美少女アンドロイドが色じかけをしてくるので困っています~思春期のセイなる苦悩は終わらない~

根上真気

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ep14 お風呂

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「フミヒロ様。お風呂が沸きましたよ。どうぞお先にお入りください」

 ネーコはそれだけ伝えに来て、トントントンと下に降りていった。

 気がつけば夜の十時。
 俺は夕食時以外は部屋に篭りきっていた。
 不登校の身とはいえここまで自室に籠るのは久しぶりだ。

 普段の夜は、
「ちゃんとしっかり顔ぐらい見せなさい!」
 と母さんが口うるさいので、しばらくは一階のリビングで過ごすのが日課だった。

 それがすっかり染みついていたので、母さんの帰りが遅い日や帰らない時でも、夜の一定時間は下で過ごしていた。

 だが今日は違う。
 理由は...美少女アンドロイドの存在!
 つまり、自室に避難しているのだ。
 いつ迫ってくるかわからない〔セクシープログラム〕の魔の手から逃れるために。

「だけど、裸エプロン以降は、特になにもないな......会話は相変わらずだけど、晩御飯もフツーに作ってくれて。
 ネーコって、ひょっとしたら男子にとって理想的なお嫁さんなんじゃ......て何を言ってるんだ俺は!
 ああ......風呂入ってこよう...」

 己の思考にいささか困惑しつつ、俺はのそのそと部屋を後にしてバスルームへ向かった。
 
「今日は色々あったなぁ。不登校なのに......」

 呟きながら風呂場へ入り、ハァーとため息をつく。
 一連の洗浄を終えてから湯船に浸かると、俺は物思いにふけった。

「なんか疲れたかも、今日は......。ネーコのこともそうだけど、それ以前に......母さん以外の人とこんなに会話したのが久しぶり過ぎる!ヘタしたら小学校以来じゃないか?だから疲れたのかも。ああ、情けなすぎる......」

 自分の社会性の欠如っぷりをあらためて自覚して今更ながらヘコむ。

「ネーコと関わっていけば、この先少しは変わっていくのかな......」

 その時、
「フミヒロ様」
 という声と同時に、風呂場の扉がガラッと開いた。

「ね、ネーコ!?」

 目に飛び込んできたのは、バスタオル一枚で風呂場に入ってきた美少女アンドロイドの姿!
 
「一緒に入って、よろしいですか?」
「え、いや、でも」

 完全に油断していた。
 ありきたりといえばありきたりなシチュエーションだが、ネーコに限ってはないと勝手に思っていた。
 だって、ネーコはアンドロイドだから!

「ダメ、ですか?」
「というより、ネーコは大丈夫なのか?機械が風呂入るって、良くないんじゃ......」

「そんなこと言ったら潜水艦はどうなるんですか?」
「いやおまえ潜水艦じゃないだろ」

「恋の潜水艦です」
「意味わからない」

「恋の海に落ちていき、愛の水底みなそこ彷徨さまよう女型潜水艦、それが私...」
「ますますわからないんだが...」

「さあ、ともに沈みましょう。愛欲の海へ......」
「なんかコワイわ!」

「では、入りますね」
「いや、ちょっ...」
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