そーなんか!?おにーさん!」
「あ、ああ。あるよ、猫カフェ」
ここでコーロは、実は昨日からずっと我慢していた、ある衝動について思いを巡らしていた。
それは、初めてアミーナの姿を目の当たりにした時からずっと抱えているものだった。
(以下、しばし主人公の心の声による皆様のお耳汚しを失礼いたします)
ーーーそう。俺は、大の猫好きだ。子どもの頃から、猫が大好きだった。
実家には猫がいる。
だが、今は一人暮らしでペットが飼えない環境なので、猫とは中々触れ合えない。
道端で野良猫を見つけると、いつも立ち止まってしまう。それで電車に乗り遅れたことは何度もある。
もちろん、猫カフェにも何度も足を運んだ。
いや、そんな事はいいんだ。
今、俺が一番気になっている事、それは......
目の前にいるホンモノの猫娘!
いやマジで、耳とかどうなってるんだ!?生え際ってどうなってんだ!?さ、触ってみたい......
尻尾って!付け根とかどうなってるんだ...!?
気になる......メチャクチャ気になる!
これは、断じてヤラしい意味ではない。
純粋に、純粋な猫好きとして、気になるのだ!!
気になって気になって仕方がないのだーーー
......
「お、おにーさん?どないしたんや?」
「コーロ、さっきからじっとアミーナの事を見つめてどうしたの?」
「い、いや、その......」
「大丈夫?疲れているの?」
「いや、ユイ。そういうのじゃないんだ。その......えっと、アミーナさん......」
「な、なんや?」
「...あの~その~、耳とか、ちょっとだけ、その、触らせていただいても、よろしいでしょうか...?」
「はっ?」
「できれば、その、尻尾も...触らせていただきたく...なんて」
「なっ!い、いきなりなに言うとんねん!」
「ちょっとコーロ、あなた何言ってるの?」
「いや、そういうのじゃないんだこれは!純粋な猫好きとして、猫好きとしての純粋な思いで...えっと、ダメ、ですかね?」
「あ、アカンに決まっとるやろ!!」
「ねえコーロ......」
「あ、いや、だから決していやらしい意味ではないんだ!純粋に猫を愛でたい気持ちからの思いでして......それで耳とか尻尾とか......」
アミーナとユイは声を揃えて叫んだ。
「ヘ ン タ イ!!!」
「いやだからそういうのじゃなくて!!」
「ほなどーゆーのや!」
「コーロ。斬るわよ」
「いや、ユイさん。目がマジだから。やめて、マジで怖いから」
「はっはっは!兄ちゃんおもしれーな!」
「アミが引くなんてよっぽどだぜ!!」
コーロの突然の告白に、馬車内は大いに盛り上がる。
そんな中、なぜかミッチーがドヤ顔で誇る。
「いよいよ暗黒魔導の真の覚醒ですね!!」
「そんなん覚醒すな!」
「私、コーロの事。見誤っていたみたい」
「あの、ユイさん、違うんだ。待って......」
「さすがワタシのコーロ様です!むしろ健全です!健・全!」
「いや、ミッチー。火に油を注ぐのはやめてくれ......」
それには理由があった。
「もうアミとこうして旅するのもこれで最後か~いやぁ寂しくなるねえ」
連中の一人がだしぬけに言った。
「いよいようちの看板猫娘も卒業ですなぁ」
アミーナは、キャロルに降りたらそのまま旅芸人の一座を脱退するのだった。
つまり、これが連中との最後の旅路だったのだ。
コーロがアミーナに訊く。
「アミーナは旅芸人を辞めるのか?」
「うん」
「そうなのか」
「うん。ほんでな?キャロルで起業しよう思うてん」
「なんか商売でも始めるのか?」
「うん。実はすでにキャロルにビジネスパートナーがおってな?一緒に店開くねん」
「どんな店なんだ?」
「にゃっふっふ。それはな...」
「な、なんだ?」
「......猫カフェや!!」
「猫カフェだって!?」
「オモロイやろ!?」
「猫カフェって猫のいるカフェってことだよな?」
「せや!実はウチな?猫と会話できんねんな。ほんで言うこときかしたってサービスすんねん」
「アミーナは猫と会話できるの?」
驚いたユイが口を挟む。
アミーナはドヤ顔でうんと頷いた。
「アミーナは本当に凄いわね。魔法もそうだけど、猫と会話できる猫人は今ではほとんどいないと聞くわ。でも貴女はできるのね?」
「うん!これも才能?なーんて!ニャハハ!」
「猫カフェか~」
コーロが意味ありげに言葉を繰り返した。
「なんや?その含みのある言い方?」
いぶかしげに反応するアミーナ。
するとここで、コーロの懐で大人しくしていたミッチーがふいに飛び出して来た。
「アミーナさん!それはですねぇ......」
「なななんや突然??」
「じ つ は!コーロ様のいた世界にはですねぇ、猫カフェというものが存在するのですよ!」
「ほ、ホンマか!?」
「ホンマです!」
「おおお!そーなんか!?おにーさん!」
「あ、ああ。あるよ、猫カフェ」
ここでコーロは、実は昨日からずっと我慢していた、ある衝動について思いを巡らしていた。
それは、初めてアミーナの姿を目の当たりにした時からずっと抱えているものだった。
(以下、しばし主人公の心の声による皆様のお耳汚しを失礼いたします)
ーーーそう。俺は、大の猫好きだ。子どもの頃から、猫が大好きだった。
実家には猫がいる。
だが、今は一人暮らしでペットが飼えない環境なので、猫とは中々触れ合えない。
道端で野良猫を見つけると、いつも立ち止まってしまう。それで電車に乗り遅れたことは何度もある。
もちろん、猫カフェにも何度も足を運んだ。
いや、そんな事はいいんだ。
今、俺が一番気になっている事、それは......
目の前にいるホンモノの猫娘!
いやマジで、耳とかどうなってるんだ!?生え際ってどうなってんだ!?さ、触ってみたい......
尻尾って!付け根とかどうなってるんだ...!?
気になる......メチャクチャ気になる!
これは、断じてヤラしい意味ではない。
純粋に、純粋な猫好きとして、気になるのだ!!
気になって気になって仕方がないのだーーー
......
「お、おにーさん?どないしたんや?」
「コーロ、さっきからじっとアミーナの事を見つめてどうしたの?」
「い、いや、その......」
「大丈夫?疲れているの?」
「いや、ユイ。そういうのじゃないんだ。その......えっと、アミーナさん......」
「な、なんや?」
「...あの~その~、耳とか、ちょっとだけ、その、触らせていただいても、よろしいでしょうか...?」
「はっ?」
「できれば、その、尻尾も...触らせていただきたく...なんて」
「なっ!い、いきなりなに言うとんねん!」
「ちょっとコーロ、あなた何言ってるの?」
「いや、そういうのじゃないんだこれは!純粋な猫好きとして、猫好きとしての純粋な思いで...えっと、ダメ、ですかね?」
「あ、アカンに決まっとるやろ!!」
「ねえコーロ......」
「あ、いや、だから決していやらしい意味ではないんだ!純粋に猫を愛でたい気持ちからの思いでして......それで耳とか尻尾とか......」
アミーナとユイは声を揃えて叫んだ。
「ヘ ン タ イ!!!」
「いやだからそういうのじゃなくて!!」
「ほなどーゆーのや!」
「コーロ。斬るわよ」
「いや、ユイさん。目がマジだから。やめて、マジで怖いから」
「はっはっは!兄ちゃんおもしれーな!」
「アミが引くなんてよっぽどだぜ!!」
コーロの突然の告白に、馬車内は大いに盛り上がる。
そんな中、なぜかミッチーがドヤ顔で誇る。
「いよいよ暗黒魔導の真の覚醒ですね!!」
「そんなん覚醒すな!」
「私、コーロの事。見誤っていたみたい」
「あの、ユイさん、違うんだ。待って......」
「さすがワタシのコーロ様です!むしろ健全です!健・全!」
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