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魔剣使いの闘い~サンダース編

ep111 決着。そして

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「追い返した...でいいのか」

 俺は空を眺めながらつぶやいた。
 煙が晴れた頃にはヤツの姿はもう見えなかった。
 とりあえず、今回の戦いは終わった......かに見えた。

「銀髪の魔剣使いクロー!お前を連行させてもらう!」

 今度はカレンが俺に向かって剣尖を突き立ててきた。

「一応、俺、民間の協力者ってことになんないの?」

 俺はなかば呆れたようにお堅い女隊長さんに言った。

「魔剣使い......〔戦場の厄災〕との言い伝えもある。数々の不幸を発生させたという史実も残っている。クロー、お前がそうだとは限らない。しかし、放っておくわけにもいかないのだ」

 カレン隊長に合わせて、部下の兵士たち数名も彼女のもとへにわかに集まってきて俺を牽制しはじめた。

「やるしか...ないか」

 こうなれば仕方がない。
 魔剣使いの力をもってして切り抜けるしかない。

「ま、待ってくださ~い!!」
「クロー!」

 緊迫の場面に、シヒロをおぶったエレサが俺の横へふわっと舞い降りてきた。

「シヒロとエレサ?」

 俺は彼女たちを見てややびっくりした。
 シヒロはエレサの背中から降りると、カレンに向かって相対する。

「カレンさん!クローさんは悪者ではありません!」

「シヒロ...か。すまない。お前には謝らなければならない」

「えっ?」

「お前が、銀髪の魔剣使いの仲間であるということは目星がついていたんだ。だから私はお前たちに声をかけた」

「そ、そんな!カレンさんはぼくたちを利用して??」

「そういうことだ。騙してしまいすまない」

 カレンは素直に謝った。
 誠実な態度だった。

「そ、それはもういいです!そんなことより、クローさんを捕まえるのはやめてください!クローさんは、カレンさんたちとは違うけど、街や人々を〔フリーダム〕から守っているんです!それは貴女だってわかっているはずです!」

 シヒロは必死に訴えた。
 俺はカレンを眺めながら、ふとお堅い女隊長には効果的でありそうな方法を思いついた。
 
「シヒロ。お前はさがっていろ」

 俺はシヒロを押しのけて一歩前に出る。

「クローさん??ど、どうするつもりなんですか??」

 不安そうに訊いてくるシヒロ。
 俺は前に出るなり、カレンへ剣を向けた。

「カレン。ただ見逃せとは言わない。今ここで俺と一対一で立ち合え。俺が負ければ大人しく従う。だが、俺が勝ったら大人しく見逃してもらう。それでどうだ?」

 俺がそう言い放つなり、やにわにまわりがザワつき始める。

「オイオイあいつ身の程をわかっているのか?」
「カレン隊長に勝てると思っているのか?」
「あの男に万に一つも勝ち目はないぞ?」

 部下の兵士たちはカレンの勝利を信じて疑っていないようだ。
 
「魔剣使いクロー。剣士らしく剣で決着をつけると、そういうことか?」

 微動だにせず答えるカレン。

「ああ。そういうことだ」

「わかった。お前からそのような事を言うとは意外だったが、私に異存はない。正々堂々相手をしてやろう」

 カレンは承諾した。
 ......よし。
 やはりこのお堅い女隊長は乗ってきた。
 こういう形でなら遺恨を残さずにきっちりと決着がつけられる。
 今後のことを考えてもベストだ。

「クローさん!」

 シヒロがすがりつくように心配な顔をよせてきた。
 
「大丈夫だ。それにあういうお堅そうな隊長様には説得よりもこっちのほうが早い」

 俺は安心させるように彼女の肩へポンと手を置いた。
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