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魔剣使いの闘い~サンダース編

ep92 魔法剣(シヒロ視点)

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「カレン隊長!そんなどこの馬の骨ともわからない連中に隊長自ら頼みこむなんて!」
「そうですよ!」

 ここで二人の男性兵士が駆けつけて来ました。
 
「オイお前ら!これは国際平和維持軍の命令だ!」
「お前らは黙ってカレン隊長の言うとおりにすればいいんだ」

 兵士たちは高圧的な態度で言葉を投げつけてきました。
 これにはトレブルさんとブーストさんがカチンときます。

「ああ?なんだその言い方は?」
「そんなふうに言われる筋合いはねえぜ」

 ふたりは兵士たちとバチバチとメンチを切り合います。

 そんな時です。

 魔法剣士さまの登場でいったん警戒して様子をうかがっていた上空の魔物たちが、
「ギィエェェェェ!!」
 例のおぞましい咆哮をやかましく上げました。
 
 次の瞬間、一頭の魔物がこちらへ向かい獰猛どうもう鉤爪かぎづめを立てて凄まじい勢いでガァァァァッ!と降下してきました。

「隊長!」
「カレン隊長!」

「お前達は退がれ!私が対処する!」
 
 そう言い放って魔法剣士さまが一歩前に出て剣を構えました。
 
「ギィエェェェェ!」
「ハァァッ!」

 ガギィィィン!
 鉤爪と剣が交錯します。
 魔法剣士さまの体勢は何事もなかったかのようにまったくブレません。
 魔物は魔法剣士さまの剣で弾かれた格好となり再びぐーんと上昇していきます。

「お、おい、ブースト。お前が固有技能アビリティを使って弾くのにやっとだったのをあの女隊長は...」
「ああ。まるで問題にしちゃいねえ...」

 トレブルさんとブーストさんは冷や汗をにじませて言いました。
 その時です。

「......深淵なる万物万象の源泉よ。我がちからり、の者を燃やし尽くしたまへ。
〔アルカーナ・フランマ〕」

 魔法剣士さまが魔法を唱えました。
 直後、ぼくは目を丸くして驚きます。

「け、剣が!?」

 なんと、魔法剣士さまの手にある剣の刃にメラメラと炎が点ったのです!
 しかし驚いている暇もありません。
 またしても魔物は、
「ギィエェェェェ!」
 やかましく吠え立てながらぎゅーんと急降下してきます。

 人間などいとも簡単に殺生しうるであろう危険な鉤爪が頭上からガァァァッ!と魔法剣士に迫ります。
 魔法剣士さまの双眼がキラッと光ると、炎の剣がザァァンッ!と振り抜かれました。

固有技能アビリティ〔魔動炎閃〕」

 ゴオォォォォッ!と炎風が舞い上がると同時に魔物の脚がズバァァッと斬り払われると、そのまま魔物の躰が猛き炎に包まれます。

「ギャアァァァァァッ!!」

 それは威嚇の咆哮じゃない。
 断末魔の叫び!
 魔物は炎に焼かれながら宙で痛ましくのたうち回ったあげく、
「ギ、ギィィィ......」
 力尽きて地面にズゥーンと沈みました。

「一撃!?」
「す、スゲェ!」
「とんでもねえぞあの女隊長!」

 仰天するぼくたち三人へ向かい、魔法剣士さまの部下二人がドヤ顔を見せます。

「カレン隊長にかかればこんなもんだ」
「あんなもんまだ本気でもないぞ隊長は」

 魔法剣士さまは魔物が息絶えたのを確認すると、クルッとぼくらへ振り返ります。

「冒険者三人は私とともに来い!二人は私と別れて市民の保護にあたれ!」
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