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ep80 再スタート

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 ネーコが帰ってきた。

 昨夜はドタバタして落ち着いて考えられなかったけど......ネーコが帰ってきたんだ。

「はっ、はっ、はっ」

 早朝のランニングをしながら噛みしめるように思った。

(ちゃんと戻ってきてくれた......)

 久しぶりに再開したランニングのわりには足が軽い。
 気分の問題なのかな?

「はっ、はっ、はっ」

 じきにトラエとウサも戻ってくるのだろうか。
 そうなれば家もかなりにぎわうよな。
 そんなことを思いながら家に戻ると、さっそくネーコが笑顔で迎えてくれた。

「フミヒロ様。おつかれさまです。タオルとドリンクです」

 俺はそのままネーコを見つめた。
 あらためて......カワイイと思った。
 たぶん最初に会った時よりも、ずっと......。

「フミヒロ様?どうかされましたか?」

「あっ!な、なんでもないよ!タオルと飲み物ありがとう!」

「フフフ」

「な、なんだよ?」

「相変わらず可愛いなと思って」

「や、やめろよ!俺は男だし」

「そういうところも可愛いです。とっても」

「だからやめろって!」

 そんなやり取りを玄関でしていると、なにやら着物姿のどんよりしたものが迫ってきた。

「フミヒロさん」

「あっ、イヌヨ」

「朝からずいぶんと楽しそうですね」

「べ、別にそんなことないけど」

「イヌヨと話すときはそんな顔見せてくれたことないもの」

「そ、そうだっけ?」

「やっぱり...イヌヨのことは嫌いですか?」

「なんでまたそうなる!」

「少なくとも、メンドクサイとは思っているでしょ?」

「そ、それは......」

「やっぱり!イヌヨはメンドクサイ女なんだわ!できることなら死んで欲しいと!」

「だからなんでそうなる!」

「誰かイヌヨへ大陸間弾道弾ミサイルを発射してぇ!!」

「国ごと危ないわ!!」

 とツッコミつつも俺が手をこまねいていると......。

「イヌヨ!落ち着きなさい!」

 ネーコが鋭い声を上げた。

「ネーコお姉さん?」

「イヌヨ。貴女の気持ちはわかります。でも、これは仕方のないことなのです。フミヒロ様にとっての一番はネーコなのですから。つまりネーコはフミヒロ様の正室せいしつ。これは決して揺るがない事実なのです」

 いつからそうなったんだ。
 さも当たり前のことのように言っているけど。

「そこでイヌヨ。貴女に良い提案があります」

「ネーコお姉さん?」

「貴女はフミヒロ様の側室そくしつになりなさい。すなわちめかけです」

「......なるほど!」

「ということでフミヒロ様。これからは私とイヌヨの三人で同衾どうきんいたしましょう」

「勝手に話を進めるなー!!」

 思わず俺は叫んだ。

「フミヒロさん。今日からは愛人としてイヌヨのことを宜しくお願いします」

 イヌヨはその場ではんなりと三つ指をついた。

「自分でなにを言ってるかわかってる!?」

「あっ、フミヒロ様。今からお風呂で汗をお流しして差し上げましょうか?ネーコとイヌヨのふたりで」

「もうやめてくれぇー!!」

 俺は脱兎だっとの如くダーッと階段を駆けあがり自分の部屋へ逃げこんでいった。
 中学二年生男子に......これ以上の刺激は危険だ!!
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