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異世界の章:第一部 魔物の森編
ep23 異変
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一方その頃。
コーロ達はあの湖(妖精の泉)のほとりの、そこだけぱっくり割れたように森が開けた広場にいた。
彼らは待っていた。
やかて湖を背にして向かいの深く生い茂る木々の陰から、妖精の姿が現れた。
「あっ、コーロ様!エルフォレス様が戻って来ましたよ!」
「ということは...いよいよか!」
「スヤザキ様!申し訳ありません。やはり話は通じませんでした」
「エルフォレス様の予想通りの結果だったということですね」
「はい。ですので...」
「わかっています。では作戦通り、俺は魔法を」
「お願いします」
コーロは妙に落ち着いていた。(それは彼が真のダークウィザードたる所以なのか?)
コーロは魔力を練り始める。
その表情、その様相は、伝説の暗黒魔導師とでも言うべきそれを呈していた。
一瞬の内に彼の全身から闇の魔力が迸る...!
ーーーなんだろう。魔力を練ると、妙に落ち着く。こんな状況なのに。なぜなんだろう?いや、そんな疑問、今はどうだっていい。魔法をーーー
コーロは目を開いたまま、両手をかざし、魔法を唱えた。
『ダークナイト(暗黒の闇夜)』
その時......
討伐軍はレオルドを追って森を進んでいた。
「おかしいな?他の魔物達が全く見当たらない」
「ああそうだな。あの守護獣も逃げるだけ。これといってトラップもないし」
「...ん?なんだ?」
エヴァンスは何かに気づく。
ユイリスも異変に気づき「...これは?」と口にしたのも束の間、辺り一面はバーッと黒い波のような光に照らされ、次の瞬間、そこは漆黒の世界に包まれた!
「な、なんだ!?」
「おい!何も見えないぞ!?」
「敵の攻撃か!?」
討伐軍は、突然の闇夜の到来に激しく動揺する!
副騎士長マイルスは叫んだ!
「落ち着け!おそらくこれは敵の撹乱作戦の一つだ!体制を崩すな!」
ユイリスはエヴァンスがいるであろう方向に話しかける。
「エヴァンス!聞こえる?これは魔法よね?しかもこれって...」
「聞こえるよ、ユイ。これは魔法だね。しかもこれは...」
ここまで言うとエヴァンスは、口を噤んで考える。
ーーーこれは、精神魔法や合成魔法などの高等魔法の類でもない。この魔力は...おそらく、暗黒魔法!
なぜだ?奴らの内にこんなものを使える奴などいないはず。妖精主は使えるのか?
いや、そんなはずはない。これはとんだイレギュラーだな。どうする?ーーー
「ねえ?エヴァンス?」
「ん?」
「あなたの魔法で何とかならないの?」
「......これは解除したり、あるいは光魔法で相殺したりすることができるような、そういう類いの魔法ではないね」
「じゃあどうすれば?」
「やはり術者を何とか...」
エヴァンスが答えかけた時、今度は突然、そこらじゅうから、ガサガサガサッ!という音が鳴り出した。
「なんの音だ!?」
「何かがいるのか!?」
音の正体は......
コーロ達はあの湖(妖精の泉)のほとりの、そこだけぱっくり割れたように森が開けた広場にいた。
彼らは待っていた。
やかて湖を背にして向かいの深く生い茂る木々の陰から、妖精の姿が現れた。
「あっ、コーロ様!エルフォレス様が戻って来ましたよ!」
「ということは...いよいよか!」
「スヤザキ様!申し訳ありません。やはり話は通じませんでした」
「エルフォレス様の予想通りの結果だったということですね」
「はい。ですので...」
「わかっています。では作戦通り、俺は魔法を」
「お願いします」
コーロは妙に落ち着いていた。(それは彼が真のダークウィザードたる所以なのか?)
コーロは魔力を練り始める。
その表情、その様相は、伝説の暗黒魔導師とでも言うべきそれを呈していた。
一瞬の内に彼の全身から闇の魔力が迸る...!
ーーーなんだろう。魔力を練ると、妙に落ち着く。こんな状況なのに。なぜなんだろう?いや、そんな疑問、今はどうだっていい。魔法をーーー
コーロは目を開いたまま、両手をかざし、魔法を唱えた。
『ダークナイト(暗黒の闇夜)』
その時......
討伐軍はレオルドを追って森を進んでいた。
「おかしいな?他の魔物達が全く見当たらない」
「ああそうだな。あの守護獣も逃げるだけ。これといってトラップもないし」
「...ん?なんだ?」
エヴァンスは何かに気づく。
ユイリスも異変に気づき「...これは?」と口にしたのも束の間、辺り一面はバーッと黒い波のような光に照らされ、次の瞬間、そこは漆黒の世界に包まれた!
「な、なんだ!?」
「おい!何も見えないぞ!?」
「敵の攻撃か!?」
討伐軍は、突然の闇夜の到来に激しく動揺する!
副騎士長マイルスは叫んだ!
「落ち着け!おそらくこれは敵の撹乱作戦の一つだ!体制を崩すな!」
ユイリスはエヴァンスがいるであろう方向に話しかける。
「エヴァンス!聞こえる?これは魔法よね?しかもこれって...」
「聞こえるよ、ユイ。これは魔法だね。しかもこれは...」
ここまで言うとエヴァンスは、口を噤んで考える。
ーーーこれは、精神魔法や合成魔法などの高等魔法の類でもない。この魔力は...おそらく、暗黒魔法!
なぜだ?奴らの内にこんなものを使える奴などいないはず。妖精主は使えるのか?
いや、そんなはずはない。これはとんだイレギュラーだな。どうする?ーーー
「ねえ?エヴァンス?」
「ん?」
「あなたの魔法で何とかならないの?」
「......これは解除したり、あるいは光魔法で相殺したりすることができるような、そういう類いの魔法ではないね」
「じゃあどうすれば?」
「やはり術者を何とか...」
エヴァンスが答えかけた時、今度は突然、そこらじゅうから、ガサガサガサッ!という音が鳴り出した。
「なんの音だ!?」
「何かがいるのか!?」
音の正体は......
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