美少女アンドロイドが色じかけをしてくるので困っています~思春期のセイなる苦悩は終わらない~

根上真気

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ep68 就寝

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 一時間後......。


 風呂から上がった俺はベッドでゴロゴロしていた。
 そのままなんとなくパソコンでおもしろそうな動画をあさっていると、
「コンコン。おにーちゃーん」
 ノック音とウサの声がドアの外より届いた。

「また〔シスタープログラム〕かな」
 そう思うと一瞬ドキッとしたが、あまり深くは考えずに出迎えにいく。

「あっ、おにーちゃん」

 ドアを開けると、小学生らしいパジャマ姿のウサが立っていた。
 なんの変哲もない妹...と思いきや、問題がひとつある。

「え??枕??」

 彼女は枕を抱えていたのだ。

「おにーちゃんと一緒に寝よーとおもって。えへへ」

「ま、まさか俺のベッドで!?」

「そーだよ?」

「なんでさも当たり前のことように疑問系なんだよ...」

「じゃあ入るね」

 ウサはためらう俺の気も知らずに部屋へずんずん入ってきた。

「わぁ~おにーちゃんのおふとん~」

 さっそくウサは無邪気に俺のベッドへ飛びこんだ。

「ん?おにーちゃんなに観てたのぉ?」

 ウサは俺のノートパソコンを覗きこんだ。

「ああ~まあテキトーに動画を」

「えろどーが??」

「エロ動画ではない!」

「ちがうの??」

「違います!」

「じゃあトーサツどうが?」

「だからそういうのじゃない!」

「じゃあヘビさんがネズミさんを丸呑みするどうが?」

「いったい俺がどんな趣味してると思ってるんだ!?」


 そんなやり取りを繰り返しながら......。


「そろそろおやすみの時間だね。おにーちゃん」

「ああ、そうだな」

 時計を見るとすでに0時前だ。
 そろそろ寝ないと。
 いくら不登校でも日がまわる前には寝なさいと母さんもウルサイし。
 俺は母さんの帰りが0時を超えるときでも、今日みたいに帰ってこない時でも、それをきっちり守っている。

「じゃあおにーちゃん、ねよぉ」

 同じベッドの上、ウサが俺のすぐ隣にこてんと横になった。
 そんな妹を見ながら気恥ずかしい気持ちが込み上げてくる。
 と同時に、ふとあることを思い出す。

(そういえば昔、お姉ちゃんか妹が欲しいと思ったことあったなぁ......)

 ということは、今はある意味、願望が叶ったとも言えるのだろうか。
 妹だけじゃない。トラエはお姉ちゃんだ。

(あれ?でもそうなると......ネーコはなんなんだ?)

 うーんと考える。
 とその時。
 コンコンとノック音が鳴った。

「フミヒロ。開けてくれ」

 トラエの声だ。
 俺はすぐにベッドを降りて対応する。

「どうしたのトラエ......てなんで布団持ってるの??」

 なんとトラエは布団と枕を抱えたスウェット姿で立っていた。

「今夜はワタシもこちらの部屋で過ごす」

「トラエも?なんで?あっ...」

「そうだ。ワタシが近くにいればウサに万が一のことがあってもすぐに対処できるからな」

 ここで俺は急に「?」となる。
 それはとても今さらなこと.....。

「ねえトラエ」

「どうした?」

「アンドロイドって寝るの??」

「ワタシ達は人間の生活に合わせるようにプログラムされている。とはいえ寝るといっても、パソコンやスマホのスリープ状態のようなものだがな」

「ウサが眠っていたアレだね」

「そうだ。だからワタシはいつでもすぐに対応できる。フミヒロは安心して寝ろ」

 トラエは実に頼もしく微笑んだ。
 一瞬、俺はトラエのことを「アネキ!」と呼びそうになった。
 
「あれ?トラエおねーちゃんもこっちでねるの?」

 ウサがひょこっと体を起こして言ってきた。

「そうだ」 

 トラエはキリッと返した。

「ということはさんぴー?」

 ウサはしれっと言い放った。

「おいー!!」

 俺とトラエはズッこけて叫んだ。

「と、とにかく!もう寝よう!じゃあトラエは床に布団を敷くんだよね!そうしたらさっさと消灯するから!」

 俺はさっさと寝支度を促した。
 ウサの余計な一言に乱されないように。

「じゃあおにーちゃん、ねよ~」

 ウサは嬉しそうに俺の腕を引っぱった。
 俺はトラエと目配せしてからベッドに入った。

「おにーちゃ~ん。えへへ」

 ウサは俺の腕を抱きしめて甘えてきた。
 俺は仰向けのまま無心さを努める。

「ではワタシが電気を消そう」

 トラエがそう言うと、部屋が真っ暗になった。
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