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魔剣使いの闘い~狂戦士編
ep129 喧嘩
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「ねえクロー?どうしてなにも答えてくれないの?」
エレサは俺の手をさらに自分の胸へむにゅっと押しつけた。
とその時。
「おい。朝っぱらから道端で何をやっているんだ」
側面の方向から女性の声が俺たちへ届いた。
そちらへ振り向くと、
「カレン!」
「まさかあの魔剣使いがこんなスケコマシだとはな......」
カレンは軽蔑の眼差しで吐き捨てた。
「違う!これは...」
即座にサッと手を引っ込めた。
が、エレサはおかまいなしに俺の胸へ飛び込むかのように身を寄せてくる。
「クロー!あんな女のことはどうでもいい!わたしを見て!」
「あの、エレサ。とりあえず落ち着こうか」
「話をそらさないで!」
「いや、カレンも見てるし」
「あんなメスゴリラ隊長のことなんかどうでもいい!ねえクロー!」
「メスゴリラ...だと?」
カレンの片方の眉がピクッと上がった。
明らかに危険な反応。
「ねえクロー!」
「いや、エレサ。ちょっと待って」
「待たない!」
「そうじゃなくて...」
そうこうしているうちに、カレンがぬらりと接近してきてしまう。
「おいダークエルフ」
カレンはエレサの肩をぐっと引っ張った。
「なに?今オマエは関係ないでしょ?」
エレサは挑発的に座らせた眼をギロリと向けてカレンの手を不快感たっぷりに振り払った。
「百歩譲って名前を呼ばないのはまだいい。だが、メスゴリラはさすがに看過できないな」
カレンは人がブチ切れる寸前の妙に静かな口調で言った。
「オマエがわたしの邪魔をするからだろ?メスゴリラ剣士」
「貴様......反省するどころか、どこまでも私を侮辱する気か」
「なんでわたしがオマエに対して反省しなきゃならないの?意味がわからない」
「......わかった。なら嫌でも反省してもらうぞ。へらず口のダークエルフめ!」
カレンはエレサをどんと突き飛ばすと、ついに剣を抜いてしまった。
「やれるものならやってみろ。メスゴリラ隊長」
エレサは闇の魔力を練り始めた。
「え~と、あの~、ケンカは、やめたほうが......」
俺の弱々しい仲裁の声など荒ぶる彼女らへ届くわけもなく......。
まもなく、ふたりの戦闘が開始する。
「ダークエルフ!!」
「メスゴリラ隊長!!」
女ふたりが天下の往来で朝っぱらからぶつかり合いの大喧嘩。
しかもここはギャングの街。
否が応でも血気盛んな連中がわらわらと集まってくる。
「女同士のケンカ?」
「あれは......昨日のヤツらじゃねえか!」
「姉御の命令で手出しはしてねえが...ヘッドフィールドでチョーシ乗ってんじゃねえぞコラァ!!」
やがてギャング連中も二人のケンカに雪崩れこんでいく。
「オラァァァ!!」
「フザケてんじゃねえぞぉ!!」
「ブッ殺せぇぇ!!」
怒号が飛び交い大乱闘が始まる。
アイとの約束の手前、俺は集団から退いて加わるのは控えた。
付近の建物の屋根に上がり、遠目からエレサとカレンの様子だけを注意深く見守る。
「あいつら......カレンはもう少し冷静かと思っていたけど......」
はぁーっとため息をつく。
大事にならなければいいが。
いやすでに大事なのか?
エレサは俺の手をさらに自分の胸へむにゅっと押しつけた。
とその時。
「おい。朝っぱらから道端で何をやっているんだ」
側面の方向から女性の声が俺たちへ届いた。
そちらへ振り向くと、
「カレン!」
「まさかあの魔剣使いがこんなスケコマシだとはな......」
カレンは軽蔑の眼差しで吐き捨てた。
「違う!これは...」
即座にサッと手を引っ込めた。
が、エレサはおかまいなしに俺の胸へ飛び込むかのように身を寄せてくる。
「クロー!あんな女のことはどうでもいい!わたしを見て!」
「あの、エレサ。とりあえず落ち着こうか」
「話をそらさないで!」
「いや、カレンも見てるし」
「あんなメスゴリラ隊長のことなんかどうでもいい!ねえクロー!」
「メスゴリラ...だと?」
カレンの片方の眉がピクッと上がった。
明らかに危険な反応。
「ねえクロー!」
「いや、エレサ。ちょっと待って」
「待たない!」
「そうじゃなくて...」
そうこうしているうちに、カレンがぬらりと接近してきてしまう。
「おいダークエルフ」
カレンはエレサの肩をぐっと引っ張った。
「なに?今オマエは関係ないでしょ?」
エレサは挑発的に座らせた眼をギロリと向けてカレンの手を不快感たっぷりに振り払った。
「百歩譲って名前を呼ばないのはまだいい。だが、メスゴリラはさすがに看過できないな」
カレンは人がブチ切れる寸前の妙に静かな口調で言った。
「オマエがわたしの邪魔をするからだろ?メスゴリラ剣士」
「貴様......反省するどころか、どこまでも私を侮辱する気か」
「なんでわたしがオマエに対して反省しなきゃならないの?意味がわからない」
「......わかった。なら嫌でも反省してもらうぞ。へらず口のダークエルフめ!」
カレンはエレサをどんと突き飛ばすと、ついに剣を抜いてしまった。
「やれるものならやってみろ。メスゴリラ隊長」
エレサは闇の魔力を練り始めた。
「え~と、あの~、ケンカは、やめたほうが......」
俺の弱々しい仲裁の声など荒ぶる彼女らへ届くわけもなく......。
まもなく、ふたりの戦闘が開始する。
「ダークエルフ!!」
「メスゴリラ隊長!!」
女ふたりが天下の往来で朝っぱらからぶつかり合いの大喧嘩。
しかもここはギャングの街。
否が応でも血気盛んな連中がわらわらと集まってくる。
「女同士のケンカ?」
「あれは......昨日のヤツらじゃねえか!」
「姉御の命令で手出しはしてねえが...ヘッドフィールドでチョーシ乗ってんじゃねえぞコラァ!!」
やがてギャング連中も二人のケンカに雪崩れこんでいく。
「オラァァァ!!」
「フザケてんじゃねえぞぉ!!」
「ブッ殺せぇぇ!!」
怒号が飛び交い大乱闘が始まる。
アイとの約束の手前、俺は集団から退いて加わるのは控えた。
付近の建物の屋根に上がり、遠目からエレサとカレンの様子だけを注意深く見守る。
「あいつら......カレンはもう少し冷静かと思っていたけど......」
はぁーっとため息をつく。
大事にならなければいいが。
いやすでに大事なのか?
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