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魔剣使いの闘い~サンダース編
ep86 女
しおりを挟む「!」
国際平和維持軍という難をクリアして若干油断していたのかもしれない。
俺は赤の他人の肉薄を許してしまったようだ。
といっても、ただの街の女なら問題はないのだが。
「おにーさん。わたしの店に寄っていかなぁい?今日は平和祭。とくべつサービスするよぉ?」
遊女の類だろうか。
こんな昼間っから?
いや、彼女達にしてみれば朝から酒飲んでご機嫌になっている祭りの市中は最高の商売場かもしれない。
「は、離れてください!!」
途端にシヒロが割って入ってきて俺と女を引き剥がした。
「えー?なにー?おにーさんのカノジョ?にしては幼すぎるけどぉ」
「それより君はなに?」
尋ねながら俺は、ここではじめて女をしっかり見た。
砂色の、少し燻んだ金髪。
小さい顔には、ややつり目がかった大きい目がふたつ。
ノースリーブのワンピース風の服から覗く褐色の肌。
背丈はシヒロよりも幾分高い程度だが、身体つきはなまめかしく艶っぽい大人の女のそれだった。
「わたしがなにかって?そんなの言われなくてもわかるでしょ?」
女は紫色の瞳を悪戯っぽく光らせて、美しい長髪をはらりと揺らせる。
この娘......控えめに言ってもかなり可愛い。
くわえて、どこか妖しげな魅力があり色っぽい。
剣を手にする前の俺ならイチコロかもしれない。
「俺は今、ツレと来ているんだが」
「じゃあさ...」
女は再びスッと俺に身を寄せると耳元でコソコソとささやく。
「〔フリーダム〕について教えてあげる」
「!」
俺は咄嗟に女の目を睨むと、女はあやしげに色っぽくニイッと笑った。
「そうか...わかった。シヒロ、トレブル、ブースト。俺は少しだけ席を外す」
彼らに言ってから俺は女に促されるままに歩きだした。
「ちょっ!クローさん!クローさん!もぉー!クローさんのばかぁ!!」
背中越しにシヒロの嘆きの叫びが聞こえたが、俺は女とともに雑踏の中へと消えた。
女は俺の腕を引っ張りながら蠱惑的な笑みを浮かべ、
「外じゃヒトが多いから。着いてから教える」
とだけ言って他にはなにも口にしない。
「......」
ハッキリ言って怪しさしかない。
だが、虎穴に入らずんば虎児を得ず。
あえてそこへ飛び込んでやろうと俺は考えた。
何かあっても今の俺には切り抜ける力がある。
「ここだよ。入って」
ある娼館の前まで来て女はピタッと足を止め、まさしく娼婦のようにそこへ俺を招き入れた。
「娼館...」
「だって、シたいでしょ?」
女は婀娜っぽく微笑んだ。
国際平和維持軍という難をクリアして若干油断していたのかもしれない。
俺は赤の他人の肉薄を許してしまったようだ。
といっても、ただの街の女なら問題はないのだが。
「おにーさん。わたしの店に寄っていかなぁい?今日は平和祭。とくべつサービスするよぉ?」
遊女の類だろうか。
こんな昼間っから?
いや、彼女達にしてみれば朝から酒飲んでご機嫌になっている祭りの市中は最高の商売場かもしれない。
「は、離れてください!!」
途端にシヒロが割って入ってきて俺と女を引き剥がした。
「えー?なにー?おにーさんのカノジョ?にしては幼すぎるけどぉ」
「それより君はなに?」
尋ねながら俺は、ここではじめて女をしっかり見た。
砂色の、少し燻んだ金髪。
小さい顔には、ややつり目がかった大きい目がふたつ。
ノースリーブのワンピース風の服から覗く褐色の肌。
背丈はシヒロよりも幾分高い程度だが、身体つきはなまめかしく艶っぽい大人の女のそれだった。
「わたしがなにかって?そんなの言われなくてもわかるでしょ?」
女は紫色の瞳を悪戯っぽく光らせて、美しい長髪をはらりと揺らせる。
この娘......控えめに言ってもかなり可愛い。
くわえて、どこか妖しげな魅力があり色っぽい。
剣を手にする前の俺ならイチコロかもしれない。
「俺は今、ツレと来ているんだが」
「じゃあさ...」
女は再びスッと俺に身を寄せると耳元でコソコソとささやく。
「〔フリーダム〕について教えてあげる」
「!」
俺は咄嗟に女の目を睨むと、女はあやしげに色っぽくニイッと笑った。
「そうか...わかった。シヒロ、トレブル、ブースト。俺は少しだけ席を外す」
彼らに言ってから俺は女に促されるままに歩きだした。
「ちょっ!クローさん!クローさん!もぉー!クローさんのばかぁ!!」
背中越しにシヒロの嘆きの叫びが聞こえたが、俺は女とともに雑踏の中へと消えた。
女は俺の腕を引っ張りながら蠱惑的な笑みを浮かべ、
「外じゃヒトが多いから。着いてから教える」
とだけ言って他にはなにも口にしない。
「......」
ハッキリ言って怪しさしかない。
だが、虎穴に入らずんば虎児を得ず。
あえてそこへ飛び込んでやろうと俺は考えた。
何かあっても今の俺には切り抜ける力がある。
「ここだよ。入って」
ある娼館の前まで来て女はピタッと足を止め、まさしく娼婦のようにそこへ俺を招き入れた。
「娼館...」
「だって、シたいでしょ?」
女は婀娜っぽく微笑んだ。
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