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異世界の章:第一部 西のキャロル編
ep40 害意の正体。アミーナの魔法。
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コーロは眼だけで周囲を見回した。
それにユイが気づく。
「どうしたの?」
「何者かが、俺達を狙っている」
「まさか討伐軍?」
「いや、違う。これは......」
すぐにアミーナも何かを察知し、獣の耳をピクッとさせた。
「盗賊やな」
アミーナは何事もないような素振りで旅芸人仲間の元へと戻っていき、彼らに声をかける。
「いや~今夜はホンマ騒ぎたい気分やわ。特別に騒ぎたい気分やわ」
連中はアミーナの意図を汲み取り、悟られぬよう同様にどんちゃん続けた。
コーロは魔力を練り始めた。
ユイはそっと剣に手をかけた。
ミッチーはコーロの懐に潜り込んだ。
ガサガサッと音がなる。
次の瞬間、盗賊連中が草木の影からバッと飛び出して来た!
奴らは剣や斧など武器を備えていた!
人数は二十人といったところだろうか。一斉に襲いかかって来た!
コーロは魔法を唱えようとした。
が、一瞬早くアミーナが魔法を唱えた!
『ファイアーウインド(炎の旋風)』
アミーナの片方の手からはメラメラと炎が湧き立ち、もう片方の手からは風の渦が舞い上がる。
魔法の灯りに奴らの姿がさらされる!
アミーナは両掌をバッと突き出す。
表出した炎と風は宙で折り重なり、炎風となって盗賊どもに向かい解き放たれた!
ゴオォォォォォ!!!
「ぎゃあ!!」
「あちい!焼かれる!」
「おいこれヤベーぞ!」
盗賊連中は完全に怯んだ!
なんとか炎風を逃れた者は、一転してその場から退散する姿勢となる。
一目散に背中を見せ逃走する盗賊ども。
そこに向かい、タダで逃すかとばかりに旅芸人の連中が追っかけて攻撃を仕掛けようとしたその時!
ピカァッ!と眩い閃光が瞬いたかと思うと、次の瞬間、盗賊どもは皆、地に伏せていた!
「な、なんだ!?」
「何が起こった!?」
「あっ!奴ら全員倒れてる!!」
それは勇者ユイリスの一撃だった!
「ふう。これで全員倒したわね。あ...」
ユイは途端にフラつき、剣を地面につき刺して倒れそうな体を支えた。
「ユイ!」
コーロはすぐさまユイに駆け寄った。
「だ、大丈夫か?やっぱりまだ森の戦いでの......」
「ええ。...今はこれが限界ね」
懐からミッチーが口を挟む。
「コーロ様は何もしてませんね」
「うるさい!いや確かにそうだけども!なんかスンマセン!」
ユイの雷鳴の如き一閃を目の当たりにしたアミーナもユイに駆け寄って来て、目を輝かせて感動の声を上げる。
「おねーさん!何なんあれ!ごっついわ!高名な剣士さんなんか!?」
「貴女も凄いわアミーナ。さっきのは合成魔法でしょう?しかも、普通だったらあんな魔法を使えば辺りも焼き尽くしてしまうわ。そうなることもなく、あんなに的確に、しかもすんなり使える魔導師なんてそうはいないわ」
「にゃはは。そんなたいしたことちゃうよ!にゃははは。あ、おにーさんは何もしてへんな?」
「うるさい!なんかスンマセン!!」
旅芸人の連中もわっと駆け寄って来て、皆興奮気味に騒ぎ始めた。
「あんた凄いな!?」
「こりゃとんでもない女剣士様だな!」
「いやこりゃすげえすげえ!」
「こんな美人さんがあんな強いとは!」
連中はユイ達を囲んでワイワイとはしゃいだ。
コーロも連中と一緒に笑いながら危機を脱した事に安堵した。
それからすぐに、連中は盗賊どもを縛り上げた。
武器を取り上げられ、両手両足を縄で縛られ地べたに転がる無抵抗の盗賊ども。
アミーナは彼らに近づき、立ったまま彼らを見下ろした。
そして片手で火の魔法をチラつかせながら、いやらしい笑みを浮かべる。
「慰謝料もらわんとな~」
アミーナはしたたかにも、盗賊どもから慰謝料の名目で所持金を回収した。
その光景を見てユイはコーロに向かって懸念を示す。
「あの子、一筋縄ではいかないわね。導きの欠片、本当に返してもらえるかしら」
「うーん。てゆーか今更だけどあの子、なんで関西弁なんだ?エセ関西弁?」
「かんさいべん...?て何?」
「いやゴメン。何でもない」
「コーロ様!」
突如、ミッチーが叫んだ。
「い、いきなりどうしたんだミッチー...ん?また何か......来る!?」
それにユイが気づく。
「どうしたの?」
「何者かが、俺達を狙っている」
「まさか討伐軍?」
「いや、違う。これは......」
すぐにアミーナも何かを察知し、獣の耳をピクッとさせた。
「盗賊やな」
アミーナは何事もないような素振りで旅芸人仲間の元へと戻っていき、彼らに声をかける。
「いや~今夜はホンマ騒ぎたい気分やわ。特別に騒ぎたい気分やわ」
連中はアミーナの意図を汲み取り、悟られぬよう同様にどんちゃん続けた。
コーロは魔力を練り始めた。
ユイはそっと剣に手をかけた。
ミッチーはコーロの懐に潜り込んだ。
ガサガサッと音がなる。
次の瞬間、盗賊連中が草木の影からバッと飛び出して来た!
奴らは剣や斧など武器を備えていた!
人数は二十人といったところだろうか。一斉に襲いかかって来た!
コーロは魔法を唱えようとした。
が、一瞬早くアミーナが魔法を唱えた!
『ファイアーウインド(炎の旋風)』
アミーナの片方の手からはメラメラと炎が湧き立ち、もう片方の手からは風の渦が舞い上がる。
魔法の灯りに奴らの姿がさらされる!
アミーナは両掌をバッと突き出す。
表出した炎と風は宙で折り重なり、炎風となって盗賊どもに向かい解き放たれた!
ゴオォォォォォ!!!
「ぎゃあ!!」
「あちい!焼かれる!」
「おいこれヤベーぞ!」
盗賊連中は完全に怯んだ!
なんとか炎風を逃れた者は、一転してその場から退散する姿勢となる。
一目散に背中を見せ逃走する盗賊ども。
そこに向かい、タダで逃すかとばかりに旅芸人の連中が追っかけて攻撃を仕掛けようとしたその時!
ピカァッ!と眩い閃光が瞬いたかと思うと、次の瞬間、盗賊どもは皆、地に伏せていた!
「な、なんだ!?」
「何が起こった!?」
「あっ!奴ら全員倒れてる!!」
それは勇者ユイリスの一撃だった!
「ふう。これで全員倒したわね。あ...」
ユイは途端にフラつき、剣を地面につき刺して倒れそうな体を支えた。
「ユイ!」
コーロはすぐさまユイに駆け寄った。
「だ、大丈夫か?やっぱりまだ森の戦いでの......」
「ええ。...今はこれが限界ね」
懐からミッチーが口を挟む。
「コーロ様は何もしてませんね」
「うるさい!いや確かにそうだけども!なんかスンマセン!」
ユイの雷鳴の如き一閃を目の当たりにしたアミーナもユイに駆け寄って来て、目を輝かせて感動の声を上げる。
「おねーさん!何なんあれ!ごっついわ!高名な剣士さんなんか!?」
「貴女も凄いわアミーナ。さっきのは合成魔法でしょう?しかも、普通だったらあんな魔法を使えば辺りも焼き尽くしてしまうわ。そうなることもなく、あんなに的確に、しかもすんなり使える魔導師なんてそうはいないわ」
「にゃはは。そんなたいしたことちゃうよ!にゃははは。あ、おにーさんは何もしてへんな?」
「うるさい!なんかスンマセン!!」
旅芸人の連中もわっと駆け寄って来て、皆興奮気味に騒ぎ始めた。
「あんた凄いな!?」
「こりゃとんでもない女剣士様だな!」
「いやこりゃすげえすげえ!」
「こんな美人さんがあんな強いとは!」
連中はユイ達を囲んでワイワイとはしゃいだ。
コーロも連中と一緒に笑いながら危機を脱した事に安堵した。
それからすぐに、連中は盗賊どもを縛り上げた。
武器を取り上げられ、両手両足を縄で縛られ地べたに転がる無抵抗の盗賊ども。
アミーナは彼らに近づき、立ったまま彼らを見下ろした。
そして片手で火の魔法をチラつかせながら、いやらしい笑みを浮かべる。
「慰謝料もらわんとな~」
アミーナはしたたかにも、盗賊どもから慰謝料の名目で所持金を回収した。
その光景を見てユイはコーロに向かって懸念を示す。
「あの子、一筋縄ではいかないわね。導きの欠片、本当に返してもらえるかしら」
「うーん。てゆーか今更だけどあの子、なんで関西弁なんだ?エセ関西弁?」
「かんさいべん...?て何?」
「いやゴメン。何でもない」
「コーロ様!」
突如、ミッチーが叫んだ。
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