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異世界の章:第一部 魔物の森編
ep25 エルフォレスの作戦
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......漆黒の混乱の森。
レオルドは、討伐軍の様子を気にしつつ、暗闇の森の中を慎重に進んでいた。(彼は暗闇の中でも意識を集中すれば森の気配で自らの位置、方向を認識できる)
「今のところは、作戦通りだな......」
ーーーエルフォレスの作戦は、討伐軍に一人の死者も出さず制圧し、黒幕またはそれに通じる者をあぶり出し、そいつを押さえること。
最初オレは、この期に及んで甘えとも思ったが、そうじゃねえ。要するに、奴等に一人でも死者を出しちまったら戦争の正当な口実を与えちまうって訳だ。
それこそ黒幕の思う壺。
そこで、オレがまず囮になって奴等を森に引き入れる。森ではエルフォレスの使役する木の精霊が馬に干渉し、怯えて進めなくさせる。
あれは元々、主に害意のある侵入者を索敵する為にエルフォレスが使っている魔法。
だが動物は人間よりも敏感なので、精霊が馬に刺激を与える事で恐怖に竦ませることができる。
しかも、あれは『魔法迷彩』が完璧だ。
ましてや魔物の森の中。まずバレねえ。
奴等が仕方なく下馬したところ、今度は兄ちゃんが暗黒魔法を使う。
そして暗闇の中、動揺する奴等を魔物達が取り囲み恐怖感を与える。
その恐怖と混乱がピークに達した時、今度はエルフォレスの木の精霊を介した『妖精の魔睡』により奴等を眠らせる。
恐怖感が高まった時や混乱している時ほどあれはよく効く。
逆に、正常な状態の人間に対しあれで無理矢理に眠らせようとすると、耐性の弱い奴の場合、ショック死することがある。
まったくエルフォレスの奴、討伐軍相手に大した配慮だぜ。
......だが、少し気になるな。
どうも作戦がハマり過ぎている。
なぜ全軍でまんまとついてきた?それに、場慣れしてねえような兵士が多過ぎる。
考え過ぎか?まあいずれにせよ、今は作戦通り進めるしかないなーーー
作戦と現状に思考を巡らしながら暗闇の森を進んでいたレオルド。
すると、暗闇の中、彼の視界に一筋の光が翔けるのが見えた。
「あれは!?」
勇者ユイリスである!
「あの光は...聖魔力か?しかも特別な......ということは勇者か!?
あれは真っ直ぐ湖の方向、いや、兄ちゃん達か!どうする?
いや、あそこにはエルフォレスもいる。勇者単独なら、いっそ勇者と引き合わせた方が...」
とその時、
ズバッ!!!
背後からレオルドに不意の一撃が放たれた!
「うっ!?」
剣で斬られたのか!?
彼には何も見えていない!
何が起こったのかもわからない!
「この闇の中で...何者だ!?...うっ!クソッ...!」
レオルドはその場に崩れ落ちた。
レオルドは、討伐軍の様子を気にしつつ、暗闇の森の中を慎重に進んでいた。(彼は暗闇の中でも意識を集中すれば森の気配で自らの位置、方向を認識できる)
「今のところは、作戦通りだな......」
ーーーエルフォレスの作戦は、討伐軍に一人の死者も出さず制圧し、黒幕またはそれに通じる者をあぶり出し、そいつを押さえること。
最初オレは、この期に及んで甘えとも思ったが、そうじゃねえ。要するに、奴等に一人でも死者を出しちまったら戦争の正当な口実を与えちまうって訳だ。
それこそ黒幕の思う壺。
そこで、オレがまず囮になって奴等を森に引き入れる。森ではエルフォレスの使役する木の精霊が馬に干渉し、怯えて進めなくさせる。
あれは元々、主に害意のある侵入者を索敵する為にエルフォレスが使っている魔法。
だが動物は人間よりも敏感なので、精霊が馬に刺激を与える事で恐怖に竦ませることができる。
しかも、あれは『魔法迷彩』が完璧だ。
ましてや魔物の森の中。まずバレねえ。
奴等が仕方なく下馬したところ、今度は兄ちゃんが暗黒魔法を使う。
そして暗闇の中、動揺する奴等を魔物達が取り囲み恐怖感を与える。
その恐怖と混乱がピークに達した時、今度はエルフォレスの木の精霊を介した『妖精の魔睡』により奴等を眠らせる。
恐怖感が高まった時や混乱している時ほどあれはよく効く。
逆に、正常な状態の人間に対しあれで無理矢理に眠らせようとすると、耐性の弱い奴の場合、ショック死することがある。
まったくエルフォレスの奴、討伐軍相手に大した配慮だぜ。
......だが、少し気になるな。
どうも作戦がハマり過ぎている。
なぜ全軍でまんまとついてきた?それに、場慣れしてねえような兵士が多過ぎる。
考え過ぎか?まあいずれにせよ、今は作戦通り進めるしかないなーーー
作戦と現状に思考を巡らしながら暗闇の森を進んでいたレオルド。
すると、暗闇の中、彼の視界に一筋の光が翔けるのが見えた。
「あれは!?」
勇者ユイリスである!
「あの光は...聖魔力か?しかも特別な......ということは勇者か!?
あれは真っ直ぐ湖の方向、いや、兄ちゃん達か!どうする?
いや、あそこにはエルフォレスもいる。勇者単独なら、いっそ勇者と引き合わせた方が...」
とその時、
ズバッ!!!
背後からレオルドに不意の一撃が放たれた!
「うっ!?」
剣で斬られたのか!?
彼には何も見えていない!
何が起こったのかもわからない!
「この闇の中で...何者だ!?...うっ!クソッ...!」
レオルドはその場に崩れ落ちた。
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