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魔剣使いの闘い~狂戦士編
ep125 ヘッドフィールド③
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「キラース!」
思わずカレンが怒りの声を上げた。
「なんでお前が今ここにいる?」
女が嫌疑の目でキラースを見た。
「おいおいアイちゃん。オレが手助けしてやろうってのにつれねえな」
「手助けだと?」
「いくらアイちゃんとヘッドフィールドのギャングでもよ。魔剣使いと魔法剣士さまを同時に相手にするのは賢くねえな」
「魔法剣士?勇者の妹のことか?」
「そこのローブの女だよ。まっ、オレもまさかカレンちゃんがここにいるとは思わなかったが」
キラースはカレンを指さしてニヤけた。
「キラース......!」
カレンは今にも剣を抜きそうだ。
「それとエレサァ!オメー、魔剣使いに乗り換えたんだなぁ!まったく尻軽なオンナだぜぇ!」
今度はエレサを指さしてキラースがいやらしく笑った。
「......!」
エレサは無言のまま俺の腕をぎゅっと握ってくる。
彼女は恐怖と嫌悪に震えていた。
「そこのエレサはオレがオモチャにしていたダークエルフだ。コイツの闇の魔力はかなりのモンだぜ。つまり、アイちゃんは魔剣使いと魔法剣士とダークエルフを同時に相手にすることになる」
キラースは実に含みのある言い方で説明した。
「何が言いたい」
ギャングの女...アイは苛立ちを見せはじめた。
「だからオレが助太刀してやるってハナシだよ」
「......目的はなんだ?」
「顔馴染みを助けたいだけだよ」
「つまらんウソをつくな。外道野郎が」
「相変わらずきっついなーアイちゃんは。わかったわかった。そんじゃ言うぜ?ぶっちゃけヘッドフィールドとジェイズは〔フリーダム〕をよく思っていない。違うか?」
「まわりくどいな。さっさと目的を言え」
「オレはなぁ。この前、勝手に勇者軍とやり合った。そこの魔法剣士さまとな。フリーダムの幹部連中はそれをよく思わねえだろう。だから幹部会議にも行ってねえ。
そこでだ。フリーダムに対抗するために、ヘッドフィールドと同盟を結ぼうって提案だ。もちろんオレの部下たちも全員含めてだ。差し当たってはここでさっそくオレ自身が手を貸す。どうだ?悪くねえハナシだろ?」
「......お前、わざわざうちのボスがいない所にそんな提案を......わかってやっているな?あたしに決められることではないということを。
さしずめここで手を貸して協力した既成事実を作った上で改めてボスに提案を迫るつもりだろ?うちのボスが義を通したがるのを見込んで」
「さすがよくわかっているじゃねえか」
「まあいい。決めるのはボスだ。手助けしたいなら勝手にしろ」
「そうこなくっちゃな」
キラースは狐のように狡猾に微笑んだ。
「……」
俺はヤツらのやり取りを見ながら思考した。
フリーダムのことやヘッドフィールドのこと。
キラースの立ち位置やまだ見ぬジェイズという男のこと。
どうやら俺を取り巻く状況は複雑になってきているらしい。
とはいっても、今の俺のやるべきことはただひとつ。
シヒロを取り返すこと!
「......これは確かにシヒロの字だ。でもだからなんだ。さっさとシヒロを返せ」
俺はもういちど剣を突き立てた。
アイは厳しい表情をしている。
おそらく彼女も様々に思考をめぐらしているのだろう。
キラースに対しても明らかに警戒を示している。
「魔剣使い。ひとつ提案がある」
アイが意外な一言を放った。
「提案?」
「お前の仲間...シヒロを返すことはできない。そもそもそれはボスが決めることだからあたしには決定権もないしな。だが彼女の身の安全は必ず保証する」
「信じられるのか?」
「この後、面会だけはさせてやろう」
「!」
「その代わり、いったん剣をおさめてもらえるか?ハッキリ言って、今あたしたちとお前たちがやり合うのは双方に利がない」
「......」
俺はなにも答えなかった。
ここでカレンが一歩前に出る。
「わかった。本意ではないがその提案を飲もう。その後はジェイズが戻ってくるまで大人しく待つ。お前たちも私たちに手を出さない。それでいいんだな?」
意外にもカレンがいち早く承諾の意を示した。
「さすがに話が早くて助かる。魔法剣士カレン。久しぶりだな」
「久しぶりだな、アイ」
彼女たちのやり取りを見て腑に落ちた。
カレンとアイは面識があったのか。
(ということはカレンはジェイズとも直接の面識があるのか?)
いずれにしてもカレンを連れてきて正解だったようだ。
「なるほどねぇ」
そんな中、キラースは邪知深い眼で彼女たちをジロリと見据えていた。
思わずカレンが怒りの声を上げた。
「なんでお前が今ここにいる?」
女が嫌疑の目でキラースを見た。
「おいおいアイちゃん。オレが手助けしてやろうってのにつれねえな」
「手助けだと?」
「いくらアイちゃんとヘッドフィールドのギャングでもよ。魔剣使いと魔法剣士さまを同時に相手にするのは賢くねえな」
「魔法剣士?勇者の妹のことか?」
「そこのローブの女だよ。まっ、オレもまさかカレンちゃんがここにいるとは思わなかったが」
キラースはカレンを指さしてニヤけた。
「キラース......!」
カレンは今にも剣を抜きそうだ。
「それとエレサァ!オメー、魔剣使いに乗り換えたんだなぁ!まったく尻軽なオンナだぜぇ!」
今度はエレサを指さしてキラースがいやらしく笑った。
「......!」
エレサは無言のまま俺の腕をぎゅっと握ってくる。
彼女は恐怖と嫌悪に震えていた。
「そこのエレサはオレがオモチャにしていたダークエルフだ。コイツの闇の魔力はかなりのモンだぜ。つまり、アイちゃんは魔剣使いと魔法剣士とダークエルフを同時に相手にすることになる」
キラースは実に含みのある言い方で説明した。
「何が言いたい」
ギャングの女...アイは苛立ちを見せはじめた。
「だからオレが助太刀してやるってハナシだよ」
「......目的はなんだ?」
「顔馴染みを助けたいだけだよ」
「つまらんウソをつくな。外道野郎が」
「相変わらずきっついなーアイちゃんは。わかったわかった。そんじゃ言うぜ?ぶっちゃけヘッドフィールドとジェイズは〔フリーダム〕をよく思っていない。違うか?」
「まわりくどいな。さっさと目的を言え」
「オレはなぁ。この前、勝手に勇者軍とやり合った。そこの魔法剣士さまとな。フリーダムの幹部連中はそれをよく思わねえだろう。だから幹部会議にも行ってねえ。
そこでだ。フリーダムに対抗するために、ヘッドフィールドと同盟を結ぼうって提案だ。もちろんオレの部下たちも全員含めてだ。差し当たってはここでさっそくオレ自身が手を貸す。どうだ?悪くねえハナシだろ?」
「......お前、わざわざうちのボスがいない所にそんな提案を......わかってやっているな?あたしに決められることではないということを。
さしずめここで手を貸して協力した既成事実を作った上で改めてボスに提案を迫るつもりだろ?うちのボスが義を通したがるのを見込んで」
「さすがよくわかっているじゃねえか」
「まあいい。決めるのはボスだ。手助けしたいなら勝手にしろ」
「そうこなくっちゃな」
キラースは狐のように狡猾に微笑んだ。
「……」
俺はヤツらのやり取りを見ながら思考した。
フリーダムのことやヘッドフィールドのこと。
キラースの立ち位置やまだ見ぬジェイズという男のこと。
どうやら俺を取り巻く状況は複雑になってきているらしい。
とはいっても、今の俺のやるべきことはただひとつ。
シヒロを取り返すこと!
「......これは確かにシヒロの字だ。でもだからなんだ。さっさとシヒロを返せ」
俺はもういちど剣を突き立てた。
アイは厳しい表情をしている。
おそらく彼女も様々に思考をめぐらしているのだろう。
キラースに対しても明らかに警戒を示している。
「魔剣使い。ひとつ提案がある」
アイが意外な一言を放った。
「提案?」
「お前の仲間...シヒロを返すことはできない。そもそもそれはボスが決めることだからあたしには決定権もないしな。だが彼女の身の安全は必ず保証する」
「信じられるのか?」
「この後、面会だけはさせてやろう」
「!」
「その代わり、いったん剣をおさめてもらえるか?ハッキリ言って、今あたしたちとお前たちがやり合うのは双方に利がない」
「......」
俺はなにも答えなかった。
ここでカレンが一歩前に出る。
「わかった。本意ではないがその提案を飲もう。その後はジェイズが戻ってくるまで大人しく待つ。お前たちも私たちに手を出さない。それでいいんだな?」
意外にもカレンがいち早く承諾の意を示した。
「さすがに話が早くて助かる。魔法剣士カレン。久しぶりだな」
「久しぶりだな、アイ」
彼女たちのやり取りを見て腑に落ちた。
カレンとアイは面識があったのか。
(ということはカレンはジェイズとも直接の面識があるのか?)
いずれにしてもカレンを連れてきて正解だったようだ。
「なるほどねぇ」
そんな中、キラースは邪知深い眼で彼女たちをジロリと見据えていた。
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