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動乱編
ep143 緊迫
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「ミアちゃん。エマちゃん。あれ......」
「うん。スラッシュくんだよね」
「久しぶりに見たし......」
俺たちの視線の先、教室の入口から体格の良い男子生徒が入ってきた。
ワイルドなスパイキーショートの金髪。
重く鋭い眼つき。
着崩した制服の上からもわかる筋肉質の体。
まるで不良どものボスのような威圧感を帯びる彼は、俺が初めて見る生徒だ。
「特異クラスの生徒なのか?」
俺が訊くと、フェエルが頷いた。
「彼はスラッシュ・コーリング。ぼくたちのクラスメイトだよ」
「俺が転入してきてからずっと休んでたってことか?」
「まあ、うん」
なぜかフェエルは緊張しているようだ。
いや、フェエルだけじゃなかった。
クラスみんなが緊迫している。
「......」
誰も彼に声をかけない。
スラッシュはゆっくりと無言で教室の窓際の奥にまでいき、どっかと腰かける。
「やあスラッシュ。久しぶりじゃないか」
そこへ拍子抜けするような明るさのセリクがニヤニヤしながら寄っていった。
「おいセリク。久しぶりでもねえだろ」
「学校では久しぶりじゃないか」
「あの女は来てねえのか」
「さあ?そのうち来るんじゃない?」
「なんでお前はそんなにニヤついてんだ」
「彼だよ。例の特待生くんは」
不意にセリクが俺を指さしてきた。
あの何だか怖そうなスラッシュに、俺を紹介するつもりなのか?
「あれがねえ......」
スラッシュが横目でじ~っと見てくる。
え、なにこれ。
このヤバそうな不良にガンつけられている感じは。
「や、ヤソみん......」
フェエルが心配そうに俺の袖を掴んでくる。
「あーし、鏡用意しとくよ。なにかあったら証拠残すから」
エマは物騒なことを言い出す。
「な、なにかあったら、わたしがすぐに先生呼んでくる」
ミアも聞き捨てならないことを言う。
「小僧。あの男、気をつけた方が良いぞ」
しまいにはイナバまでそんなことを言ってくる。
さすがに本気でヤバい気がしてきた。
「!」
俺は反射的に身構えた。
スラッシュがこちらへ向いて立ち上がったからだ。
「来るぞ、小僧」
イナバが小声で言う。
やめてくれ。
嫌でも緊張感が高まる。
まさかいきなり教室でやり合うことはないだろ。
いや、そうでもないのか。
明らかにみんなの様子が尋常じゃない。
御神札も出しておいた方がいいのか......。
「おはよう」
突然、澄んだ声が俺たちに向かって飛んできた。
スラッシュがピタッと立ち止まる。
俺たちは声の方向へ視線を転じた。
「ユイちゃん!」
反射的にフェエルが声を上げた。
「うん。スラッシュくんだよね」
「久しぶりに見たし......」
俺たちの視線の先、教室の入口から体格の良い男子生徒が入ってきた。
ワイルドなスパイキーショートの金髪。
重く鋭い眼つき。
着崩した制服の上からもわかる筋肉質の体。
まるで不良どものボスのような威圧感を帯びる彼は、俺が初めて見る生徒だ。
「特異クラスの生徒なのか?」
俺が訊くと、フェエルが頷いた。
「彼はスラッシュ・コーリング。ぼくたちのクラスメイトだよ」
「俺が転入してきてからずっと休んでたってことか?」
「まあ、うん」
なぜかフェエルは緊張しているようだ。
いや、フェエルだけじゃなかった。
クラスみんなが緊迫している。
「......」
誰も彼に声をかけない。
スラッシュはゆっくりと無言で教室の窓際の奥にまでいき、どっかと腰かける。
「やあスラッシュ。久しぶりじゃないか」
そこへ拍子抜けするような明るさのセリクがニヤニヤしながら寄っていった。
「おいセリク。久しぶりでもねえだろ」
「学校では久しぶりじゃないか」
「あの女は来てねえのか」
「さあ?そのうち来るんじゃない?」
「なんでお前はそんなにニヤついてんだ」
「彼だよ。例の特待生くんは」
不意にセリクが俺を指さしてきた。
あの何だか怖そうなスラッシュに、俺を紹介するつもりなのか?
「あれがねえ......」
スラッシュが横目でじ~っと見てくる。
え、なにこれ。
このヤバそうな不良にガンつけられている感じは。
「や、ヤソみん......」
フェエルが心配そうに俺の袖を掴んでくる。
「あーし、鏡用意しとくよ。なにかあったら証拠残すから」
エマは物騒なことを言い出す。
「な、なにかあったら、わたしがすぐに先生呼んでくる」
ミアも聞き捨てならないことを言う。
「小僧。あの男、気をつけた方が良いぞ」
しまいにはイナバまでそんなことを言ってくる。
さすがに本気でヤバい気がしてきた。
「!」
俺は反射的に身構えた。
スラッシュがこちらへ向いて立ち上がったからだ。
「来るぞ、小僧」
イナバが小声で言う。
やめてくれ。
嫌でも緊張感が高まる。
まさかいきなり教室でやり合うことはないだろ。
いや、そうでもないのか。
明らかにみんなの様子が尋常じゃない。
御神札も出しておいた方がいいのか......。
「おはよう」
突然、澄んだ声が俺たちに向かって飛んできた。
スラッシュがピタッと立ち止まる。
俺たちは声の方向へ視線を転じた。
「ユイちゃん!」
反射的にフェエルが声を上げた。
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