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魔剣使いの闘い~ロットン編
ep57 シヒロの魔法
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ふたりは場所を交代し、俺が椅子に座るとシヒロはベッドに腰掛けた。
それから俺は、シヒロに聞きたかった別の話題を切りだす。
「なあシヒロ。聞いてもいいか?」
「なんですか?」
「シヒロはどんな魔法が使えるんだ?それとも治癒魔法だけなのか?一応今後のために把握しておきたくてな」
「ぼく、治癒魔法以外も使えます。火魔法、氷魔法、水魔法、風魔法とかも使えます。ただ......黒魔法は苦手です」
「つまり攻撃魔法は使えるけど苦手ってことか。逆に白魔法は得意なのか?」
「黒魔法に比べれば、ですけど......す、すいません」
「なんで謝るんだ?」
「い、いえ」
俺は自信なさげに目を伏せるシヒロを見ながら〔謎の声〕に呼びかける。
『お前から見てシヒロはどうなんだ?』
『どうというと?』
『例えば、スゴイ魔力を秘めているとか、そういうのはわからないのか?』
『今までワタクシが個別具体的にそのような分析をして差し上げたことなどございましたか?』
『いやないけど』
『ではやりましょう』
『えっ、できんの?』
『この状態ではとても不完全ですが』
『?』
『なるほど。その娘は...』
『はやっ!そんなパッとできるんなら今までもやってくれよ!』
『ここ一ヶ月間はいわば修行期間。ですので可能な限りサポートは控えたのです』
『......まあ、昼間は手伝ってくれたしいいよ。で?」
『そのシヒロという娘、魔力は中々のものです』
『マジか』
『黒魔法が苦手というのも、おそらくは自身の性格の問題かと。ただ...』
『なんだ?』
『いえ、なんでもありません。いずれにしても彼女はまだ若い。今はまだ一介のロリ娘でも、育てれば優秀な情婦になるかと』
『言いかた!てゆーかそんなつもりはない!』
『冗談です。さあ、あまり我々だけで話していると彼女が可哀想です。ワタクシはいったん失礼します』
『ああ』
アイツ......話をはぐらかしたような?
まあいいか。もともとよくわからないヤツだし。
「クローさん?」
シヒロが不思議そうに声をかけてきた。
「ああシヒロ。悪い、ちょっと考えごとをしてて」
「そうですか。あの、クローさん。寝る前にお伝えしておきたいことが」
「なんだ?あらたまって」
「たいしたことじゃないんですけど......ぼく、小説を書いてまして」
「それは知ってるが?」
「寝る前によく執筆をするんです。今夜は控えようと思ってたんですが、なんだか頭が冴えちゃってて」
「やれば?」
「いいんですか?」
「ご自由に」
「あ、ありがとうございます」
やがて夜も更けると、シヒロはベッドにうつ伏せになって枕元のボンヤリとした灯りを頼りに筆を走らせていた。
俺は床に敷いた毛布の上に横になり、なんとなしに昔のことを思い出していた。
昔は俺も、夜どおし書いたなぁ......。
それから俺は、シヒロに聞きたかった別の話題を切りだす。
「なあシヒロ。聞いてもいいか?」
「なんですか?」
「シヒロはどんな魔法が使えるんだ?それとも治癒魔法だけなのか?一応今後のために把握しておきたくてな」
「ぼく、治癒魔法以外も使えます。火魔法、氷魔法、水魔法、風魔法とかも使えます。ただ......黒魔法は苦手です」
「つまり攻撃魔法は使えるけど苦手ってことか。逆に白魔法は得意なのか?」
「黒魔法に比べれば、ですけど......す、すいません」
「なんで謝るんだ?」
「い、いえ」
俺は自信なさげに目を伏せるシヒロを見ながら〔謎の声〕に呼びかける。
『お前から見てシヒロはどうなんだ?』
『どうというと?』
『例えば、スゴイ魔力を秘めているとか、そういうのはわからないのか?』
『今までワタクシが個別具体的にそのような分析をして差し上げたことなどございましたか?』
『いやないけど』
『ではやりましょう』
『えっ、できんの?』
『この状態ではとても不完全ですが』
『?』
『なるほど。その娘は...』
『はやっ!そんなパッとできるんなら今までもやってくれよ!』
『ここ一ヶ月間はいわば修行期間。ですので可能な限りサポートは控えたのです』
『......まあ、昼間は手伝ってくれたしいいよ。で?」
『そのシヒロという娘、魔力は中々のものです』
『マジか』
『黒魔法が苦手というのも、おそらくは自身の性格の問題かと。ただ...』
『なんだ?』
『いえ、なんでもありません。いずれにしても彼女はまだ若い。今はまだ一介のロリ娘でも、育てれば優秀な情婦になるかと』
『言いかた!てゆーかそんなつもりはない!』
『冗談です。さあ、あまり我々だけで話していると彼女が可哀想です。ワタクシはいったん失礼します』
『ああ』
アイツ......話をはぐらかしたような?
まあいいか。もともとよくわからないヤツだし。
「クローさん?」
シヒロが不思議そうに声をかけてきた。
「ああシヒロ。悪い、ちょっと考えごとをしてて」
「そうですか。あの、クローさん。寝る前にお伝えしておきたいことが」
「なんだ?あらたまって」
「たいしたことじゃないんですけど......ぼく、小説を書いてまして」
「それは知ってるが?」
「寝る前によく執筆をするんです。今夜は控えようと思ってたんですが、なんだか頭が冴えちゃってて」
「やれば?」
「いいんですか?」
「ご自由に」
「あ、ありがとうございます」
やがて夜も更けると、シヒロはベッドにうつ伏せになって枕元のボンヤリとした灯りを頼りに筆を走らせていた。
俺は床に敷いた毛布の上に横になり、なんとなしに昔のことを思い出していた。
昔は俺も、夜どおし書いたなぁ......。
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