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終章
ep162 交渉
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*
数日後。
某所。
人気のない街外れの木立の中、二人の男が相見えていた。
「私を呼びだすとはなんだ」
「そう言うわりには一人で素直に出てきたな」
「狂戦士と勇者が会うということはそれなりの重大事になる。だからこうせざるを得ない。それは貴様もわかっているだろう」
「ああ。よ~くわかっている」
「用件はなんだ」
「魔剣使いを引き渡せ。奴はオレの部下だ」
ジェイズの言葉に、勇者アレスの空気が変わった。
「......目的はなんだ?」
「言ったろ?魔剣使いはオレの部下だ。だから引き渡せって言ってんだ」
「魔剣使いが狂戦士の部下などという話は一度も聞いたことはないが」
「つい最近の話だからな」
「......」
アレスはいぶかしく思いながらもジェイズの意図が読めない。
「仮にそれが本当のことだとしても、私がその要求を受け入れなければならない理由にはならない」
「なるほど」
ここでジェイズの眼光が鋭くなった。
「ならヘッドフィールドにとって国際平和維持軍は敵ってことになるな」
勇者アレスの表情が曇る。
「本気で言っているのか?」
「マジさ。なんならここでお前と闘り合ってもいい」
ジェイズはまったく揺るがない。
アレスは、魔王を倒した勇者である自分自身がどんな存在であるかをよくわかっていた。
そんな自分へ面と向かって牙を向けるジェイズに並々ならぬ覚悟を感じ取った。
「貴様の要求はわかった。だが、魔剣使いが我々の捕縛対象であることには変わらない」
「タダで引き渡せとは言わねえ」
「?」
「お前らも〔フリーダム〕には手を焼いているんだろ?そこでだ。オレがフリーダム潰しに協力してやる」
実はこれは、以前から勇者アレスがジェイズに対し求めていたことだった。
ジェイズはここぞとばかりにそれを利用した。
ただ、勇者に協力したとしても特別ヘッドフィールドに恩恵があるわけではない。
だからこそ受け入れてこなかったが、部下たちを守ってくれたクローを救うためならば迷いはなかった。
それはヘッドフィールドに残っている人間の総意でもある。
「どうだ。悪くない条件だろ?」
確かに悪くない話かもしれない、と勇者アレスは思った。
だが、この提案を受け入れるということは、国際平和維持軍が魔剣使いを肯定的に認めたと同義。
クローのことをよく知らないアレスにはまだ判断しかねた。
その時、森の影からガサッと音がする。
アレスは目だけで振り向くと、
「兄様!」
妹のカレンの姿を確認した。
「カレン?なぜお前がここにいる?」
口調は冷静だったが、兄の眼は厳しかった。
カレンは一瞬だけ臆したが、ぐっと拳を握りしめて覚悟を決めた。
「あの......兄様!聞いていただきたいお話があります!」
数日後。
某所。
人気のない街外れの木立の中、二人の男が相見えていた。
「私を呼びだすとはなんだ」
「そう言うわりには一人で素直に出てきたな」
「狂戦士と勇者が会うということはそれなりの重大事になる。だからこうせざるを得ない。それは貴様もわかっているだろう」
「ああ。よ~くわかっている」
「用件はなんだ」
「魔剣使いを引き渡せ。奴はオレの部下だ」
ジェイズの言葉に、勇者アレスの空気が変わった。
「......目的はなんだ?」
「言ったろ?魔剣使いはオレの部下だ。だから引き渡せって言ってんだ」
「魔剣使いが狂戦士の部下などという話は一度も聞いたことはないが」
「つい最近の話だからな」
「......」
アレスはいぶかしく思いながらもジェイズの意図が読めない。
「仮にそれが本当のことだとしても、私がその要求を受け入れなければならない理由にはならない」
「なるほど」
ここでジェイズの眼光が鋭くなった。
「ならヘッドフィールドにとって国際平和維持軍は敵ってことになるな」
勇者アレスの表情が曇る。
「本気で言っているのか?」
「マジさ。なんならここでお前と闘り合ってもいい」
ジェイズはまったく揺るがない。
アレスは、魔王を倒した勇者である自分自身がどんな存在であるかをよくわかっていた。
そんな自分へ面と向かって牙を向けるジェイズに並々ならぬ覚悟を感じ取った。
「貴様の要求はわかった。だが、魔剣使いが我々の捕縛対象であることには変わらない」
「タダで引き渡せとは言わねえ」
「?」
「お前らも〔フリーダム〕には手を焼いているんだろ?そこでだ。オレがフリーダム潰しに協力してやる」
実はこれは、以前から勇者アレスがジェイズに対し求めていたことだった。
ジェイズはここぞとばかりにそれを利用した。
ただ、勇者に協力したとしても特別ヘッドフィールドに恩恵があるわけではない。
だからこそ受け入れてこなかったが、部下たちを守ってくれたクローを救うためならば迷いはなかった。
それはヘッドフィールドに残っている人間の総意でもある。
「どうだ。悪くない条件だろ?」
確かに悪くない話かもしれない、と勇者アレスは思った。
だが、この提案を受け入れるということは、国際平和維持軍が魔剣使いを肯定的に認めたと同義。
クローのことをよく知らないアレスにはまだ判断しかねた。
その時、森の影からガサッと音がする。
アレスは目だけで振り向くと、
「兄様!」
妹のカレンの姿を確認した。
「カレン?なぜお前がここにいる?」
口調は冷静だったが、兄の眼は厳しかった。
カレンは一瞬だけ臆したが、ぐっと拳を握りしめて覚悟を決めた。
「あの......兄様!聞いていただきたいお話があります!」
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