上 下
18 / 87

ep18 レオタードファイター

しおりを挟む
 *

 翌日。

 俺は勉強机に向かいながら、そろそろマズイんじゃないかと思い始めていた。
 昨日は誤解を解けたからいいものの、今後は誤解では済まなくなることをシデかしてしまうかもしれない。
 つまり......マジでネーコに手を出してしまうんじゃないかってこと!

「セクシープログラム、おそるべし......」

 俺が性欲に負けてネーコに手を出した時、セクシープログラムの失敗を意味する。
 その瞬間から、俺が美少女アンドロイドに淫らな行為をする様を録画保存されてしまう。
 しかもリアルタイムでクラウド保存されてしまうのだ!

「ん?てゆーか、そうなったらそうなったで......そのデータはどうするんだ?」

 まさか、国家機関で検証でもされるのか?
 てゆーかなんの検証?

 腰の使い方がいまいちだ......とか?
 なんでやたらとその態勢ばっかなんだ......とか?
 所要時間が短すぎる......とか?

「アホかぁ!そんなん恥ずかしすぎて死ぬわぁ!ぬおぉぉぉぉ!!」

 思わず俺は首に青筋を立ててけたたましく叫んだ。
 マンションなら苦情が来るレベル。
 突如として部屋でひとり叫ぶ不登校児。
 客観的に見たらかなりヤバイかもしれない。

「フミヒロ様?どうされましたか?」

 ドアの外からネーコが呼びかけてきた。

「ね、ネーコ??ななななんでもないよ!」

 誰がどうみても何でもなくはない応えっぷり。

「フミヒロ様?入ってもよろしいですか?お飲み物をお持ちしましたので」

「そ、そうなんだ!いいよ!」

「間違えました」

「はい?」

「イれてもらってもいいですか?」

「いいから入れ!」

「はーい」

 ドアがガチャッと開く。
 俺は気合いを入れ直すように自らの顔をパンパンと叩いてからクルッと振り向いた。

「ちょっ!ネーコ!」
「あら?どうなさいましたか?」

「いやその恰好!」
「ダメですか?」

 ネーコはスクール水着姿でおぼんを持って立っていた。

「こ、これは......伝説のスク水カフェ?じゃないわ!なんで水着着てんだよ!」

「お好きかなと思いまして」

「またセクシープログラムかよ!」

「任務ですから。あと、フミヒロ様」

「?」

 ネーコは突然クルリと後ろを向いた。
 すると......

「ちょっ!そんなスク水あるかぁ!」

 ボンレスハムに紐がグッと食い込むように、魅惑の割れ目にグイッと水着が食い込んでいた。

「おかしいですか?」

「どう考えてもおかしいだろ!」

「でも有名な格闘ゲームにこのようなイギリス人女性の方がいらっしゃったかと。えーとタイトルは...レオタードファイターでしたっけ?」

「違うわ!あとあれはスク水じゃない!あのひと軍人だから!」

 うがぁぁぁと頭を抱えながらも、俺はネーコとともに床に腰を下ろした。
 座っている分には、ぷりんとした桃の果実は鳴りを潜めるから。
 俺はいったん飲み物に口をつけてから、コップを机にコトッと置いて口をひらく。

「ネーコ。聞きたいことがあるんだけど」

「なんでしょう?改まって」

「〔セクシープログラム〕で、俺がネーコに手を出してしまうと録画されてしまうって言ってたよな?」

「ええ、そうですが?」

「その動画データって、どうなるの?」

「なるほど!そういうことでしたか!それならご心配には及びません」

「はい?」

「国家安全保障会議にて厳密に審議されます」

「し、審議??」

「国家安全保障会議設置法第二条
 十三 その他国防に関する重要事項
 として扱われ、関係閣僚とともに審議します」

「関係閣僚?」

「まだ中学二年生のフミヒロ様にはイメージが湧かないかと思いますが、何せ天下国家のためです。関係閣僚とともにしっかりと審議します。その後は国家の最高機密情報として厳重に保管されますのでどうぞご安心ください」

「ほ、保管、されちゃうんですか?」

「はい。必要に応じて再審議し、場合によっては専門家を交えての再検証も行いますので」

「あ、あ、あ、あああ......あぁぁぁぁ!!」

 俺は名状しがたい感情に襲われ、筆舌しがたい声とも言えぬ声を上げて叫んだ。
 そして思った。

(我が国は大丈夫なんですか!!??)

 激しくそう思った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

雌犬、女子高生になる

フルーツパフェ
大衆娯楽
最近は犬が人間になるアニメが流行りの様子。 流行に乗って元は犬だった女子高生美少女達の日常を描く

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

処理中です...