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ep40 田網斗羅恵④
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「ううう......」
「なんだ、もう終わりか?さっきの勢いはどうした」
トラエが冷たい目で見下ろしてくる。
「うぅぅ......」
ヤバい。
情けなくて悔しくて泣きそうだ。
悔しいけど、トラエの言うとおりだ。
俺は自分の弱さの殻に閉じこもっているだけで、何にもできていないんだ。
最近はネーコのおかげで少しは前に進めているのかと思っていたけど、ただの勘違いだ。
俺はいつまで経ってもダメなままなんだ......。
「トラエ!!」
突然、誰かの声が届いたと思ったら、トラエへ向かってガンッ!と勢いよく跳び蹴りが放たれる。
「!」
トラエは咄嗟にガードしたものの十メートルほどズザザザーッと退がらされた。
攻撃者はスタッと着地する。
「ね、ネーコ!」
「フミヒロ様!」
現れたのはネーコ。
彼女はすぐさま駆け寄ってくる。
「だ、大丈夫ですか?トラエにやられたんですね?そうですね?」
「ご、ごめん...」
「はっ?なぜフミヒロ様が謝るので??」
「ネーコが脚を折られたって聞いて。それでやり返そうとしたけど何にもできなかった......ハハハ、やっぱ俺って情けないよな......」
「そんなことありません!フミヒロ様は、私のために怒ってくれたのですか?」
「いや、まあ、その...」
「ネーコはアンドロイドですよ?重大な損傷を被らない限りは元に戻れるのですよ?」
「だ、だからって、アイツがネーコを傷つけていい理由にはならないじゃん...」
「フミヒロ様。貴方はやはり、お優しいのですね」
「ど、どうだろ」
「フミヒロ様。今少しだけ、ここでお待ちいただけますか?」
「えっ?う、うん」
「トラエはああ見えて、完璧な加減で攻撃をしています。なのでフミヒロ様も決して怪我は負っていないはずです。腐っても国家の未来とフミヒロ様のためのアンドロイドなんです」
「い、言われてみれば、確かに」
「ですが、フミヒロ様を傷つけたことは確かです。私はそれが許せません。なので今からトラエには制裁を加えます。アンドロイド同士の戦闘は原則禁じられていますが致し方ありません」
「ネーコ??」
「どうしたのですか?」
「ネーコは、怒っているの?」
「怒る?私が?ネーコはアンドロイドですよ?」
「で、でも」
「私は......その、なんでしょう。わかりません。ただ、フミヒロ様がネーコのために怒っていただいたと聞いて、その......嬉しく思いました。そしてトラエがフミヒロ様を理不尽に傷つけたこと......許せないんです」
「ネーコにも...感情があるのか?」
「......人類に害を及ぼさない範囲での感情はプログラムされております。もちろん〔愛〕も。そしてそれはトラエも同様です」
「そ、そうなんだ」
「はい。では...」
「あっ!ネーコ待って!」
「何ですか?」
「脚は...もう大丈夫なの?」
「私には自己修復機能があります」
「う、うん(大丈夫ってことだよな?)」
「それよりも......私のことを心配してくださっているのですか?」
「そ、そりゃあ、だって!」
「過去でも未来でも......やはりフミヒロ様はフミヒロ様なのですね」
「えっ?」
「なんでもありません」
ネーコはそう言うとニコッと微笑んでから立ち上がり、トラエをギロッと睨みつける。
「トラエ!貴女と私は手段は違えど目的は同じ。なので干渉するつもりはありませんでした。しかし、貴方のやり方は度が過ぎています!フミヒロ様を傷つけたことを詫びなさい!そして二度としないと誓いなさい!」
トラエは仁王立ちでビシッとネーコを指さす。
「お前は甘すぎるんだ!時間は有限だ!ましてや井藤フミヒロは我が国の未来を左右する重要な人物。ゆっくりやっている暇などないんだ!」
「フミヒロ様はまだ中学生です!ゆっくりと一歩ずつ進んでいけば良いのです!それに......」
「それに?」
「トラエ!貴方が思っているほどフミヒロ様はやわな人間ではありません!」
「は?どこをどう見て言ってるんだ?」
「貴女にはわからないでしょう。しかし、ネーコにはわかります!」
「くだらないこと......言ってるんじゃない!!」
「なんだ、もう終わりか?さっきの勢いはどうした」
トラエが冷たい目で見下ろしてくる。
「うぅぅ......」
ヤバい。
情けなくて悔しくて泣きそうだ。
悔しいけど、トラエの言うとおりだ。
俺は自分の弱さの殻に閉じこもっているだけで、何にもできていないんだ。
最近はネーコのおかげで少しは前に進めているのかと思っていたけど、ただの勘違いだ。
俺はいつまで経ってもダメなままなんだ......。
「トラエ!!」
突然、誰かの声が届いたと思ったら、トラエへ向かってガンッ!と勢いよく跳び蹴りが放たれる。
「!」
トラエは咄嗟にガードしたものの十メートルほどズザザザーッと退がらされた。
攻撃者はスタッと着地する。
「ね、ネーコ!」
「フミヒロ様!」
現れたのはネーコ。
彼女はすぐさま駆け寄ってくる。
「だ、大丈夫ですか?トラエにやられたんですね?そうですね?」
「ご、ごめん...」
「はっ?なぜフミヒロ様が謝るので??」
「ネーコが脚を折られたって聞いて。それでやり返そうとしたけど何にもできなかった......ハハハ、やっぱ俺って情けないよな......」
「そんなことありません!フミヒロ様は、私のために怒ってくれたのですか?」
「いや、まあ、その...」
「ネーコはアンドロイドですよ?重大な損傷を被らない限りは元に戻れるのですよ?」
「だ、だからって、アイツがネーコを傷つけていい理由にはならないじゃん...」
「フミヒロ様。貴方はやはり、お優しいのですね」
「ど、どうだろ」
「フミヒロ様。今少しだけ、ここでお待ちいただけますか?」
「えっ?う、うん」
「トラエはああ見えて、完璧な加減で攻撃をしています。なのでフミヒロ様も決して怪我は負っていないはずです。腐っても国家の未来とフミヒロ様のためのアンドロイドなんです」
「い、言われてみれば、確かに」
「ですが、フミヒロ様を傷つけたことは確かです。私はそれが許せません。なので今からトラエには制裁を加えます。アンドロイド同士の戦闘は原則禁じられていますが致し方ありません」
「ネーコ??」
「どうしたのですか?」
「ネーコは、怒っているの?」
「怒る?私が?ネーコはアンドロイドですよ?」
「で、でも」
「私は......その、なんでしょう。わかりません。ただ、フミヒロ様がネーコのために怒っていただいたと聞いて、その......嬉しく思いました。そしてトラエがフミヒロ様を理不尽に傷つけたこと......許せないんです」
「ネーコにも...感情があるのか?」
「......人類に害を及ぼさない範囲での感情はプログラムされております。もちろん〔愛〕も。そしてそれはトラエも同様です」
「そ、そうなんだ」
「はい。では...」
「あっ!ネーコ待って!」
「何ですか?」
「脚は...もう大丈夫なの?」
「私には自己修復機能があります」
「う、うん(大丈夫ってことだよな?)」
「それよりも......私のことを心配してくださっているのですか?」
「そ、そりゃあ、だって!」
「過去でも未来でも......やはりフミヒロ様はフミヒロ様なのですね」
「えっ?」
「なんでもありません」
ネーコはそう言うとニコッと微笑んでから立ち上がり、トラエをギロッと睨みつける。
「トラエ!貴女と私は手段は違えど目的は同じ。なので干渉するつもりはありませんでした。しかし、貴方のやり方は度が過ぎています!フミヒロ様を傷つけたことを詫びなさい!そして二度としないと誓いなさい!」
トラエは仁王立ちでビシッとネーコを指さす。
「お前は甘すぎるんだ!時間は有限だ!ましてや井藤フミヒロは我が国の未来を左右する重要な人物。ゆっくりやっている暇などないんだ!」
「フミヒロ様はまだ中学生です!ゆっくりと一歩ずつ進んでいけば良いのです!それに......」
「それに?」
「トラエ!貴方が思っているほどフミヒロ様はやわな人間ではありません!」
「は?どこをどう見て言ってるんだ?」
「貴女にはわからないでしょう。しかし、ネーコにはわかります!」
「くだらないこと......言ってるんじゃない!!」
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