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ep55 アンドロイドも元気がなくなるのか問題
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「トラエ。ちょっといいかな」
「どうした?フミヒロ」
午後。
ネーコが買い物に出て不在なのを見こして、部屋へトラエを訪ねた。
「その、トラエにちょっと聞きたいことがあって」
「なんだ?言ってみろ」
俺は落ちつかなそうに床に座ると、正面に座るトラエを遠慮がちに見る。
「ええっと、ネーコのことなんだけど......」
「ネーコのことをワタシに?未来でのことはほとんど話せないぞ?」
「そ、そういうんじゃなくて!」
「ではなんだ?」
「ネーコが元気なくなったりすることって、あったりするのかな?」
「ネーコの元気がなくなる?今いち質問の意味がわからないが......ワタシたちアンドロイドも人間と同じように悩んだり落ち込んだりすることもあるのか?という意味だろうか?」
「そうそう!それ!」
トラエは理解が早くて助かる。
でもそれは彼女たちにもある程度人間の心がわかるということなのかな?
「結論から先に言えば......ある。といっても、ワタシたちアンドロイドにもそれぞれ性格というものがあってな。個体差があるんだ。それは性能の差というより特徴の差だ。人間で言うところの『人それぞれ』といったところだろうか」
「そ、そういえばネーコも『アンドロイドにも感情がある』と言ってた......」
「ネーコは今までフミヒロにその辺のことについて詳しく説明していなかったのではないか?」
「そ、そうかな。たぶん...」
「いや、ネーコにはネーコの考えがあってそうしていたんだろう。それについてワタシがとやかく言うこところではない」
「うん」
「それで話を戻すと......今、ネーコは元気がないのか?ということを知りたいと、そういうことだろうか」
「そ、そう!」
「フミヒロが直接ネーコに聞けばいいのではないか?お前たちは仲も良いだろう?」
「一応、軽くは聞いてみたんだけど、わからなくて......(ネーコと俺、そんなに仲良いのかな......)」
「ワタシがネーコに詳しく問いただしてやろうか?」
「い、いや!それは...いいよ!」
あれ?
俺、なんで断っているんだろう?
「そうか?ならワタシはなにもしないが」
「う、うん!とにかく、ありがとう!トラエ!」
「ああ」
俺はそそくさと部屋を後にした。
自分の部屋に戻るなり、俺は椅子に座り考えこむ。
「ということは......やっぱりネーコは元気がない?」
でも原因は?
まったく思い当たるふしがない。
まさか人間同様体調が悪くなって...なんてことはないだろうし。
「てゆーか俺......ネーコのこと考えすぎじゃね?」
なんでアイツのこと、そんなに気にしているんだ。
そりゃあまだ短い間とはいえ、一緒に暮らしているし家族のような存在になっているけど......。
「ああダメだ!もう考えるな!」
ネーコが元気なさそうなのはきっと俺の気のせいだ。
ネーコもそう言っていたんだし。
だからもう気にしない!
勉強しろ勉強!
「よし。数学やろう数学...」
俺は余計な想念を振り払うように勉強を開始した。
「トラエ。ちょっといいかな」
「どうした?フミヒロ」
午後。
ネーコが買い物に出て不在なのを見こして、部屋へトラエを訪ねた。
「その、トラエにちょっと聞きたいことがあって」
「なんだ?言ってみろ」
俺は落ちつかなそうに床に座ると、正面に座るトラエを遠慮がちに見る。
「ええっと、ネーコのことなんだけど......」
「ネーコのことをワタシに?未来でのことはほとんど話せないぞ?」
「そ、そういうんじゃなくて!」
「ではなんだ?」
「ネーコが元気なくなったりすることって、あったりするのかな?」
「ネーコの元気がなくなる?今いち質問の意味がわからないが......ワタシたちアンドロイドも人間と同じように悩んだり落ち込んだりすることもあるのか?という意味だろうか?」
「そうそう!それ!」
トラエは理解が早くて助かる。
でもそれは彼女たちにもある程度人間の心がわかるということなのかな?
「結論から先に言えば......ある。といっても、ワタシたちアンドロイドにもそれぞれ性格というものがあってな。個体差があるんだ。それは性能の差というより特徴の差だ。人間で言うところの『人それぞれ』といったところだろうか」
「そ、そういえばネーコも『アンドロイドにも感情がある』と言ってた......」
「ネーコは今までフミヒロにその辺のことについて詳しく説明していなかったのではないか?」
「そ、そうかな。たぶん...」
「いや、ネーコにはネーコの考えがあってそうしていたんだろう。それについてワタシがとやかく言うこところではない」
「うん」
「それで話を戻すと......今、ネーコは元気がないのか?ということを知りたいと、そういうことだろうか」
「そ、そう!」
「フミヒロが直接ネーコに聞けばいいのではないか?お前たちは仲も良いだろう?」
「一応、軽くは聞いてみたんだけど、わからなくて......(ネーコと俺、そんなに仲良いのかな......)」
「ワタシがネーコに詳しく問いただしてやろうか?」
「い、いや!それは...いいよ!」
あれ?
俺、なんで断っているんだろう?
「そうか?ならワタシはなにもしないが」
「う、うん!とにかく、ありがとう!トラエ!」
「ああ」
俺はそそくさと部屋を後にした。
自分の部屋に戻るなり、俺は椅子に座り考えこむ。
「ということは......やっぱりネーコは元気がない?」
でも原因は?
まったく思い当たるふしがない。
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「てゆーか俺......ネーコのこと考えすぎじゃね?」
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そりゃあまだ短い間とはいえ、一緒に暮らしているし家族のような存在になっているけど......。
「ああダメだ!もう考えるな!」
ネーコが元気なさそうなのはきっと俺の気のせいだ。
ネーコもそう言っていたんだし。
だからもう気にしない!
勉強しろ勉強!
「よし。数学やろう数学...」
俺は余計な想念を振り払うように勉強を開始した。
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