111 / 167
魔剣使いの闘い~サンダース編
ep111 決着。そして
しおりを挟む
「追い返した...でいいのか」
俺は空を眺めながらつぶやいた。
煙が晴れた頃にはヤツの姿はもう見えなかった。
とりあえず、今回の戦いは終わった......かに見えた。
「銀髪の魔剣使いクロー!お前を連行させてもらう!」
今度はカレンが俺に向かって剣尖を突き立ててきた。
「一応、俺、民間の協力者ってことになんないの?」
俺はなかば呆れたようにお堅い女隊長さんに言った。
「魔剣使い......〔戦場の厄災〕との言い伝えもある。数々の不幸を発生させたという史実も残っている。クロー、お前がそうだとは限らない。しかし、放っておくわけにもいかないのだ」
カレン隊長に合わせて、部下の兵士たち数名も彼女のもとへにわかに集まってきて俺を牽制しはじめた。
「やるしか...ないか」
こうなれば仕方がない。
魔剣使いの力をもってして切り抜けるしかない。
「ま、待ってくださ~い!!」
「クロー!」
緊迫の場面に、シヒロをおぶったエレサが俺の横へふわっと舞い降りてきた。
「シヒロとエレサ?」
俺は彼女たちを見てややびっくりした。
シヒロはエレサの背中から降りると、カレンに向かって相対する。
「カレンさん!クローさんは悪者ではありません!」
「シヒロ...か。すまない。お前には謝らなければならない」
「えっ?」
「お前が、銀髪の魔剣使いの仲間であるということは目星がついていたんだ。だから私はお前たちに声をかけた」
「そ、そんな!カレンさんはぼくたちを利用して??」
「そういうことだ。騙してしまいすまない」
カレンは素直に謝った。
誠実な態度だった。
「そ、それはもういいです!そんなことより、クローさんを捕まえるのはやめてください!クローさんは、カレンさんたちとは違うけど、街や人々を〔フリーダム〕から守っているんです!それは貴女だってわかっているはずです!」
シヒロは必死に訴えた。
俺はカレンを眺めながら、ふとお堅い女隊長には効果的でありそうな方法を思いついた。
「シヒロ。お前はさがっていろ」
俺はシヒロを押しのけて一歩前に出る。
「クローさん??ど、どうするつもりなんですか??」
不安そうに訊いてくるシヒロ。
俺は前に出るなり、カレンへ剣を向けた。
「カレン。ただ見逃せとは言わない。今ここで俺と一対一で立ち合え。俺が負ければ大人しく従う。だが、俺が勝ったら大人しく見逃してもらう。それでどうだ?」
俺がそう言い放つなり、やにわにまわりがザワつき始める。
「オイオイあいつ身の程をわかっているのか?」
「カレン隊長に勝てると思っているのか?」
「あの男に万に一つも勝ち目はないぞ?」
部下の兵士たちはカレンの勝利を信じて疑っていないようだ。
「魔剣使いクロー。剣士らしく剣で決着をつけると、そういうことか?」
微動だにせず答えるカレン。
「ああ。そういうことだ」
「わかった。お前からそのような事を言うとは意外だったが、私に異存はない。正々堂々相手をしてやろう」
カレンは承諾した。
......よし。
やはりこのお堅い女隊長は乗ってきた。
こういう形でなら遺恨を残さずにきっちりと決着がつけられる。
今後のことを考えてもベストだ。
「クローさん!」
シヒロがすがりつくように心配な顔をよせてきた。
「大丈夫だ。それにあういうお堅そうな隊長様には説得よりもこっちのほうが早い」
俺は安心させるように彼女の肩へポンと手を置いた。
俺は空を眺めながらつぶやいた。
煙が晴れた頃にはヤツの姿はもう見えなかった。
とりあえず、今回の戦いは終わった......かに見えた。
「銀髪の魔剣使いクロー!お前を連行させてもらう!」
今度はカレンが俺に向かって剣尖を突き立ててきた。
「一応、俺、民間の協力者ってことになんないの?」
俺はなかば呆れたようにお堅い女隊長さんに言った。
「魔剣使い......〔戦場の厄災〕との言い伝えもある。数々の不幸を発生させたという史実も残っている。クロー、お前がそうだとは限らない。しかし、放っておくわけにもいかないのだ」
カレン隊長に合わせて、部下の兵士たち数名も彼女のもとへにわかに集まってきて俺を牽制しはじめた。
「やるしか...ないか」
こうなれば仕方がない。
魔剣使いの力をもってして切り抜けるしかない。
「ま、待ってくださ~い!!」
「クロー!」
緊迫の場面に、シヒロをおぶったエレサが俺の横へふわっと舞い降りてきた。
「シヒロとエレサ?」
俺は彼女たちを見てややびっくりした。
シヒロはエレサの背中から降りると、カレンに向かって相対する。
「カレンさん!クローさんは悪者ではありません!」
「シヒロ...か。すまない。お前には謝らなければならない」
「えっ?」
「お前が、銀髪の魔剣使いの仲間であるということは目星がついていたんだ。だから私はお前たちに声をかけた」
「そ、そんな!カレンさんはぼくたちを利用して??」
「そういうことだ。騙してしまいすまない」
カレンは素直に謝った。
誠実な態度だった。
「そ、それはもういいです!そんなことより、クローさんを捕まえるのはやめてください!クローさんは、カレンさんたちとは違うけど、街や人々を〔フリーダム〕から守っているんです!それは貴女だってわかっているはずです!」
シヒロは必死に訴えた。
俺はカレンを眺めながら、ふとお堅い女隊長には効果的でありそうな方法を思いついた。
「シヒロ。お前はさがっていろ」
俺はシヒロを押しのけて一歩前に出る。
「クローさん??ど、どうするつもりなんですか??」
不安そうに訊いてくるシヒロ。
俺は前に出るなり、カレンへ剣を向けた。
「カレン。ただ見逃せとは言わない。今ここで俺と一対一で立ち合え。俺が負ければ大人しく従う。だが、俺が勝ったら大人しく見逃してもらう。それでどうだ?」
俺がそう言い放つなり、やにわにまわりがザワつき始める。
「オイオイあいつ身の程をわかっているのか?」
「カレン隊長に勝てると思っているのか?」
「あの男に万に一つも勝ち目はないぞ?」
部下の兵士たちはカレンの勝利を信じて疑っていないようだ。
「魔剣使いクロー。剣士らしく剣で決着をつけると、そういうことか?」
微動だにせず答えるカレン。
「ああ。そういうことだ」
「わかった。お前からそのような事を言うとは意外だったが、私に異存はない。正々堂々相手をしてやろう」
カレンは承諾した。
......よし。
やはりこのお堅い女隊長は乗ってきた。
こういう形でなら遺恨を残さずにきっちりと決着がつけられる。
今後のことを考えてもベストだ。
「クローさん!」
シヒロがすがりつくように心配な顔をよせてきた。
「大丈夫だ。それにあういうお堅そうな隊長様には説得よりもこっちのほうが早い」
俺は安心させるように彼女の肩へポンと手を置いた。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。
飼猫タマ
ファンタジー
訳あって、冒険者をしている没落騎士の娘、アナ·アナシア。
ダンジョン探索中、フロアーボスの付き人悪魔Bに捕まり、恥辱を受けていた。
そんな折、そのダンジョンのフロアーボスである、残虐で鬼畜だと巷で噂の悪魔Aが復活してしまい、アナ·アナシアは死を覚悟する。
しかし、その悪魔は違う意味で悪魔らしくなかった。
自分の前世は人間だったと言い張り、自分は童貞で、SEXさせてくれたらアナ·アナシアを殺さないと言う。
アナ·アナシアは殺さない為に、童貞チェリーボーイの悪魔Aの筆下ろしをする契約をしたのだった!
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
勘当予定の伯爵家三男は、悪評を広めたい!
東雲まくら
ファンタジー
「学園生活で、子爵家以上の家柄の相手と婚約しなさい。もしくは、輝かしい結果を残し、魔剣士の名家クロスフォード家の名声を広めるか。そのいずれかが出来なければ、貴様の様な無能に、以後クロスフォード家の名を名乗らせる訳にはいかない。話は以上だ、アイン。」
王都の魔剣士学園への入学式前夜、父が俺に、重々しい口調でそう告げた。
「分かりました父上。クロスフォード家三男として認めて頂けるように励んで参ります。」
俺は、あたかも覚悟を決めたといった雰囲気を醸し出して、父の言葉への返答を返した。
・・・が。
(ヤッホォォォオッ!!!これってつまり、魔剣士学園での3年間で、婚約者が出来ない上、魔剣士として活躍も出来なければ勘当するぞって事だよなっ!!ラッキーッ!!勘当ばんざーい!!!下手に貴族の三男で居るよりも、自由で気ままな冒険者になった方が100億倍マシだバーカッ!!!)
アイン・クロスフォード、14歳。
彼は、父、ジルクニアス・クロスフォードから、勘当予定を告げられ、歓喜に満ち溢れていた。
「学園では、そこそこな悪評を広めて、勘当を確実なものにし、クロスフォード家の三男なんて辞めてやるっ!!フハハハハハッ!!!」
自室のバルコニーから月に向けて、明日からの意気込みを語り、高笑うのであった。
しかしながら、そう上手くはいかないのが世の常である。
物語が進むにつれ、明らかとなるアインの凄惨な過去。
目まぐるしく変化する周囲の状況。
そして時に、アイン独特の思考回路によって、斜め上な展開を繰り広げていくことに・・・ッ!?
これは、そんなアインの成長と奮闘を描いた、ダーク&コメディな物語です。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる