14 / 87
ep14 お風呂
しおりを挟む
*
「フミヒロ様。お風呂が沸きましたよ。どうぞお先にお入りください」
ネーコはそれだけ伝えに来て、トントントンと下に降りていった。
気がつけば夜の十時。
俺は夕食時以外は部屋に篭りきっていた。
不登校の身とはいえここまで自室に籠るのは久しぶりだ。
普段の夜は、
「ちゃんとしっかり顔ぐらい見せなさい!」
と母さんが口うるさいので、しばらくは一階のリビングで過ごすのが日課だった。
それがすっかり染みついていたので、母さんの帰りが遅い日や帰らない時でも、夜の一定時間は下で過ごしていた。
だが今日は違う。
理由は...美少女アンドロイドの存在!
つまり、自室に避難しているのだ。
いつ迫ってくるかわからない〔セクシープログラム〕の魔の手から逃れるために。
「だけど、裸エプロン以降は、特になにもないな......会話は相変わらずだけど、晩御飯もフツーに作ってくれて。
ネーコって、ひょっとしたら男子にとって理想的なお嫁さんなんじゃ......て何を言ってるんだ俺は!
ああ......風呂入ってこよう...」
己の思考にいささか困惑しつつ、俺はのそのそと部屋を後にしてバスルームへ向かった。
「今日は色々あったなぁ。不登校なのに......」
呟きながら風呂場へ入り、ハァーとため息をつく。
一連の洗浄を終えてから湯船に浸かると、俺は物思いにふけった。
「なんか疲れたかも、今日は......。ネーコのこともそうだけど、それ以前に......母さん以外の人とこんなに会話したのが久しぶり過ぎる!ヘタしたら小学校以来じゃないか?だから疲れたのかも。ああ、情けなすぎる......」
自分の社会性の欠如っぷりをあらためて自覚して今更ながらヘコむ。
「ネーコと関わっていけば、この先少しは変わっていくのかな......」
その時、
「フミヒロ様」
という声と同時に、風呂場の扉がガラッと開いた。
「ね、ネーコ!?」
目に飛び込んできたのは、バスタオル一枚で風呂場に入ってきた美少女アンドロイドの姿!
「一緒に入って、よろしいですか?」
「え、いや、でも」
完全に油断していた。
ありきたりといえばありきたりなシチュエーションだが、ネーコに限ってはないと勝手に思っていた。
だって、ネーコはアンドロイドだから!
「ダメ、ですか?」
「というより、ネーコは大丈夫なのか?機械が風呂入るって、良くないんじゃ......」
「そんなこと言ったら潜水艦はどうなるんですか?」
「いやおまえ潜水艦じゃないだろ」
「恋の潜水艦です」
「意味わからない」
「恋の海に落ちていき、愛の水底を彷徨う女型潜水艦、それが私...」
「ますますわからないんだが...」
「さあ、ともに沈みましょう。愛欲の海へ......」
「なんかコワイわ!」
「では、入りますね」
「いや、ちょっ...」
「フミヒロ様。お風呂が沸きましたよ。どうぞお先にお入りください」
ネーコはそれだけ伝えに来て、トントントンと下に降りていった。
気がつけば夜の十時。
俺は夕食時以外は部屋に篭りきっていた。
不登校の身とはいえここまで自室に籠るのは久しぶりだ。
普段の夜は、
「ちゃんとしっかり顔ぐらい見せなさい!」
と母さんが口うるさいので、しばらくは一階のリビングで過ごすのが日課だった。
それがすっかり染みついていたので、母さんの帰りが遅い日や帰らない時でも、夜の一定時間は下で過ごしていた。
だが今日は違う。
理由は...美少女アンドロイドの存在!
つまり、自室に避難しているのだ。
いつ迫ってくるかわからない〔セクシープログラム〕の魔の手から逃れるために。
「だけど、裸エプロン以降は、特になにもないな......会話は相変わらずだけど、晩御飯もフツーに作ってくれて。
ネーコって、ひょっとしたら男子にとって理想的なお嫁さんなんじゃ......て何を言ってるんだ俺は!
ああ......風呂入ってこよう...」
己の思考にいささか困惑しつつ、俺はのそのそと部屋を後にしてバスルームへ向かった。
「今日は色々あったなぁ。不登校なのに......」
呟きながら風呂場へ入り、ハァーとため息をつく。
一連の洗浄を終えてから湯船に浸かると、俺は物思いにふけった。
「なんか疲れたかも、今日は......。ネーコのこともそうだけど、それ以前に......母さん以外の人とこんなに会話したのが久しぶり過ぎる!ヘタしたら小学校以来じゃないか?だから疲れたのかも。ああ、情けなすぎる......」
自分の社会性の欠如っぷりをあらためて自覚して今更ながらヘコむ。
「ネーコと関わっていけば、この先少しは変わっていくのかな......」
その時、
「フミヒロ様」
という声と同時に、風呂場の扉がガラッと開いた。
「ね、ネーコ!?」
目に飛び込んできたのは、バスタオル一枚で風呂場に入ってきた美少女アンドロイドの姿!
「一緒に入って、よろしいですか?」
「え、いや、でも」
完全に油断していた。
ありきたりといえばありきたりなシチュエーションだが、ネーコに限ってはないと勝手に思っていた。
だって、ネーコはアンドロイドだから!
「ダメ、ですか?」
「というより、ネーコは大丈夫なのか?機械が風呂入るって、良くないんじゃ......」
「そんなこと言ったら潜水艦はどうなるんですか?」
「いやおまえ潜水艦じゃないだろ」
「恋の潜水艦です」
「意味わからない」
「恋の海に落ちていき、愛の水底を彷徨う女型潜水艦、それが私...」
「ますますわからないんだが...」
「さあ、ともに沈みましょう。愛欲の海へ......」
「なんかコワイわ!」
「では、入りますね」
「いや、ちょっ...」
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
如月さんは なびかない。~クラスで一番の美少女に、何故か告白された件~
八木崎(やぎさき)
恋愛
「ねぇ……私と、付き合って」
ある日、クラスで一番可愛い女子生徒である如月心奏に唐突に告白をされ、彼女と付き合う事になった同じクラスの平凡な高校生男子、立花蓮。
蓮は初めて出来た彼女の存在に浮かれる―――なんて事は無く、心奏から思いも寄らない頼み事をされて、それを受ける事になるのであった。
これは不器用で未熟な2人が成長をしていく物語である。彼ら彼女らの歩む物語を是非ともご覧ください。
一緒にいたい、でも近づきたくない―――臆病で内向的な少年と、偏屈で変わり者な少女との恋愛模様を描く、そんな青春物語です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
貞操観念逆転世界におけるニートの日常
猫丸
恋愛
男女比1:100。
女性の価値が著しく低下した世界へやってきた【大鳥奏】という一人の少年。
夢のような世界で彼が望んだのは、ラブコメでも、ハーレムでもなく、男の希少性を利用した引き籠り生活だった。
ネトゲは楽しいし、一人は気楽だし、学校行かなくてもいいとか最高だし。
しかし、男女の比率が大きく偏った逆転世界は、そんな彼を放っておくはずもなく……
『カナデさんってもしかして男なんじゃ……?』
『ないでしょw』
『ないと思うけど……え、マジ?』
これは貞操観念逆転世界にやってきた大鳥奏という少年が世界との関わりを断ち自宅からほとんど出ない物語。
貞操観念逆転世界のハーレム主人公を拒んだ一人のネットゲーマーの引き籠り譚である。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる