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魔剣使いの闘い~狂戦士編

ep132 夕方

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 *

 空も酒呑みどもの顔もすっかり赤らんだ頃。

 俺は表に出て外の空気を吸っていた。
 そこへ街路からドタバタと足音が近づいてくる。

「ダンナぁ!」
「もう勘弁してくれ!」

 トレブルとブーストだ。

「そろそろおれたちも飲ませてくれよ!」
「もう充分仕事はしたぜ!?」

 酒好きのふたりは切実に訴えた。

「で、異常は何もなかったんだな?」

「なにもねえよ!てゆーかよ?さすがに起こりようもねーじゃねえか?」
「そうだぜダンナ!キラースのヤローは大人しく結界に閉じ込められてんだろ?あの〔狂戦士バーサーカー〕の右腕とその部下たちが抜かりなくやってんだ!今おれたちが警戒してもしょーがねーだろ!」

 コイツらの言葉どおり、現在キラースはアイにより脱出不能な結界を張られた建物に幽閉されている。
 どういうわけか、ヤツはそれに素直に応じていた。
 昨日、あれだけ派手に登場しておいてのその態度。

(今ひとつヤツの考えが読めない......)

 とはいえ、一時的にはヤツの脅威が減ったと言えるだろう。
 だからこそカレンも宴に応じていた。
 それでも、念のためトレブルとブーストには警戒にあたらせていたというわけだ。

「わかった。あとは俺が代わるからお前らも飲んでこい。といっても、今日は酒場も早くに店じまいかもな」

「マジか!よっしゃあ!」
「恩に着るぜダンナ!」

 トレブルとブーストはヒャッハ~!と歓喜してドタドタと酒場へ駆けこんでいった。

「どんだけ飲みたいんだアイツら......」

 俺は街の様子をうかがいに行こうと足を踏みだす。
 が、すぐに立ち止まった。

「このタイミングで何も起こらなければ〔狂戦士バーサーカー〕が戻るまで何も起こらないだろうな......」

 実は、あのお堅いカレンがわざわざ宴に参加したのも、それを試す意味があった。 

「街のギャングどものどんちゃん騒ぎにクローのみならず私まで参加する。それは敵にとっては絶好のタイミングだろう」

 カレンの言葉どおり、もしキラースの部下たち及びヤツの息のかかった者たちが近隣に潜んでいて機会をうかがっていたなら、これほどの好機はないだろう。
 しかし、なんの動きも見られなかった。
 結界内のキラース自身は当然のごとく動けない。
 
「確定的なことは言えないし、実際どこまでこちらの動きが掴まれているかもわからないが......」

 やはり今のところは何も起こらないと見ていいだろう。
 あるいは......キラースのような頭のオカシイ奴でも、ヘッドフィールドではそうそう下手な事はしでかせないとも考えられる。

「結局、すべては今この場にいない〔狂戦士バーサーカー〕が握っているってことか......」

 ジェイズ・オズボーンとは、どんな男だろうか。
 どうもその男のことを考えると、なんだろうか、なにか血が騒いでくる......。
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