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ep22 報告
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「?」
糸緒莉はなにげなく再びスマホを手に取り通知を開くと、
「は??ホント??」
その内容にたまげる。
通知は、ついさっき彼女がナゴムに送ったメッセージに対する返信だった。
糸緒莉が彼に送ったメッセージはこうだ。
『今日はどうだった?』
ナゴムの返信はというと、
『また、あやかし......』
であった。
糸緒莉は思わず〔音声通話〕を押した。
すると、ほとんどコール音もなく通話が開始される。
「もしもし?ナゴムくん?」
「お電話ありがとうございます。山田ナゴムです......」
「ちょっとなんなのそのテンション」
「俺もよくわからない......」
「てゆーかホントなの?今日のコも、妖だったの?」
「ろくろっ首の、書店員さんでした」
「それで......どうなったの?」
「どうなった、とは?」
「いや、だから、その......発展性のある関係に、なりそうなのか、というか...」
「いやいや妖同士はナシだよ」
「そ、そうよね!」
「はぁ~」
「ちなみに、なんだけど」
「?」
「そのコは、可愛いかったの?」
「大人しくて優しくて本好きの、可愛い女の子だったよ」
「ふーん」
「なに?どうかした?」
「べつに」
「あのアプリってさ。ひょっとして、妖に大人気なの?」
「そんなの知らないわよ」
「だって糸緒莉もやってたわけじゃん」
「私は友達にススメられてやっただけだから知らないわよ」
「それとも俺の引きが強すぎるのか?」
「それあるかもね」
「二連続で妖ってありえるのか!?」
「もういっそのこと妖もオーケーにしちゃえば?なーんてね」
「えっ」
「え?......あっ!ふ、深い意味はないわよ!」
「あ、う、うん」
「そ、それで、ろくろっ首のコとはおしまいってことなのね」
「いや、友達になりました」
「友達になったの?」
「そのコ、今まで妖の友達がひとりもいなかったらしくてさ。俺でよければってことで、あやかし友達になりました」
「マッチングアプリって、そういう使い方するものなの?」
「なにを言ってるんですか糸緒莉さん。(山田ナゴム調べによると)マッチングアプリで出会って"付き合うことなく友達になる男女”も、一定の割合存在するんですぞ!」
「あやかしはまた別のハナシでしょ?」
「我々の場合はたまたま妖同士だったってだけです!」
「今日のナゴムくん、やっぱりテンション変ね」
「今日もそのパターンだったってだけで......あっ」
「?」
「しおり」
「なあに?」
「その......」
突然、ナゴムはあることを思いつき、それを糸緒莉に持ち掛ける。
糸緒莉が了承すると、さっそくナゴムは動きはじめ、それはすぐに実現の運びとなる。
まるで山田ナゴム自身が、マッチングエージェントになったような立ち回りで。
就寝前......。
そろそろ寝るかと寝床に入ろうとした時、ナゴムは肝心なことを忘れていたのを思い出す。
「そうだ!どうしても糸緒莉と話しておかなきゃいけないことがあったんだった!」
時刻は夜の零時に差しかかっていたが、ナゴムはスマホを開いて〔音声通話〕を押した。
「あ、糸緒莉?寝る前にゴメン」
「どうしたのナゴムくん?」
「大事なことを話すの忘れてて」
「なんのこと?」
「昨日の飲み会のことだよ!水希さんにメチャクチャ誤解されてたことだよ!」
「あっ」
「マジで誤解といておいてくれよ!」
「でもナゴムくんって、チャラかしじゃない」
「俺はチャラくない!」
「冗談よ。だいじょうぶ。私からミズキにちゃんと説明はしといたから」
「そ、それならいいけど」
「まっ、ミズキが納得したかどうかはまた別のハナシだけどね~」
「待てーい!」
「ぷっ、フフフ」
「笑いごとじゃなーい!」
「いいネタになるんじゃない?」
「完全に面白がってるな!そもそも糸緒莉はいいのか?俺が糸緒莉にちょっかい出そうとしてたなんてウワサが立ったらイヤだろ!」
「べつに?ヘーキだけど?」
「えっ、そうなの?」
「私がわかっていれば別にいいんじゃない?」
「まあ、そうなのかな」
「それにね?仮にミズキが誤解したままだったとしても、あの子はヒトに変なウワサをバラまくような人間じゃないから」
「ならいいか。でも、誤解してたらやっぱり解いておいてください。できれば...」
「わかったわよ。じゃあ、私もう眠いから、寝るね」
「遅くにわるい」
「ううん。ぜんぜんヘーキ。じゃあおやすみ、ナゴムくん」
「おやすみ、しおり」
糸緒莉はなにげなく再びスマホを手に取り通知を開くと、
「は??ホント??」
その内容にたまげる。
通知は、ついさっき彼女がナゴムに送ったメッセージに対する返信だった。
糸緒莉が彼に送ったメッセージはこうだ。
『今日はどうだった?』
ナゴムの返信はというと、
『また、あやかし......』
であった。
糸緒莉は思わず〔音声通話〕を押した。
すると、ほとんどコール音もなく通話が開始される。
「もしもし?ナゴムくん?」
「お電話ありがとうございます。山田ナゴムです......」
「ちょっとなんなのそのテンション」
「俺もよくわからない......」
「てゆーかホントなの?今日のコも、妖だったの?」
「ろくろっ首の、書店員さんでした」
「それで......どうなったの?」
「どうなった、とは?」
「いや、だから、その......発展性のある関係に、なりそうなのか、というか...」
「いやいや妖同士はナシだよ」
「そ、そうよね!」
「はぁ~」
「ちなみに、なんだけど」
「?」
「そのコは、可愛いかったの?」
「大人しくて優しくて本好きの、可愛い女の子だったよ」
「ふーん」
「なに?どうかした?」
「べつに」
「あのアプリってさ。ひょっとして、妖に大人気なの?」
「そんなの知らないわよ」
「だって糸緒莉もやってたわけじゃん」
「私は友達にススメられてやっただけだから知らないわよ」
「それとも俺の引きが強すぎるのか?」
「それあるかもね」
「二連続で妖ってありえるのか!?」
「もういっそのこと妖もオーケーにしちゃえば?なーんてね」
「えっ」
「え?......あっ!ふ、深い意味はないわよ!」
「あ、う、うん」
「そ、それで、ろくろっ首のコとはおしまいってことなのね」
「いや、友達になりました」
「友達になったの?」
「そのコ、今まで妖の友達がひとりもいなかったらしくてさ。俺でよければってことで、あやかし友達になりました」
「マッチングアプリって、そういう使い方するものなの?」
「なにを言ってるんですか糸緒莉さん。(山田ナゴム調べによると)マッチングアプリで出会って"付き合うことなく友達になる男女”も、一定の割合存在するんですぞ!」
「あやかしはまた別のハナシでしょ?」
「我々の場合はたまたま妖同士だったってだけです!」
「今日のナゴムくん、やっぱりテンション変ね」
「今日もそのパターンだったってだけで......あっ」
「?」
「しおり」
「なあに?」
「その......」
突然、ナゴムはあることを思いつき、それを糸緒莉に持ち掛ける。
糸緒莉が了承すると、さっそくナゴムは動きはじめ、それはすぐに実現の運びとなる。
まるで山田ナゴム自身が、マッチングエージェントになったような立ち回りで。
就寝前......。
そろそろ寝るかと寝床に入ろうとした時、ナゴムは肝心なことを忘れていたのを思い出す。
「そうだ!どうしても糸緒莉と話しておかなきゃいけないことがあったんだった!」
時刻は夜の零時に差しかかっていたが、ナゴムはスマホを開いて〔音声通話〕を押した。
「あ、糸緒莉?寝る前にゴメン」
「どうしたのナゴムくん?」
「大事なことを話すの忘れてて」
「なんのこと?」
「昨日の飲み会のことだよ!水希さんにメチャクチャ誤解されてたことだよ!」
「あっ」
「マジで誤解といておいてくれよ!」
「でもナゴムくんって、チャラかしじゃない」
「俺はチャラくない!」
「冗談よ。だいじょうぶ。私からミズキにちゃんと説明はしといたから」
「そ、それならいいけど」
「まっ、ミズキが納得したかどうかはまた別のハナシだけどね~」
「待てーい!」
「ぷっ、フフフ」
「笑いごとじゃなーい!」
「いいネタになるんじゃない?」
「完全に面白がってるな!そもそも糸緒莉はいいのか?俺が糸緒莉にちょっかい出そうとしてたなんてウワサが立ったらイヤだろ!」
「べつに?ヘーキだけど?」
「えっ、そうなの?」
「私がわかっていれば別にいいんじゃない?」
「まあ、そうなのかな」
「それにね?仮にミズキが誤解したままだったとしても、あの子はヒトに変なウワサをバラまくような人間じゃないから」
「ならいいか。でも、誤解してたらやっぱり解いておいてください。できれば...」
「わかったわよ。じゃあ、私もう眠いから、寝るね」
「遅くにわるい」
「ううん。ぜんぜんヘーキ。じゃあおやすみ、ナゴムくん」
「おやすみ、しおり」
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