57 / 167
魔剣使いの闘い~ロットン編
ep57 シヒロの魔法
しおりを挟む
ふたりは場所を交代し、俺が椅子に座るとシヒロはベッドに腰掛けた。
それから俺は、シヒロに聞きたかった別の話題を切りだす。
「なあシヒロ。聞いてもいいか?」
「なんですか?」
「シヒロはどんな魔法が使えるんだ?それとも治癒魔法だけなのか?一応今後のために把握しておきたくてな」
「ぼく、治癒魔法以外も使えます。火魔法、氷魔法、水魔法、風魔法とかも使えます。ただ......黒魔法は苦手です」
「つまり攻撃魔法は使えるけど苦手ってことか。逆に白魔法は得意なのか?」
「黒魔法に比べれば、ですけど......す、すいません」
「なんで謝るんだ?」
「い、いえ」
俺は自信なさげに目を伏せるシヒロを見ながら〔謎の声〕に呼びかける。
『お前から見てシヒロはどうなんだ?』
『どうというと?』
『例えば、スゴイ魔力を秘めているとか、そういうのはわからないのか?』
『今までワタクシが個別具体的にそのような分析をして差し上げたことなどございましたか?』
『いやないけど』
『ではやりましょう』
『えっ、できんの?』
『この状態ではとても不完全ですが』
『?』
『なるほど。その娘は...』
『はやっ!そんなパッとできるんなら今までもやってくれよ!』
『ここ一ヶ月間はいわば修行期間。ですので可能な限りサポートは控えたのです』
『......まあ、昼間は手伝ってくれたしいいよ。で?」
『そのシヒロという娘、魔力は中々のものです』
『マジか』
『黒魔法が苦手というのも、おそらくは自身の性格の問題かと。ただ...』
『なんだ?』
『いえ、なんでもありません。いずれにしても彼女はまだ若い。今はまだ一介のロリ娘でも、育てれば優秀な情婦になるかと』
『言いかた!てゆーかそんなつもりはない!』
『冗談です。さあ、あまり我々だけで話していると彼女が可哀想です。ワタクシはいったん失礼します』
『ああ』
アイツ......話をはぐらかしたような?
まあいいか。もともとよくわからないヤツだし。
「クローさん?」
シヒロが不思議そうに声をかけてきた。
「ああシヒロ。悪い、ちょっと考えごとをしてて」
「そうですか。あの、クローさん。寝る前にお伝えしておきたいことが」
「なんだ?あらたまって」
「たいしたことじゃないんですけど......ぼく、小説を書いてまして」
「それは知ってるが?」
「寝る前によく執筆をするんです。今夜は控えようと思ってたんですが、なんだか頭が冴えちゃってて」
「やれば?」
「いいんですか?」
「ご自由に」
「あ、ありがとうございます」
やがて夜も更けると、シヒロはベッドにうつ伏せになって枕元のボンヤリとした灯りを頼りに筆を走らせていた。
俺は床に敷いた毛布の上に横になり、なんとなしに昔のことを思い出していた。
昔は俺も、夜どおし書いたなぁ......。
それから俺は、シヒロに聞きたかった別の話題を切りだす。
「なあシヒロ。聞いてもいいか?」
「なんですか?」
「シヒロはどんな魔法が使えるんだ?それとも治癒魔法だけなのか?一応今後のために把握しておきたくてな」
「ぼく、治癒魔法以外も使えます。火魔法、氷魔法、水魔法、風魔法とかも使えます。ただ......黒魔法は苦手です」
「つまり攻撃魔法は使えるけど苦手ってことか。逆に白魔法は得意なのか?」
「黒魔法に比べれば、ですけど......す、すいません」
「なんで謝るんだ?」
「い、いえ」
俺は自信なさげに目を伏せるシヒロを見ながら〔謎の声〕に呼びかける。
『お前から見てシヒロはどうなんだ?』
『どうというと?』
『例えば、スゴイ魔力を秘めているとか、そういうのはわからないのか?』
『今までワタクシが個別具体的にそのような分析をして差し上げたことなどございましたか?』
『いやないけど』
『ではやりましょう』
『えっ、できんの?』
『この状態ではとても不完全ですが』
『?』
『なるほど。その娘は...』
『はやっ!そんなパッとできるんなら今までもやってくれよ!』
『ここ一ヶ月間はいわば修行期間。ですので可能な限りサポートは控えたのです』
『......まあ、昼間は手伝ってくれたしいいよ。で?」
『そのシヒロという娘、魔力は中々のものです』
『マジか』
『黒魔法が苦手というのも、おそらくは自身の性格の問題かと。ただ...』
『なんだ?』
『いえ、なんでもありません。いずれにしても彼女はまだ若い。今はまだ一介のロリ娘でも、育てれば優秀な情婦になるかと』
『言いかた!てゆーかそんなつもりはない!』
『冗談です。さあ、あまり我々だけで話していると彼女が可哀想です。ワタクシはいったん失礼します』
『ああ』
アイツ......話をはぐらかしたような?
まあいいか。もともとよくわからないヤツだし。
「クローさん?」
シヒロが不思議そうに声をかけてきた。
「ああシヒロ。悪い、ちょっと考えごとをしてて」
「そうですか。あの、クローさん。寝る前にお伝えしておきたいことが」
「なんだ?あらたまって」
「たいしたことじゃないんですけど......ぼく、小説を書いてまして」
「それは知ってるが?」
「寝る前によく執筆をするんです。今夜は控えようと思ってたんですが、なんだか頭が冴えちゃってて」
「やれば?」
「いいんですか?」
「ご自由に」
「あ、ありがとうございます」
やがて夜も更けると、シヒロはベッドにうつ伏せになって枕元のボンヤリとした灯りを頼りに筆を走らせていた。
俺は床に敷いた毛布の上に横になり、なんとなしに昔のことを思い出していた。
昔は俺も、夜どおし書いたなぁ......。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
八十神天従は魔法学園の異端児~神社の息子は異世界に行ったら特待生で特異だった
根上真気
ファンタジー
高校生活初日。神社の息子の八十神は異世界に転移してしまい危機的状況に陥るが、神使の白兎と凄腕美人魔術師に救われ、あれよあれよという間にリュケイオン魔法学園へ入学することに。期待に胸を膨らますも、彼を待ち受ける「特異クラス」は厄介な問題児だらけだった...!?日本の神様の力を魔法として行使する主人公、八十神。彼はその異質な能力で様々な苦難を乗り越えながら、新たに出会う仲間とともに成長していく。学園×魔法の青春バトルファンタジーここに開幕!
ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果
安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。
そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。
煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。
学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。
ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。
ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は……
基本的には、ほのぼのです。
設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
異世界営業〜大事なのは剣でも魔法でもない。営業力だ!
根上真気
ファンタジー
これは、元やり手営業部長の青年が、その営業力を駆使し、転移した異世界で起業して成功する物語。しかしその道のりは困難の連続だった!彼の仲間は落ちぶれた魔導博士と魔力量だけが取り柄のD級魔導師の娘。彼らと共に、一体どうやって事業を成功させるのか?彼らの敵とは何なのか?今ここに、異世界に降り立った日本人青年の、世紀の実業ファンタジーが幕を開ける!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する
カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、
23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。
急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。
完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。
そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。
最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。
すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。
どうやら本当にレベルアップしている模様。
「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」
最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。
他サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる